【この記事の要約】
結論から言います。旅行先で被災したとき、いちばん不利になるのは「土地勘がないこと」です。避難所の場所も、危険な地形も、津波が来るかどうかも知りません。だから、着いたその日に二つだけ確認してください。宿の避難経路と、その土地のハザードです。合わせて5分で終わります。そして、帰れなくなる前提で考えてください。交通が止まれば、数日その場にとどまることになります。常用薬、モバイルバッテリー、現金。この三つが手元にあるかどうかで、状況がまったく変わります。この記事では、宿泊先での行動、交通が止まったときの判断、そして旅行保険で何が補償されるかをまとめました。
結論|着いた日に、5分だけ使ってください
先に、この記事の要点をまとめておきます。
一、宿の避難経路を見る
客室のドアの裏に、避難経路図が貼ってあります。ほとんどの人が見ません。
見るのは二つ。自分の部屋がどこか。そして、非常口がどちらの方向か。
停電すれば真っ暗になります。方向だけでも頭に入れておけば、動けます。
二、その土地のハザードを調べる
スマホで検索するだけです。海の近くなら津波、川の近くなら浸水、山なら土砂。
とくに海沿いの宿では、津波避難ビルや高台の位置を確認してください。
三、帰れない前提で持ち物を考える
常用薬、モバイルバッテリー、現金。この三つは、旅行の荷物に必ず入れてください。
停電すればカードも電子決済も使えません。現金は、災害時に唯一確実な支払い手段です。
旅行先が不利になる、四つの理由
自宅にいる場合と、何が違うのかを整理します。
| 不利な点 | 何が起きるか |
|---|---|
| 土地勘がない | 避難所も、危険な場所も知りません |
| 備えが手元にない | 持ち出し袋も備蓄も自宅にあります |
| 帰れなくなる | 交通が止まれば、数日とどまることになります |
| 言葉と情報 | 地域の防災無線や、地元の言い回しが分かりません |
有利な点も、一つだけあります
荷物がまとまっていることです。
旅行中は、貴重品も着替えも一つのバッグに入っています。そのまま持って避難できます。
自宅で被災すると、あれこれ探して時間を使います。旅行先では、その迷いがありません。
宿泊先での行動
ここは、ホテルや旅館で被災した場合の話です。
まず、身を守ってください
地震なら、テーブルの下に入るか、頭を守って低い姿勢を取ります。
そして、慌てて外に出ないでください。ホテルの建物は、多くの場合しっかりした構造です。外に出るほうが危険なことがあります。
ドアを開けて、避難路を確保する
揺れが収まったら、まず部屋のドアを開けてください。
建物がゆがむと、ドアが開かなくなることがあります。開けておけば、閉じ込められません。
館内放送を待ってください
ホテルには、避難誘導の手順が決まっています。スタッフは訓練を受けています。
勝手に動くと、人の流れとぶつかり、かえって危険になります。
ただし、火災や津波の危険が明らかな場合は、指示を待たずに動いてください。とくに津波は時間との勝負です。
エレベーターは使わないでください
これだけは例外なしです。停電すると閉じ込められます。
そして、非常階段の位置を、着いたときに確認しておいてください。
靴を履いてください
これは見落とされやすい点です。
ガラスが割れた床を、スリッパでは歩けません。そして、旅館では浴衣とスリッパで過ごしていることが多い。
だから、靴を枕元か、すぐ取れる場所に置いてください。これは自宅でも同じです。
海の近くに泊まるとき
津波は、旅行先で最も命に関わる災害です。
揺れたら、すぐに高い場所へ
警報を待たないでください。強い揺れを感じたら、それが合図です。
そして、「戻らない」でください。荷物も、車も、置いていく。
着いたときに、二つ確認してください
一、宿の建物は津波避難ビルに指定されているか。指定されていれば、上階へ上がるのが選択肢になります。
二、高台はどちらの方向か。海と反対、というだけでは不十分なことがあります。
宿のフロントで聞けば教えてくれます。「津波のとき、どこへ逃げればいいですか」と一言で済みます。
宿を選ぶときの視点
海沿いの宿を予約する段階で、建物の階数と、高台までの距離を見ておくと安心です。
ただし、これで宿を選ぶ必要はないと私は考えています。知っておけば、行動が変わります。それで十分です。
交通が止まったら
ここは、帰れなくなった場合の話です。
無理に帰ろうとしないでください
ここが、判断の分かれ目になります。
移動中が、いちばん危険です。余震、道路の損傷、二次災害。そして、情報が入りにくい。
宿にとどまれるなら、とどまるほうが安全なことが多い。フロントに相談してください。延泊を受け入れてもらえることがあります。
職場や学校への連絡
早めに、帰れない見込みであることを伝えてください。
そして、安否を家族に知らせる。これが最優先です。災害用伝言ダイヤルも使えます。
現金が効いてきます
停電すると、カード決済も電子マネーも、現金を下ろす機械も止まります。
宿代、食料、交通費。すべて現金が必要になります。
旅行には、普段より多めの現金を持っていってください。小銭も含めてです。
旅行保険で、何が補償されるか
知らないまま入っている方も多いので、整理しておきます。
災害が原因なら、補償されないことがあります
ここが、最も重要な注意点です。
地震・噴火・津波を原因とする損害は、多くの保険で対象外とされています。国内旅行保険でも、海外旅行保険でも同じ扱いになっていることがあります。
つまり、「旅行保険に入っているから安心」とは言えません。契約内容を確認してください。
一方で、台風や大雨による遅延・欠航については、補償される商品があります。
見るべき項目
| 補償の種類 | 何が対象か |
|---|---|
| 旅行変更費用 | キャンセル料や、取り直した交通費 |
| 航空機遅延費用 | 遅延・欠航による宿泊費、食事代 |
| 携行品損害 | 持ち物の破損や盗難 |
| 傷害・疾病 | けがや病気の治療費 |
| 地震・噴火・津波 | 多くの場合、対象外。特約が要ることがあります |
クレジットカードに付いていることがあります
別に契約しなくても、カードに旅行保険が自動で付帯していることがあります。
ただし、「利用付帯」といって、旅費をそのカードで払った場合のみ有効という条件があることが多い。
旅行の前に、自分のカードがどちらなのかを確認してください。使わなければ効かない、ということがあります。
宿のキャンセル料はどうなるか
これは、災害で行けなくなった場合の話です。
宿側の判断で、キャンセル料を免除することがあります。とくに、現地に災害が起きた場合です。
一方、自分の住む地域が被災して行けない、という場合は扱いが分かれます。まず宿に連絡して相談してください。
そして、交通機関の運休証明があると話が進みやすい。取れる場合は取っておいてください。
子ども連れ、高齢者連れの旅行
同行者によって、判断は変わってきます。
移動できる速さで、選択肢が決まります
津波避難のように、時間との勝負になる場面があります。
小さな子どもや、歩くのに時間がかかる方と一緒なら、より早く動き始める必要があります。
だから、高台までの距離を着いたときに確認しておく意味が大きくなります。
はぐれたときの約束を決めておく
観光地では、人混みではぐれることがあります。災害のときなら、なおさらです。
子どもには、宿の名前と、親の携帯番号を持たせてください。紙に書いて、ポケットに入れる。スマホは電池が切れます。
そして、「はぐれたらここに戻る」という場所を、その日の行動範囲ごとに決めておいてください。
常用薬は、多めに持ってください
高齢の方と旅行する場合、ここが最も重要です。
帰れなくなれば、予定より長く滞在することになります。薬が足りなくなる可能性があります。
そして、お薬手帳のコピーか写真を持っていってください。現地で受診することになった場合、これがあると話が早い。
ただし、持っていく日数や量の調整は、必ず医師や薬剤師に相談してください。自己判断で増減しないでください。
おむつ・ミルク・離乳食
ここは、乳幼児連れの場合です。
予定日数より多めに持ってください。現地の店が閉まれば、手に入りません。
そして、液体ミルクは、お湯が要らないので災害時に強い。停電しても使えます。
場所ごとの、気をつけること
旅行先の形態によって、警戒すべき危険の種類が変わります。
高層ホテル
長周期地震動で、高層階は長く大きく揺れます。建物は壊れなくても、家具が動きます。
そして、停電するとエレベーターが止まります。20階に泊まっていれば、階段で降りることになります。
チェックインしたら、非常階段の位置を確認してください。そして、水を1本、部屋に置いておくと安心です。
温泉旅館
温泉旅館では、入浴中に被災する可能性があります。
裸で、靴もなく、暗い状態になります。これは想像しておく価値があります。
脱衣所には、タオルと、可能なら履物を手の届く場所に置いてください。そして、揺れたらまず頭を守り、収まってから移動します。
そして、木造の古い建物も多い。趣がある一方で、耐震性は建築年によります。
キャンプ場・山間部
土砂災害と、川の増水が主な危険です。
とくに、川の中州や、沢のそばにテントを張らないでください。上流で降った雨で、晴れていても増水します。
鉄砲水は、前ぶれなく来ることがあります。詳しくは鉄砲水は晴れていても来るにまとめました。
そして、携帯電話の電波が入らない場所があります。情報が取れないことを前提に、天気を先に確認してください。
スキー場
冬の旅行先です。ここでは雪崩と、低体温が危険になります。
管理されたコース内は比較的安全ですが、コース外に出るのは別の話です。ロープの外は、雪崩の評価がされていません。
そして、停電するとリフトが止まります。山の上で足止めされることがあります。
離島
船が止まれば、帰れません。そして、支援も届きにくい。
医療機関が限られることもあります。常用薬は、余裕を持って持っていってください。
情報を、どう取るか
ここは、土地勘がない場所での情報収集の話です。
その土地の防災アプリを入れておく
自治体が独自の防災アプリを出していることがあります。行く前に入れておくと、現地の警報が届きます。
難しければ、スマホの緊急速報の設定を確認してください。多くの機種で、地域を問わず緊急地震速報や避難情報が届きます。
宿のフロントが、最も早い情報源です
地元のスタッフは、その土地の危険を知っています。
「この辺りは、どんな災害に気をつけたらいいですか」と聞けば、答えてくれます。これが最も手っ取り早い。
防災無線が聞き取れないことがあります
屋外スピーカーからの放送は、建物の中では聞こえにくい。そして、方言や地名が分からないことがあります。
多くの自治体で、放送内容を電話で聞き直せる仕組みや、メール配信があります。宿で聞いてみてください。
停電すると、情報が途切れます
だから、モバイルバッテリーが三つの必需品に入っています。
そして、宿に着いたらまず充電してください。使い切った状態で夜を迎えないことです。
持っていくもの|旅行の荷物に足す
大がかりな備えは要りません。かさばらないものだけを挙げます。
| もの | なぜ要るか | 優先度 |
|---|---|---|
| 常用薬・お薬手帳の写真 | 代えがきかない。帰れないと足りなくなります | 最優先 |
| モバイルバッテリー | 情報と連絡の生命線 | 最優先 |
| 現金(小銭も) | 停電すると電子決済が使えません | 最優先 |
| 小型のライト | 停電した宿の廊下は真っ暗です | 高 |
| 履き慣れた靴 | ガラスの上をスリッパでは歩けません | 高 |
| マスク | 粉じんと感染の両方に | 中 |
| ビニール袋 | 濡れたものの隔離、簡易トイレ | 中 |
| 羽織るもの | 暖房が止まると一気に冷えます | 中 |
ライトは、スマホと別に持ってください
スマホのライトでも使えますが、電池を消耗します。
そして、連絡手段としてのスマホを温存したい場面で、明かりに使うことになります。
キーホルダー型の小さなライトで十分です。数百円で、かばんに入ります。
靴は、意外と効きます
観光でサンダルやヒールで出かけることがあります。
災害が起きたとき、その靴で歩けるか。ここを一度考えてみてください。
宿に一足、歩ける靴を置いておくだけで違います。
現金は、小銭も持ってください
見落とされやすい点です。
停電すると、店側もつり銭の計算ができないことがあります。そして、公衆電話は硬貨が要ります。
災害時、公衆電話は携帯より優先的につながることがあります。10円玉と100円玉を、少し持っておいてください。
帰宅困難になったときの判断
ここは、もう少し詳しく書きます。
「動かない」が基本です
大都市で大きな地震が起きた場合、一斉に人が動くと危険です。
群集の事故、余震による落下物、そして道路の混雑で緊急車両が通れなくなる。これらを避けるため、その場にとどまることが推奨されています。
旅行者の場合、宿に戻れるなら戻る。戻れないなら、近くの安全な建物へ。
一時滞在施設という仕組みがあります
大都市では、帰宅困難者を受け入れる施設が指定されていることがあります。
公共施設や、協定を結んだ民間のビルです。災害時に開放され、水やトイレが使えます。
場所は自治体のウェブサイトで公開されています。行く前に、滞在先の周辺を一度見ておくと安心です。
宿に戻れるなら、それがいちばんです
荷物があり、スタッフがいて、水とトイレがある。旅行者にとって、宿は最も条件のよい避難場所です。
だから、観光で離れた場所にいるときほど、宿の名前と場所を言えるようにしておいてください。
宿のカードを財布に入れておく。これだけで、道を聞けます。
公共交通の再開を待つ
鉄道は、安全確認が終わるまで動きません。数時間から数日かかります。
そして、再開直後は非常に混雑します。急がず、落ち着いてから動くほうが安全なことが多い。
実際に起きた事例から
旅行先での被災は、決して珍しいことではありません。過去に何度も起きています。
観光地は、人が集まる場所です
当たり前のようですが、これには意味があります。
災害が起きたとき、そこには地元の人だけでなく、大勢の旅行者がいます。そして、その多くは土地を知りません。
避難所の収容人数は、住んでいる人の数を基準に決められていることがあります。観光シーズンに大きな災害が起きれば、足りなくなる可能性があります。
能登半島地震は、元日でした
2024年1月1日の夕方に発生しました。帰省や旅行で人が動いている時期です。
そして、役所も店も業者も休み。支援が立ち上がるまでに時間がかかりました。
この地震では、災害関連死が直接死を上回りました。建物の倒壊より、そのあとの避難生活で亡くなった方が多かったということです。
詳しくは能登半島地震とは?にまとめました。
連休や年末年始は、条件が重なります
人が多く移動し、施設が休み、交通が混雑する。この時期の災害は、平日より対応が難しくなります。
だから、連休や年末年始の旅行では、普段より一段備えを厚くしてください。
具体的には、常用薬を多めに、現金を多めに、そして日程に余裕を持つ。この三つです。
「まさか自分が」と思う場面です
旅行は、日常から離れる行為です。だからこそ、備えの意識も一緒に置いてきてしまう。
私自身、旅先で防災のことを考えるのは気が進まないと感じます。楽しみに来ているのだから当然です。
だから、考えるのは着いた日の5分だけにしてください。それ以上は要りません。
宿の人に聞くのは、迷惑ではありません
遠慮する方がいますが、宿にとっては、客の安全に関わる大事な質問です。
むしろ、聞かれることで、宿側も改めて確認するきっかけになります。
「津波のとき、どこへ逃げればいいですか」。この一言を、遠慮しないでください。
被災したあと、帰宅してから
無事に帰ってきたあとにも、やっておくことがあります。
まず、自宅の状態を確認してください
旅行先が被災していなくても、自宅の地域で何かあったかもしれません。
見るのは四つ。ガス臭くないか。天井や壁にシミがないか。ブレーカーが落ちていないか。水が出るか。
とくに冬は、水道管の凍結による破裂が起きていることがあります。水が引いたあと、シミだけが残ります。
費用の記録を残してください
災害で足止めされた場合、予定外の宿泊費や交通費が発生します。
領収書を必ず取っておいてください。旅行保険やクレジットカードの付帯保険で、補償される可能性があります。
そして、交通機関の運休証明も、取れるなら取ってください。手続きで求められることがあります。
キャンセルや払い戻しの手続き
使えなかった交通機関や宿泊について、払い戻しの対象になることがあります。
災害による欠航・運休の場合、手数料なしで払い戻されるのが原則です。
ただし、期限があります。落ち着いてからでよいので、忘れないうちに手続きしてください。
次の旅行に活かしてください
実際に被災した経験があるなら、何が足りなかったかを覚えておいてください。
ライトがなかった、現金が足りなかった、靴が歩けるものでなかった。その一つを次から持てば、備えは前進します。
そして、その経験を家族や周りの人に話してください。実際に遭った人の話は、記事より届きます。
日帰りや近場の外出でも同じです
泊まりの旅行だけの話ではありません。
買い物先、レジャー施設、スタジアム
大勢の人が集まる屋内施設で被災する可能性があります。
大型の商業施設では、避難誘導の手順が決まっています。館内放送とスタッフの指示に従ってください。
そして、自分で出口を探して走らないでください。人が一斉に同じ出口へ向かうと、転倒や将棋倒しの危険があります。
建物の外に出たあとも、危険は続きます
ここが、見落とされやすい点です。
看板、窓ガラス、外壁のタイル。これらが落ちてきます。建物のすぐ脇は、実は危ない場所です。
広い場所へ移動し、建物から離れてください。
地下街にいた場合
地下は、地震の揺れそのものは地上より小さいとされています。
危険なのは、停電と、浸水です。地下街が真っ暗になり、方向が分からなくなります。
そして、大雨のときの地下は非常に危険です。水は低い場所へ流れ込みます。
非常口の位置を、普段から意識しておいてください。よく行く場所ほど、確認していないものです。
車で出かけているとき
運転中に強い揺れを感じたら、ハザードランプを点けて、道路の左側に停車してください。
そして、キーは付けたまま、ドアは施錠せずに離れるのが原則とされています。緊急車両の通行のために移動が必要になることがあるためです。
車を置いていくのは抵抗があると思いますが、道路が塞がれば、救急車も消防車も通れません。
よくある質問
Q. 旅行をやめるべき天気の目安はありますか
判断の材料になるものが、いくつかあります。
台風の暴風域に入る確率が上がっている地域へ向かう場合。そして、大雪の予報が出ている場合です。
とくに、「顕著な大雪に関する気象情報」が出ている、あるいは出そうな状況では、車での長距離移動はやめてください。立ち往生の危険があります。
旅行は延期できます。行けなくなるより、行かない判断のほうが安く済むことが多い。
Q. 現地で災害に遭いました。何から連絡すればよいですか
順番は、一、家族への安否連絡。二、職場や学校。三、交通機関と宿。
電話がつながらない場合、災害用伝言ダイヤルや、メッセージアプリのほうが通じることがあります。文字のほうが軽いためです。
そして、「無事」の一言だけでも先に送ってください。詳しい状況は後で構いません。
Q. 旅行先で買った土産や荷物は、どうすればよいですか
避難が必要な場面では、置いていってください。
荷物を持って逃げようとして、逃げ遅れることがあります。とくに津波は時間との勝負です。
貴重品だけを身につけ、両手を空けてください。これが原則です。
Q. 海外旅行中の場合はどうなりますか
基本の考え方は同じですが、いくつか追加で必要なことがあります。
外務省の海外安全情報と、たびレジへの登録。登録しておくと、現地の緊急情報が届きます。
そして、パスポートのコピーを別に持っておく。紛失時の再発行が早くなります。
現地の大使館・領事館の連絡先も、出発前に控えておいてください。
Q. 一人旅の場合、とくに気をつけることは
誰も、あなたがそこにいることを知りません。ここが最大のリスクです。
だから、行き先と日程を、家族か友人に伝えておいてください。宿の名前まで伝えるとなおよい。
そして、毎日一度は連絡すると決めておくと、途絶えたときに気づいてもらえます。
一人暮らしの方の備えは一人暮らしの防災にもまとめました。
旅行前にやっておくこと
これは、出発前の数分でできることです。
行き先の地形を、地図で見る
観光地図ではなく、普通の地図で地形を見てください。
海に近いのか。川があるのか。山に囲まれているのか。これだけで、警戒すべき災害の種類が分かります。
スマホの地図アプリで、航空写真に切り替えると分かりやすい。数十秒で済みます。
スマホの設定を確認する
緊急速報の通知が有効になっているか。設定でオフにしている方がいます。
そして、位置情報を使えるようにしておく。避難所を検索するときに必要になります。
可能であれば、行き先周辺の地図をあらかじめ表示させておくと、通信が混んだときも見られることがあります。
宿の情報を、紙で持つ
予約確認のメールはスマホの中にあります。電池が切れれば、見られません。
宿の名前、住所、電話番号を紙にメモして、財布に入れておいてください。これで、道を聞くことも、電話をかけることもできます。
家族と、連絡方法を決めておく
旅行中に、自宅のある地域が被災することもあります。逆の場合です。
だから、どちらが被災しても連絡が取れる方法を決めておいてください。災害用伝言ダイヤル、あるいは遠方の親戚を中継役にする。
この記事を、どう使うか
最後に、この記事の実際の使い方を書いておきます。
旅行の前日に、一度読み返してください
持ち物の三つ、常用薬・モバイルバッテリー・現金。これだけ確認すれば十分です。
そして、行き先が海沿いなら、高台の方向だけ調べておく。それ以上の準備は要りません。
着いた日に、5分
ドアの裏の避難経路図を見る。非常階段の方向を覚える。
そして、フロントで「この辺りはどんな災害に気をつけたらいいですか」と一言聞く。
これで、旅行先での備えはほぼ完成します。
そして、旅行を楽しんでください
この記事を書いていて、一つ気をつけたことがあります。
不安をあおるつもりはありません。災害に遭う確率は、旅行のたびに高いわけではない。
ただ、5分の確認で結果が変わる場面があるのは事実です。だから、その5分だけ使ってほしい。
あとは、安心して旅行を楽しんでください。準備をしたという事実が、その安心を支えます。
Q. 旅行の予定を立てる段階で、災害を気にしすぎてしまいます
その気持ちも分かります。ただ、気にしすぎて行けなくなるのは、本末転倒だと思います。
私の考えとしては、行き先で災害の可能性を調べるのは、予約の段階では不要です。日本中どこでも、何らかの災害の可能性はあります。
やるべきなのは、直前の天気予報を見ることと、着いた日の5分の確認だけです。
そのうえで、台風や大雪の予報が明確に出ているときだけ、日程を見直す。この線引きで十分だと考えています。
Q. 添乗員付きのツアーなら、任せておけばよいですか
基本的には、添乗員の指示に従うのが安全です。連絡手段も情報も持っています。
ただし、常用薬とモバイルバッテリーと現金は、自分で持っていてください。これは誰も代わりに用意できません。
そして、はぐれた場合の集合場所を確認しておいてください。人数の多いツアーでは、確認に時間がかかります。
Q. 宿の避難経路図は、どこを見ればよいですか
見るのは三点だけです。
一、自分の部屋の位置。図の中で「現在地」と示されています。
二、非常口までの方向。廊下を左か右か、それだけ覚えれば十分です。
三、非常階段の位置。エレベーターとは別の場所にあります。
そして、可能であれば実際に廊下に出て、非常口の方向を目で確認してください。図で見るのと、歩いて見るのとでは記憶の残り方が違います。10秒で済みます。
まとめ|5分の確認で変わります
最後に、あらためて整理します。
この記事の要点
一、着いた日に避難経路図を見る。ドアの裏にあります。
二、その土地のハザードを調べる。海か、川か、山か。
三、常用薬・モバイルバッテリー・現金。この三つを必ず持つ。
四、揺れたら海から離れる。警報を待たない。
五、無理に帰らない。移動中がいちばん危険です。
あわせて読みたい
津波からの避難は津波から命を守る完全ガイドに、ハザードマップの見方はハザードマップの色は3つだけ覚えるにまとめました。
そして、旅行から帰ったら、自宅の点検もしてください。留守中に何かが起きていた可能性があります。天井や壁のシミ、ガス臭さ、ブレーカーの状態を見てください。





