【この記事の要約】
結論から言います。大地震のあと、最初に助けに来るのは行政ではありません。隣の人です。阪神・淡路大震災では、生き埋めや閉じ込めにあった約35,000人のうちおよそ8割を、家族と近隣の住民が救出しました。警察・消防・自衛隊が救出した約7,900人は、その半数以上が救出時にすでに亡くなっています。差を生んだのは装備でも技術でもなく、駆けつけるまでの時間だけでした。その「近所の力」を、あらかじめ形にしておく仕組みが自主防災組織です。多くは町内会や自治会が母体になっています。この記事では、何をする組織なのか、参加すると何が変わるのか、そして入っていない場合に個人でできることをまとめます。
結論|公助は、最初の数時間には届きません
防災には、三つの層があるとされています。
自助・共助・公助
| 誰が | 何をするか | |
|---|---|---|
| 自助 | 自分と家族 | 備蓄、家具の固定、避難の判断 |
| 共助 | 近所・地域 | 安否確認、救出、情報の共有、避難所の運営 |
| 公助 | 行政・消防・警察・自衛隊 | 救助、支援物資、避難所、復旧 |
大災害の最初の数時間、公助は届きません。道路が塞がれ、通報が殺到し、消防も被災しているためです。
そのあいだに現場にいるのは、自分と、隣の人だけです。
だから、共助が生存率を決めます
これは精神論ではなく、数字の話です。
阪神・淡路大震災で、近隣住民に助け出された約27,000人は、8割以上が生存しました。一方、公的な救助による約7,900人は、半数以上が救出時にすでに亡くなっていました。
早く掘り出せるかどうか。それだけの差です。
詳しい経緯は阪神・淡路大震災とは?にまとめました。
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自主防災組織とは何か
その「近所の力」を、事前に形にしておく仕組みです。
住民が自分たちで作る組織です
災害対策基本法にも位置づけられた、地域の防災組織です。行政が作るのではなく、住民が主体になります。
多くの場合、町内会や自治会が母体になっています。新しく作るのではなく、既にある集まりに防災の役割を持たせる形です。
マンションでは、管理組合が担っていることもあります。
何をする組織なのか
| 時期 | やること |
|---|---|
| 平時 | 訓練、防災マップづくり、資機材の点検、要支援者の把握 |
| 発災直後 | 安否確認、救出・救護、初期消火 |
| その後 | 避難の誘導、避難所の運営、情報の伝達、物資の配分 |
いちばん重要なのは、平時の「要支援者の把握」です。
誰がどこに住んでいて、誰に助けが要るのか。これを知っているかどうかで、災害当日の動きがまったく変わります。
役割を、あらかじめ分けておきます
多くの組織では、こうした班に分かれています。
情報班。被害の状況を集め、行政や住民に伝えます。
消火班。初期消火にあたります。
救出・救護班。下敷きになった人を助け、けが人の手当てをします。
避難誘導班。避難所へ導きます。特に、支援の必要な方を。
給食・給水班。炊き出しや水の配分を担います。
決めておく意味は、当日に迷わないことです。「誰かがやるだろう」では、誰もやりません。
参加すると、何が変わるのか
正直に言えば、面倒に感じる方が多いと思います。それでも、変わることがあります。
一、顔と名前が、一致します
これが最大の効果です。
「あの家には高齢のご夫婦がいる」と分かっていれば、そこへ向かえます。知らなければ、家に人がいるのかどうかも分かりません。
訓練で身につく技術は、正直に言えば限られています。けれど、そこで会った人の顔を覚えることには、はっきりした価値があります。
二、道具の場所が分かります
多くの自主防災組織が、防災倉庫を持っています。
そこにあるのは、バール、ジャッキ、担架、発電機、投光器、リヤカー、消火器、テント。個人ではなかなか持てないものです。
ただし、倉庫があっても、鍵の場所と中身を知っている人がいなければ意味がありません。訓練は、その確認の場でもあります。
三、避難所の運営が回ります
災害が起きると、避難所には行政の職員が数人しか来られないことがあります。職員自身も被災者だからです。
そのとき、実際に運営するのは避難してきた住民です。
受付、物資の配分、トイレの管理、名簿づくり。これらを誰かが仕切らなければ、混乱します。
そして、避難所の環境が悪いと、災害関連死につながります。運営の質が、そのまま命に関わるのです。詳しくは災害関連死はどう認定されるのかにまとめました。
四、行政とのつながりができます
被害の状況を行政に伝えるのも、組織の役割です。個人がばらばらに通報するより、まとまった情報のほうが対応が早くなります。
そして、支援物資は、地域単位で配分されることがあります。受け皿がなければ、届きにくくなります。
入っていない、入りたくない場合
ここも正直に書きます。
加入は、義務ではありません
町内会も自主防災組織も、法律で加入が義務づけられているものではありません。
集合住宅で近所づきあいが薄い、仕事が忙しくて活動に出られない、そもそも人づきあいが苦手。いずれも、責められることではありません。
それでも、できることがあります
組織に入らなくても、共助の効果を部分的に得ることはできます。
一、挨拶をする。これだけで「あそこに人が住んでいる」と互いに認識されます。
二、防災訓練に、一度だけ参加してみる。継続しなくても、顔を覚えられます。
三、避難所の場所を確認しておく。行けば、そこに誰が集まるかも分かります。
四、自治体の防災メールに登録する。組織を通さなくても、情報は取れます。
五、要支援者の名簿に登録する。自分や家族が該当するなら、これが最も確実です。
マンションなら、管理組合です
集合住宅では、町内会より管理組合が現実的な単位になります。
確認しておきたいのは、この四つです。
一、防災倉庫はあるか。何が入っているか。
二、安否確認の方法は決まっているか。玄関にカードを掲げる方式が広く使われています。
三、停電したとき、水は出るか。給水方式によります。
四、エレベーターが止まったとき、高層階の方をどう支援するか。
停電と断水の仕組みはマンションの断水は停電で起きるにまとめました。
安否確認を、どうするか
共助の実務で、最初に必要になる作業です。
玄関に掲げる方式が、広く使われています
「無事です」と書いたカードやタオルを、玄関の外に掲げます。
これだけで、掲げていない家を確認すればよいという状態になります。全戸を回る必要がなくなり、時間が大きく節約できます。
黄色いタオル、黄色いハンカチ、専用のマグネット。地域によって形は違いますが、考え方は同じです。
決めておくべきこと
一、何を、どこに掲げるか。玄関のドア、ポスト、ベランダ。
二、いつ掲げるか。震度いくつ以上で、といった目安があると迷いません。
三、誰が確認して回るか。班や区画で分担します。
四、確認した結果を、誰にまとめるか。
そして、掲げるものを各戸に配っておくことが大事です。災害当日に「何を出せばいいか」を考えていては、間に合いません。
家族間の安否確認は、別に決めてください
地域の安否確認とは別に、家族どうしの連絡方法を決めておく必要があります。
電話はつながりません。災害用伝言ダイヤルや、伝言板を使ってください。毎月1日と15日には体験できる日が設けられています。
使い方は災害用伝言ダイヤル171の使い方にまとめました。
地域の防災マップを作る
自主防災組織の活動で、最も成果が残るものです。
行政の地図と、何が違うのか
ハザードマップは、浸水や土砂の想定を示したものです。広い範囲を、一定の基準で描いています。
一方、地域で作る防災マップには、そこに住む人しか知らないことが載ります。
| 書き込むもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 危険なブロック塀 | 倒れれば、道が塞がれます |
| 古い木造家屋が密集した区画 | 火が広がりやすい場所です |
| 細い道、行き止まり | 消防車が入れません |
| 用水路、側溝、川 | 暗いと落ちます。冠水すると見えません |
| 防火水槽、消火栓、井戸 | 断水したときに使えます |
| 避難に支援が必要な方の住まい | 誰が向かうかを決めておけます |
| 防災倉庫、AEDの場所 | 探している時間がなくなります |
| 一時的に集まる場所 | 避難所へ行く前の集合地点です |
要支援者の情報は、扱いに注意が要ります。本人の同意を得たうえで、共有の範囲を決めてください。全戸に配る地図に載せるかどうかは、慎重に判断すべき部分です。
作り方は、歩くことです
机の上では作れません。実際に歩いて、見て、書き込みます。
このとき、子どもと一緒に歩くと効果が大きくなります。子どもは大人が見落とすものに気づきますし、自分の住む場所の危険を覚えます。
そして、作ったあとに配ってください。作って終わりでは、意味が半分になります。
数年に一度、更新してください
建物は建て替わり、人は引っ越し、道は変わります。10年前の地図は、使えないことがあります。
防災の日や、防災週間を更新の機会にすると続きます。日付を決めておくのが、いちばん確実です。
使い方は防災週間とは?にまとめました。
避難所の運営は、住民が行います
知られていないことのひとつです。
職員は、数人しか来られません
災害が起きると、行政の職員も被災します。そして、庁舎での対応、被害の把握、支援の要請と、やることが山積みです。
避難所に配置できるのは、多くて数人。数百人が集まる場所を、それだけで回すことはできません。
ですから、実際の運営は、避難してきた住民が担うことになります。
最初にやることが、決まっています
一、名簿を作る。誰がいるかが分からないと、支援も安否確認もできません。
二、場所を割り振る。通路を確保し、世帯ごとの区画を決めます。
三、トイレを確保する。これが最優先です。数と、清掃の担当を決めます。
四、役割を分ける。受付、物資、食事、衛生、情報。
五、ルールを決める。消灯時間、土足の可否、ごみの出し方。
トイレが、運営の質を決めます
これは何度でも申し上げます。トイレが汚れ、並び、行きにくくなると、人は水を飲まなくなります。
そして脱水、血栓、体調の悪化へつながります。災害関連死の入口です。
だから、トイレの担当を最初に決めてください。掃除を当番制にするだけで、環境がまったく変わります。
女性と、配慮が必要な方の視点を入れてください
運営が男性だけで決まると、着替える場所、授乳の場所、生理用品の配り方といった問題が抜け落ちます。
そして、夜のトイレが暗く、鍵がかからないことも珍しくありません。安全の問題に直結します。
運営に加わる人の顔ぶれを、あらかじめ多様にしておいてください。これは、平時にしか決められないことです。
消防団という、もうひとつの仕組み
自主防災組織と並ぶ、地域の防災の担い手です。
非常勤の公務員という立場です
消防団員は、ふだんは別の仕事をしている地域の住民です。そして、火災や災害のときに出動します。
自主防災組織との違いは、訓練の内容と、装備です。ポンプ車を扱い、消防署と連携して活動します。
担い手が減っています
全国的に、団員の数は減少が続いています。人口の減少と、地元で働く人が減ったことが背景にあります。
だからこそ、自主防災組織との連携が重要になっています。消防団だけでは、手が足りません。
地域に何があるかを、知っておいてください
自主防災組織、消防団、民生委員、社会福祉協議会。災害のときに動く仕組みは、いくつもあります。
そのすべてに参加する必要はありません。けれど、何があるかを知っておくと、いざというときに頼れます。
まずは、自分の地域の自主防災組織の連絡先を、一度確認してみてください。市町村の防災担当課で分かります。
訓練を、形だけにしないために
参加した方の多くが感じることがあります。
「毎年同じことをしている」
バケツリレーをして、消火器を使って、炊き出しを食べて終わる。これでは、続ける意味を感じにくくなります。
訓練の目的は、できることを確認することではなく、できないことを見つけることです。
やってみたら鍵が開かなかった。発電機が動かなかった。担架の場所を誰も知らなかった。こうした発見こそが、訓練の成果です。
変えると効く、四つの工夫
一、時間帯を変える。夜の訓練をやってみると、まったく違う課題が出ます。
二、想定を知らせない。何が起きるか分からない状態で始めます。
三、図上でやってみる。地図に被害を書き込み、どう動くかを話し合う方法です。道具も体力も要りません。
四、あえて人を減らす。「いつもの担当者が不在」という前提にすると、属人化が見えます。
訓練の具体的なやり方は防災訓練の種類とやり方にまとめました。
参加者が集まらない、という問題
多くの地域で共通する悩みです。そして、参加するのは高齢の方に偏りがちです。
効くと言われているのは、こうした工夫です。
短くする。1時間で終われば、参加しやすくなります。
子ども向けの要素を入れる。子どもが行けば、親も来ます。
炊き出しを食べる場にする。備蓄の入れ替えも同時にできます。
キャンプの要素を取り入れる。楽しめる形にすると、続きます。この考え方はファミリーキャンプは最高の防災訓練にまとめました。
集合住宅で、共助をどう作るか
戸建ての地域とは、事情がかなり違います。
顔を合わせる機会が、そもそも少ない
エレベーターで一緒になっても、会話はありません。隣に誰が住んでいるか知らない、という状態が普通です。
けれど、集合住宅には戸建てにはない強みもあります。
一、人が密集しています。助けられる距離に、多くの人がいます。
二、管理組合という仕組みがあります。組織を新しく作る必要がありません。
三、建物が丈夫です。倒壊の危険は、戸建てより小さくなります。
マンション特有の課題
| 課題 | 備え |
|---|---|
| 停電で断水する | 給水方式を確認。飲み水を各戸で備蓄 |
| エレベーターが止まる | 高層階ほど備蓄を厚く。階段で運べる量を知っておく |
| 閉じ込め | 非常用の呼び出しボタン。復旧には時間がかかります |
| 排水管の損傷 | 確認が済むまでトイレを流さない |
| オートロックが解除される | 防犯上の注意が必要になります |
| 高層階の揺れ | 長く大きく揺れます。家具の固定が特に重要 |
排水管が壊れているのに流すと、下の階に汚水があふれます。これは、自分の家だけの問題では済みません。
詳しくはマンションの断水は停電で起きるにまとめました。
管理組合で決めておきたいこと
一、安否確認の方法。玄関にカードを掲げる方式が、集合住宅では特に有効です。
二、防災倉庫の中身と、鍵の管理。誰が開けられるかを複数人にしておいてください。
三、階ごとの担当。全戸を一人で回るのは無理です。
四、支援が必要な世帯の把握。高齢の単身者、要介護の方、乳児のいる世帯。
五、共用部の備蓄。水、簡易トイレ、発電機、担架。
そして、年に一度の総会が、これらを決める場になります。議題として出してみてください。
会社と学校での共助
災害は、家にいるときに起きるとは限りません。
職場では、帰らない判断が前提です
東日本大震災では、首都圏で大量の帰宅困難者が発生しました。歩いて帰ろうとした人であふれ、それ自体が危険になりました。
この経験から、「むやみに移動を開始しない」という考え方が定着しています。
そのため、職場には数日分の水と食料、そして歩ける靴を置いておく必要があります。
職場で確認しておくこと
一、備蓄は何日分あるか。全員分ありますか。
二、安否確認の方法。連絡網か、専用のサービスか。
三、誰が判断するのか。帰宅させるか、とどまるか。
四、けが人が出たときの対応。救急箱の場所、AEDの場所。
五、近隣との関係。ビルの他のテナントや、周辺の住民と協力できますか。
学校は、地域の避難所になります
多くの小中学校が、指定避難所になっています。つまり、災害時には地域の人が集まる場所です。
だから、学校と地域の自主防災組織が、事前に打ち合わせておく必要があります。鍵は誰が開けるのか。どの教室を使うのか。
保護者として確認しておきたいのは、子どもの引き渡しの条件です。誰が迎えに行けるのか、いつまで学校で預かるのか。
原則として、迎えに行かないほうが安全な場面が多くあります。学校は、たいてい安全な場所に建てられています。
訓練で、実際にやってみてほしいこと
形だけにしないための、具体的な提案です。
五分でできる、四つの確認
一、防災倉庫を開けてみる。鍵は誰が持っているか。中身は何か。使えるか。
二、発電機を始動してみる。燃料は入っているか。動かし方を知っている人は何人いるか。
三、消火栓のホースを伸ばしてみる。どこまで届くか。何人で扱えるか。
四、担架を組み立ててみる。どこにあるか。何分かかるか。
やってみると、たいてい問題が見つかります。それが訓練の成果です。
夜にやってみてください
これが、いちばん多くの発見があります。
暗いと、まったく違います。足元が見えない。人の顔が分からない。看板が読めない。
そして、多くの災害は夜間や早朝に起きています。阪神・淡路は5時46分、熊本の本震は1時25分、胆振東部は3時7分でした。
昼間の訓練だけでは、この条件が抜け落ちます。
やってみて「できない」と分かることに、価値があります
訓練の目的は、成功することではありません。失敗を、災害の前に済ませておくことです。
本番で発電機が動かないより、訓練で動かないほうが、はるかによい。そこで直せます。
この考え方は防災訓練の種類とやり方に詳しくまとめました。
要支援者という考え方
共助の中心にある課題です。
自力で避難できない人がいます
高齢の単身者、障害のある方、要介護の方、乳幼児のいる世帯、日本語が不自由な方。これらの方は、支援がなければ避難できないことがあります。
そして、災害では、こうした方に被害が集中します。東日本大震災では、亡くなった方の65.2%が60歳以上でした。
名簿という仕組みがあります
市町村は、避難行動要支援者名簿を作ることになっています。そして、本人の同意があれば、地域の自主防災組織や民生委員に情報が共有されます。
登録しておくと、災害時に地域の助けが届きやすくなります。
ご自身やご家族が該当するなら、役場の福祉や防災の窓口に相談してください。
個別の避難計画も作られています
名簿に載せるだけでは、実際には動けません。そこで、一人ひとりについて「誰が、どう支援するか」を決めておく取り組みが進んでいます。
誰が声をかけに行くか。どの経路で、どこへ避難するか。これが決まっていれば、当日に迷いません。
まだ全国的に十分とは言えませんが、相談すれば作ってもらえる自治体が増えています。
防災の日と防災週間を、使ってください
地域の活動には、きっかけが要ります。日付が、そのきっかけになります。
9月1日の前後は、動きやすい時期です
9月1日は防災の日、8月30日から9月5日は防災週間です。全国で訓練が行われ、報道も増えます。
この時期なら、「防災の日だから」という理由だけで、人を誘えます。ふだんは切り出しにくい話も、しやすくなります。
由来と使い方は防災の日は9月1日と防災週間とは?にまとめました。
この時期にやると効く、地域の三つ
一、防災倉庫を開ける。中身を確認し、期限切れを入れ替えます。
二、名簿を更新する。引っ越しや世帯の変化を反映させます。
三、避難所まで歩く。暑い時期ですが、だからこそ現実的な条件になります。
大がかりな訓練でなくて構いません。この三つだけでも、地域の備えは確実に前へ進みます。
家庭では、四つだけ
一、備蓄の期限を見る。水、食料、電池、カセットボンベ。
二、家族と集合場所を決める。電話はつながりません。
三、家具の固定を確かめる。緩んでいることがあります。
四、避難所までの道を歩く。子どもと一緒なら、なおよい。
点検の具体的な項目は防災の日にやる防災グッズ点検に、年4回の点検日の使い方は防災用品点検の日は年4回にまとめています。
一年に一度でも、続けば意味があります
毎月やる必要はありません。忘れることを前提に、思い出す日を決めておけば十分です。
そして、この日を近所の人と顔を合わせる機会にしてください。それ自体が、この記事で書いてきた共助の第一歩になります。
よくある質問
Q. 自分の地域に自主防災組織があるか、どう調べますか
市町村の防災担当課に聞くのが確実です。組織率や連絡先を把握しています。
そして、町内会や自治会に加入しているなら、たいていその中にあります。回覧板や、地域の掲示板を見てください。
Q. 新しく作りたいのですが
市町村に相談してください。多くの自治体が、設立の支援や、資機材の購入への補助を行っています。
ゼロから作るより、既にある集まりに防災の役割を持たせるほうが現実的です。町内会、マンションの管理組合、消防団との連携など。
Q. 平日の昼間は、住民がほとんどいません
これは、多くの地域が抱える現実です。働く世代は外に出ているためです。
だからこそ、昼間にいる人が誰なのかを把握しておくことに意味があります。在宅の高齢者、自営業の方、子育て中の方。
そして、昼間の訓練だけでなく、夜間や休日の想定もしてください。時間帯によって、動ける人がまったく変わります。
Q. 救助の道具は、個人でも持つべきですか
あれば、助けられる人がいます。バールとジャッキは、数千円で買えます。
そして、厚手の手袋と底の厚い靴、ライト。これがないと、がれきの上では作業できません。
ただし、一人で建物に入らないでください。余震で崩れれば、助ける側が埋まります。
Q. 近所づきあいが、まったくありません
挨拶から始めてください。それ以上を求められることは、ほとんどありません。
そして、ごみ出しの場所や、掲示板の前で顔を合わせる機会があります。会釈をするだけでも、「あの部屋の人」として認識されます。
災害時に効くのは、親密さではありません。「そこに人が住んでいると知られていること」です。
Q. 助けに行って、けがをさせてしまったら責任を問われますか
不安に思われるのは、当然です。ただ、緊急の場面で善意から行った救助について、通常の注意を払っていれば重い責任を問われることは考えにくいところです。
そして、それ以上に大切なのは、助ける側が二次災害に遭わないことです。
建物が傾いている、火が近い、余震が続いている。こうした状況では、無理をせず消防に伝えてください。
できることは、複数人で、安全を確かめながら行う。これに尽きます。
Q. 単身の高齢者です。誰も助けに来ないのでは
だからこそ、名簿に登録してください。市町村の福祉や防災の窓口で手続きできます。
登録すると、地域の自主防災組織や民生委員に情報が共有され、安否確認の対象になります。
そして、笛を手の届く場所に置いてください。100円程度で買えます。声は長く出せませんが、笛なら弱っていても鳴らせます。
さらに、玄関の近くに、大家さんや管理会社の連絡先を貼っておいてください。
Q. 引っ越したばかりで、誰も知りません
引っ越し直後が、いちばん動きやすい時期です。挨拶をする口実があります。
そして、ごみ出しの日や、掲示板の場所を聞いてみてください。それが会話のきっかけになります。
住まいを選ぶ段階から考えるなら、避難所までの距離や、地域の防災の取り組みも判断材料になります。詳しくは防災で選ぶ引っ越し先にまとめました。
Q. 外国から来た住民が多い地域です
言葉の壁は、災害時に大きな問題になります。避難の呼びかけも、避難所の案内も、日本語だけでは届きません。
効くのは、絵や記号で示すことです。トイレ、飲み水、出口。文字より確実に伝わります。
そして、「やさしい日本語」という考え方があります。短い文で、難しい言葉を避けて伝える方法です。「避難してください」より「にげてください」のほうが伝わります。
ふだんから顔を合わせておくことが、ここでも効きます。
まとめ
要点を並べます。
一、大災害の最初の数時間、公助は届きません。
二、阪神・淡路では、生き埋めの約8割を家族と近隣住民が救出しました。
三、自主防災組織は、その「近所の力」をあらかじめ形にしておく仕組みです。
四、いちばん大事なのは、誰がどこに住んでいるかを知っていることです。
五、安否確認は、玄関に掲げる方式が効率的です。掲げるものを、先に配っておいてください。
六、訓練は、できないことを見つけるために行います。
七、組織に入らなくても、挨拶をするだけで効果があります。「そこに人が住んでいる」と知られていることが大事です。
防災の備えというと、買うものの話になりがちです。けれど、いちばん多くの命を救った実績があるのは、隣に住んでいる人でした。
装備でも、訓練でもありません。近くにいたということだけが、生存率を分けています。
今日できることは、ひとつです。すれ違ったときに、会釈をしてください。それが、最も費用のかからない防災です。
備え全体の順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップにまとめています。




