【この記事の要約】
結論から書きます。高齢の家族は、寒さを感じにくいことがあります。本人が「寒くない」と言っても、体は冷えていることがある。だから、申告ではなく、触って確かめてください。手の甲、首の後ろ、耳。ここが冷たければ対処が要ります。守る場所は足元と、肌に触れる一枚です。避難所の床は冷たく、座っている時間が長い。そして、着脱しやすい服を選んでください。ボタンの多い服は、避難所では扱いにくい。2024年1月の能登半島地震は真冬に起きました。この記事では、なぜ高齢者が冷えやすいのか、何を備えるのか、どこで気づくのかを整理します。ただし、症状の判断は医師の領域です。気になることがあれば、かかりつけの医師に相談してください。
結論|申告を待たず、触って確かめてください
先に、この記事でいちばん大事なことを書きます。ここだけでも持ち帰ってください。
「寒くない」を、そのまま受け取らない
加齢とともに、暑さや寒さを感じ取る力が変わることがあると説明されています。夏の熱中症でも同じことが言われます。
つまり、本人の感覚と、体の状態がずれることがあるということです。
だから、聞くだけでは足りません。触って確かめてください。
触る場所は三か所
手の甲、首の後ろ、耳。この三つが分かりやすい。
手の甲は、末端の血流が落ちているとすぐ冷たくなります。首の後ろは、体の中心に近い場所です。ここが冷たければ、かなり冷えています。
耳は薄く、外気の影響を受けやすい場所です。しもやけにもなりやすいところでもあります。
様子が違うと感じたら、医療者に
震えが止まっている、受け答えがはっきりしない、動きが鈍い。こうした変化があれば、様子を見続けないでください。
避難所には保健師や医療班が入ります。そこに伝えるのが最短です。
私は防災士であって、医師ではありません。症状の判断は、医療者に任せてください。この記事で書けるのは、そうならないための備えまでです。
なぜ冷えやすいのか
仕組みを知っておくと、何から手を打つべきかが決まります。
熱を作る力が変わります
体温は、筋肉が熱を作ることで保たれています。加齢とともに筋肉量は落ちやすいと言われます。
そして、避難所では動く機会が減ります。座っている時間が長くなり、熱が生まれにくい。周囲に遠慮して、必要以上にじっとしてしまう方もいます。
だから、作る力が落ちているぶん、逃がさない工夫が要ります。衣類の役割が、より大きくなります。
末端の血流が落ちやすい
手足の冷えを訴える方が多いのは、このためです。
寒さにさらされると、体は中心を守るために手足への血流を減らします。この反応が、より強く出ることがあります。
結果として、手足が先に、そして深く冷えます。
薬の影響があることもあります
服用している薬によって、体温調節や血流に影響が出る場合があります。
ただし、これは個別性の高い話です。薬の種類も、体の状態も人によって違います。
かかりつけの医師や薬剤師に、一度確認しておいてください。平時に聞いておけば、災害時に迷わずに済みます。
そして、我慢してしまいます
これは体の話ではなく、気持ちの話です。
避難所では、「周りに迷惑をかけたくない」と考える方が多い。寒くても言い出せません。
だから、周囲から声をかける必要があります。「寒くないですか」ではなく、「毛布をもう一枚どうぞ」のほうが受け取ってもらえます。
優先して守る場所
限られた荷物のなかで、どこから手を打つかです。
一番目|足元
避難所では靴を脱ぎます。そして床に座るか、床に近い高さで寝ます。
体育館の床は板張りかコンクリートで、接触面から熱が逃げ続けます。
底の厚い靴下があると、この接触面が断てます。そして、床に敷くものと組み合わせてください。
ただし、締めつけないこと。きつい靴下は血流を妨げ、かえって冷えます。重ね履きより、一枚を厚手にするほうが確実です。
二番目|肌に触れる一枚
重ね着の土台です。ここが濡れていると、上に何を着ても冷えます。
綿は避けてください。汗を吸ったまま乾かず、体温を奪い続けます。
裏起毛の防寒インナーのように、複数枚がまとまっているものを選ぶと、備蓄と普段使いを兼ねられます。
三番目|首
覆う面積の割に、体感の変化が大きい場所です。そして軽い。
マフラーより、かぶるだけのネックウォーマーのほうが向きます。ほどけず、ずれず、作業中に引っかかりません。
四番目|羽織るもの
体温調節の要になります。暑ければ脱ぎ、寒ければ着る。
ここで大事なのは、一人で着脱できることです。前が開いて、留め具が少ないもの。
頭からかぶる形は、肩や腕が上がりにくい方には負担になります。実際に着てもらって確かめてください。
着脱のしやすさが、想像以上に効きます
ここは、若い世代が見落とす点です。
避難所では、着替えの条件が悪い
仕切りがなく、床は硬く、明かりも十分ではありません。普段の家と同じようにはいきません。
そこで、小さなボタンが並んだ服は扱いにくい。暗い中では、なおさらです。
選ぶ基準は三つ
一、前開きであること。頭からかぶらずに着られます。
二、留め具が大きいか、少ないこと。ファスナーなら、つまみが大きいもの。
三、伸縮性があること。腕を通しやすく、動きを妨げません。
介助する側の負担も変わります
介助が必要な場合、前開きの服は作業がまったく違います。
寝たままでも着替えさせやすく、時間が短く済みます。短く済むということは、体を冷やす時間も短いということです。
能登半島地震が示したこと
高齢の方が多い地域で、真冬に起きた災害でした。
1月1日、そして断水の長期化
2024年1月1日、石川県能登地方で最大震度7を観測しました。元日の夕方です。
そして、断水と停電が長期化しました。暖房が使えない状態が続いたということです。
半島という地形から、物資を運ぶ経路が限られるという問題も大きく報じられました。
避難生活が長引くと、体への負担が積み重なります
寒い場所で、動かず、思うように食べられず、眠れない。この状態が続くこと自体が負担になります。
災害では、直接の被害を免れたあとに体調を崩す方がいます。これを災害関連死と呼びます。
寒さは、その要因の一つになりえます。だから、防寒は「快適さ」の話ではありません。
詳しい経過は別の記事に
被害の全体像や教訓は能登半島地震とはにまとめています。
この記事では、高齢の家族をどう守るかという一点に絞って書いています。
場面別|どこで、何に気をつけるか
置かれた状況で、注意する点が変わります。
在宅避難のとき
いちばん条件がよい形です。ただし、暖房が止まれば室温は外気に近づきます。
ここで効くのは、部屋を狭くすることです。一部屋に集まり、ドアを閉める。使わない部屋の暖房を諦めて、一か所に集中させます。
そして、窓からの冷気です。カーテンを閉め、隙間を塞ぐだけでも違います。
暖房の選択肢は停電しても使える暖房はどれかに整理しました。
避難所にいるとき
いちばん注意が要る場面です。床が冷たく、動く機会が減ります。
暖房が入っても、暖かい空気は上に行きます。床に近い高さは冷えたままです。
だから、床から離すことが最優先になります。段ボール、マット、毛布。何でも構いません。一枚あるかないかの差が大きい。
そして、可能なら椅子を確保してください。床に直接座る時間を減らせます。立ち座りの負担も軽くなります。
車中泊をするとき
エンジンを切ると、車内は急速に冷えます。金属とガラスに囲まれているためです。
そして、同じ姿勢が続きます。これは血栓のリスクにつながります。時間を決めて足を動かし、水分をとってください。
暖房のためにエンジンをかけ続けるのは危険です。雪でマフラーが埋まると、一酸化炭素が車内に入ります。詳しくは雪でマフラーが埋まると一酸化炭素中毒にを読んでください。
離れて暮らしている場合
いちばん難しい状況です。様子が見えません。
できるのは、平時に備えを済ませておくことです。そして、置き場所を共有しておくこと。
災害時に電話がつながらないことも想定して、連絡手段を複数決めておいてください。
備えておくもの
何を、どれだけ置いておくかを具体的に書きます。
| もの | なぜ要るか | 目安 |
|---|---|---|
| 厚手の靴下 | 床からの冷えを断ちます | 3足 |
| 肌に触れる防寒インナー | 重ね着の土台になります | 3枚 |
| 下着の替え | 支援で最も届きにくい | 3日分 |
| ネックウォーマー | 軽く、体感が変わります | 1つ |
| 前開きの上着 | 一人で着脱できます | 1枚 |
| 床に敷くもの | 接触面から熱が逃げます | 1枚以上 |
| お薬手帳のコピー | 受診時に必要になります | 1部 |
お薬手帳を忘れないでください
衣類の話ではありませんが、ここは切り離せません。
持病がある場合、避難先で受診することになります。そのとき、飲んでいる薬が分かるものが要ります。
お薬手帳のコピーか、写真。持ち出し袋に入れ、離れて暮らす家族もその写真を持っておいてください。
普段使っているものを、そのまま袋に
新しく買ったものは、使い慣れていません。暗い中、寒い中で初めて使うのは避けたい。
普段使っているものと同じものを、もう一組買って袋に入れる。これがいちばん確実です。
置き場所を、本人と共有してください
そろえても、どこにあるか分からなければ意味がありません。
玄関か、寝室の入口か。本人が指させる場所に置いてください。
周囲が気づくためのサイン
本人の申告が当てにならない前提で、何を見るかです。
触って分かること
手の甲、首の後ろ、耳。この三か所です。
とくに首の後ろが冷たいときは、体の中心まで冷えている可能性があります。手足だけが冷たいのとは意味が違います。
声をかけながら触ってください。黙って触ると驚かせます。
見て分かること
体を丸めている。肩に力が入っている。手を組んでいる。これは寒さへの反応です。
そして、震え。体が熱を作ろうとしているサインです。
ただし、震えが止まったからといって、よくなったとは限りません。むしろ注意が必要な変化です。
話して分かること
受け答えがいつもと違う。話がかみ合わない。反応が遅い。
こうした変化は、周囲がいちばん気づきやすいものです。普段を知っている人にしか分かりません。
気になったら、すぐに医療者に伝えてください。避難所には保健師や医療班が入ります。判断は、その人たちに任せてください。
食べていない、飲んでいないことにも注意を
体温を保つには、燃料が要ります。食べていなければ、熱は作れません。
避難所では、「トイレに行きたくないから水を控える」という方がいます。これは危険です。
脱水は、体調を大きく崩す要因になります。トイレの心配は、環境のほうを何とかする問題です。我慢で解決しないでください。
やってしまいがちな失敗
よかれと思ってやったことが、逆効果になる場合があります。
厚い靴下を、いつもの靴に押し込む
足が圧迫されると血流が落ち、かえって冷えます。そして靴ずれの原因になります。
厚手を使うなら、靴に余裕があるかを確かめてください。室内用と屋外用を分ける方法もあります。
重ね着をさせすぎる
枚数を増やせば暖かい、とは限りません。きつくなれば血流が落ちます。
そして、動きにくくなります。立ち座りやトイレに行くのが億劫になれば、そのほうが問題です。
薄いものを、ゆとりをもって重ねる。これが基本です。
カイロを肌に直接貼る
感覚が鈍くなっていると、熱さに気づくのが遅れることがあります。
そして、眠っているあいだは気づけません。低温やけどは、こうして起こります。
製品の注意書きに従ってください。不安があれば、医師に相談を。
暖房器具を、締め切った部屋で使う
石油ストーブやカセットガスの暖房は、換気が要ります。
寒いからと窓を閉め切ると、一酸化炭素の危険があります。そして、その症状は本人が気づきにくい。
使うなら、時間を決めて換気してください。詳しくは停電しても使える暖房はどれかに書きました。
本人に決めさせすぎる
意思を尊重するのは大切です。ただし、寒さの判断だけは別に考えてください。
感じ方がずれている可能性があるなら、周囲が先に手を打つほうが安全です。
「寒くないですか」と聞くより、「これ使ってください」と渡す。受け取ってもらいやすくなります。
避難所で、伝えるべきこと
遠慮してしまうことが、かえって状況を悪くする場合があります。
配慮が必要なことは、早めに伝える
持病がある。歩くのに支障がある。介助が要る。
こうした事情は、早く伝えるほど対応が動きます。後になるほど、場所も物資も動かしにくくなります。
伝える先は、避難所の運営者と保健師です。紙に書いて渡す方法もあります。
場所の希望は、言ってよいことです
トイレに近い場所、壁際、出入口から離れた場所。それぞれに理由があります。
トイレが遠いと、水を控えるようになります。出入口の近くは、人の出入りで冷気が入ります。
「わがままだと思われないか」と考える方が多いのですが、これは安全に関わる要望です。
福祉避難所という枠組みがあります
介助が必要な方や、一般の避難所での生活が難しい方のために、福祉避難所という仕組みが市区町村にあります。
ただし、数に限りがあり、開設のタイミングも自治体によって違います。
平時のうちに、住んでいる市区町村に確認しておいてください。どこにあるか、どう申し出るか。知っているだけで動きが違います。
椅子があるかを聞いてください
意外に効きます。床に直接座る時間を減らせるからです。
体育館には、たいてい折りたたみ椅子が保管されています。使えるかどうか、聞いてみる価値があります。
立ち座りの負担も減ります。それがトイレに行く回数を保ち、水分をとることにつながります。
平時にやっておくこと
災害が起きてからでは、間に合わないことがあります。
一、薬について、医師に確認しておく
体温調節や血流に影響する薬があるかどうか。これは個別の話なので、私には判断できません。
次の診察のときに、「災害で寒い場所にいることになったら、気をつけることはありますか」と聞いてみてください。
そして、薬の予備をどれだけ持てるかも確認しておいてください。
二、一度、着てみてもらう
備えた服を、実際に着てもらってください。
一人で着られるか。きつくないか。これは着てみないと分かりません。
そして、本人が「これでいい」と納得しているかも大事です。納得していないものは、いざというとき使われません。
三、置き場所を決めて、共有する
玄関、寝室の入口、決まった棚。本人が指させる場所に置いてください。
そして、離れて暮らす家族も、その場所を知っておく。電話で誘導できます。
四、年に一度、点検する
サイズが合わなくなっていないか。体型は変わります。
ゴムが伸びていないか。傷んでいないか。実際に手に取って確かめてください。
点検の全体像は防災用品の点検日にまとめました。
五、避難の方法を話しておく
どこに逃げるか。誰が迎えに行くか。連絡がつかないときはどうするか。
衣類の備えは、この話の一部です。持ち出し袋があっても、逃げる先が決まっていなければ使いません。
寒さ以外にも、目を向けてください
防寒だけでは足りない部分があります。
動かないことの影響
避難所や車中泊では、同じ姿勢が続きます。これは血栓のリスクにつながります。
そして、動かないと熱も生まれません。寒さの問題とも直結します。
時間を決めて立ち上がり、少し歩く。足首を回すだけでも違います。
ただし、無理をさせないでください。転倒すれば、そのほうが大きな問題になります。
眠れないことの影響
寒い、硬い、明るい、うるさい。避難所は眠りにくい環境です。
眠れない状態が続くと、体調は確実に落ちます。そして、判断力も落ちます。
床に敷くものと、アイマスクや耳栓。これだけでも眠りやすさが変わります。かさばらないので、袋に入れておく価値があります。
口の中を清潔に保つこと
見落とされやすい点です。断水すると、歯磨きが後回しになります。
高齢の方の場合、口の中の状態が肺炎につながることが指摘されています。水が使えなくても、拭き取るだけで違います。
使い捨ての歯みがきシートや、少量の水でできる方法があります。備蓄に加えておいてください。
体調の変化は、早めに相談を
熱がある、食べられない、いつもと様子が違う。災害時は受診をためらいがちですが、早いほうが軽く済みます。
避難所には保健師が巡回し、災害医療のチームも動きます。相談先は、思っているよりあります。
繰り返しますが、私は防災士であって医師ではありません。ここから先は医療者の領域です。
離れて暮らす家族ができること
実家が遠い方に向けて書きます。
送るなら、使ってもらうところまで
送っただけでは、しまわれたままになります。
電話で「届いた」を確認したあと、「どこに置いた」まで聞いてください。
できれば、次に帰省したときに一緒に袋に入れる。これがいちばん確実です。
通販で直接送れます
衣類は軽く、期限もありません。通販で実家に直送できます。
まとめて何かを買うより、肌に触れる一枚と厚手の靴下から始めてください。確実に使われます。
帰省のときに、一緒に点検する
年末年始やお盆に、持ち出し袋を一緒に開けてみてください。
何が入っているか。サイズは合うか。それだけで点検は終わります。
そして、置き場所を一緒に確認する。これが最も大事です。
連絡手段を決めておく
災害時、電話はつながりにくくなります。災害用伝言ダイヤルや、メッセージアプリなど、複数の手段を決めておいてください。
そして、使い方を一度試しておく。本番で初めて使うのは避けたい。
寒さは、命に関わる問題です
最後に、この記事の前提を書いておきます。
快適さの話ではありません
防寒というと、「我慢すればいい」と考えられがちです。とくに、我慢を美徳としてきた世代ではそうなります。
しかし、寒い場所で過ごし続けることは、体に負担を積み重ねます。
直接の被害を免れたあとに体調を崩す。災害では、これが実際に起きています。
だから、遠慮する場面ではありません
毛布をもう一枚もらう。場所を替えてもらう。椅子を出してもらう。
どれも、体を守るための行動です。わがままではありません。
本人が言い出せないなら、家族が代わりに伝えてください。
そして、備えは平時にしかできません
災害が起きてから買いに行くことはできません。店は閉まり、道は使えません。
いま、実家の玄関に何が置いてあるか。それが、そのまま答えになります。
靴下一足からで構いません。今日、一つ動かしてください。
よくある質問
Q. 本人が「寒くない」と言います。どうすればよいですか
まず、触って確かめてください。手の甲、首の後ろ、耳。
冷たければ、聞くのをやめて先に渡してください。「使ってください」と置いておくほうが、受け取ってもらえます。
そして、受け答えや動きに変化があれば、医療者に相談してください。ここは自己判断で様子を見る場面ではありません。
Q. 使い捨てカイロを貼っておけば安心ですか
有効ですが、低温やけどに注意が必要です。
感覚が鈍くなっていると、熱さに気づくのが遅れることがあります。そして、眠っているあいだは気づけません。
肌に直接貼らない。同じ場所に長時間当てない。製品の注意書きに従ってください。気になる場合は、医師に相談してください。
Q. 湯たんぽはどうですか
電気が要らないので、停電時には有効な選択肢です。
ただし、これも低温やけどの危険があります。布で包み、直接肌に当てないでください。
そして、お湯を沸かす手段が要ります。カセットコンロがあるかどうかを確認しておいてください。
Q. 何日分の着替えを用意すべきですか
内閣府は家庭の備蓄について、最低3日分、できれば1週間分という考え方を示しています。
衣類も同じ前提で構いません。とくに下着と靴下です。支援物資では最も届きにくい部類です。
理由は災害時、服は支援物資で届きますかに書きました。
Q. 離れて暮らす親に、何を送ればよいですか
まず、肌に触れる一枚と、厚手の靴下です。軽く、送りやすく、確実に使えます。
そして、実際に使ってもらってください。送っただけでは、しまわれたままになります。
電話で「届いた」を確認するだけでなく、「どこに置いた」まで聞いてください。置き場所が分からなければ、災害時に取り出せません。
Q. 本人が備えに関心を持ってくれません
よくある悩みです。正論では動きません。
効くのは、すでに用意したものを持っていくことです。「これ、置いておくね」と渡すほうが、話が早い。
そして、全部をいっぺんに変えようとしないでください。靴下一足からで構いません。
もう一つ効くのは、本人ではなく孫や家族の話にすることです。「自分のために」より「家族が心配するから」のほうが、受け入れられることがあります。
Q. 施設に入居している場合は
施設には防災計画があり、備蓄も用意されています。まずは、そこを確認してください。
そのうえで、個人の持ち物として何を置けるかを聞いてみてください。施設ごとに方針が違います。
家族としてできるのは、災害時の連絡方法と、避難先を確認しておくことです。
Q. 電気毛布は備えとして有効ですか
普段は有効です。ただし、停電すれば使えません。
災害の備えとして考えるなら、電気が要らないものを軸にしてください。衣類、寝袋、床に敷くもの。
ポータブル電源があれば話は変わりますが、容量との相談になります。暖房器具は消費が大きい部類です。
Q. 何から買えばよいですか
厚手の靴下です。安く、確実に使われ、避難所で最も効きます。
次に、肌に触れる防寒インナー。重ね着の土台になります。
この二つがあれば、最低限の形にはなります。そのあとで、首と羽織るものを足してください。
Q. 夏の暑さにも、同じ注意が要りますか
要ります。感じ方がずれるという点は、暑さでも同じです。
「暑くない」と言っていても、室温が上がっていることがあります。だから、温度計を置いて数字で判断してください。
そして、エアコンを我慢させないでください。電気代を気にして切ってしまう方がいます。
Q. 服の枚数は、若い人と同じでよいですか
枚数は同じでも、中身の選び方が変わります。
着脱しやすいこと。締めつけないこと。この二つを優先してください。
そして、下着は多めに。体調を崩したときに必要になります。
Q. 家族が複数の高齢者を支える場合は
それぞれに袋を分けてください。まとめると、誰が何を使うか分からなくなります。
名前を書いておくのが確実です。薬も、衣類も、混ざると困ります。
そして、支える側が倒れないこと。手が回らないと感じたら、避難所の運営者や保健師に伝えてください。
Q. 靴はどう選べばよいですか
足元は、防寒と安全の両方に関わります。
選ぶ基準は、脱ぎ履きしやすく、かつ脱げにくいこと。この二つは矛盾しているようですが、面ファスナーで調節できるものなら両立します。
そして、底が滑りにくいこと。避難所の床は、濡れると滑ります。転倒は、そのまま骨折につながることがあります。
サンダルやスリッパは、避難時には向きません。脱げやすく、足を守れません。室内用として使う分には構いません。
Q. 寝るときは何を着せればよいですか
普段の寝間着に、一枚足すのが基本です。
そして、頭を覆ってください。寝袋や布団を使っても、顔から上は外気にさらされます。薄手の帽子をかぶるだけで、寝つきが変わります。
足元も同じです。靴下を履いたまま寝ることに抵抗がなければ、そのほうが暖かい。
まとめ|聞くのではなく、触ってください
最後に整理します。
この記事の要点
一、寒さを感じにくいことがあります。申告を待たないでください。
二、手の甲・首の後ろ・耳を触って確かめる。これが最も確実です。
三、守る順番は、足元、肌に触れる一枚、首、羽織るもの。
四、着脱しやすい服を選ぶ。前開きで、留め具が少ないもの。
五、様子が違えば、医療者に。ここは自己判断の場面ではありません。
今日できること
実家に電話をするなら、持ち出し袋に何が入っているかを聞いてみてください。
覚えていない、開けたことがない。その答えが返ってくるなら、それが出発点です。
責めないでください。備えができていない家庭のほうが、まだ多いのが実情です。まずは靴下一足を送るところから始めれば十分です。
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