凍死は屋内で起きています|年間1000人前後、北海道より南の県で増えている

凍死は屋内で起きています|年間1000人前後、北海道より南の県で増えている

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【この記事の要約】
日本では、低温による死者が年間1,000人前後に達しています。日本気象学会の学会誌に掲載された報告によれば、2008年から2017年までの10年間の総数は11,002人でした。そしてその多くが、屋内で起きています。屋内での凍死は、屋外の3倍以上と報告されています。もうひとつ、意外な事実があります。近年、北海道の死亡率は低下し、鹿児島県や沖縄県では上昇しているというのです。従来の「北で高く、南で低い」という分布が、逆転しつつあると報告されています。いちばん寒い地域が、いちばん危ないわけではないのです。理由として考えられるのは、住宅と暮らしの備えです。寒さが厳しい地域では、家の断熱も、暖房の使い方も、それに合わせて作られてきました。寒さがそこまで厳しくない地域では、そこまでの備えが求められてこなかった。その差が、屋内の温度差になって表れます。この記事では、凍死という言葉の実態と、なぜ家の中で起きるのか、そして何ができるのかを整理します。体調に不安がある場合は、必ず医師にご相談ください。

「凍死」という言葉から、どんな場面を思い浮かべるでしょうか。

雪山での遭難。吹雪のなかで動けなくなった人。極寒の路上で倒れている人。

私も、そう思っていました。

ところが統計を調べてみると、まったく違う光景が見えてきました。それは、私の想像とは正反対のものでした。

亡くなっている方の多くは、家の中にいます。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。北海道は、日本でいちばん寒い場所です。

しかし、この記事で書く事実は、北海道の話ではありません。むしろ逆かもしれません。

目次

結論|寒い地域より、寒くない地域が危ない

先に結論を書きます。

凍死は、屋内で起きています。そして、いちばん寒い地域で起きているわけではありません。
危険を決めているのは、外の気温ではなく「その寒さに、家と暮らしが備えているかどうか」です。

これは、この冬に何度も書いてきたことと同じ構造です。

大雪警報の基準が市町村で4倍違うのも、里雪型のほうが被害が大きいのも、すべて「備えの差」が結果を分けているという話でした。

凍死も、同じです。そして、この記事でいちばん驚いたのは、その傾向が数字にはっきり表れていたことでした。

数字を並べます

年間1,000人前後

日本気象学会の学会誌に掲載された報告によれば、日本では低温による死者が年間1,000人前後に達しています。

期間 低温による死者数
2008年〜2017年の10年間 合計 11,002人
2001年〜2014年の合計 13,204人(同期間の暑熱は8,789人)
2017年 1,371人(同年の熱中症は635人)

熱中症より多い。これが、まず知っておくべき事実です。しかも、その差は小さくありません。

低体温症そのものについては低体温症とは?深部体温35度以下で起きることに書きました。

屋内が、屋外の3倍以上

そして、その多くが屋内で起きています。

屋内での凍死は、屋外の3倍以上と報告されています。

この数字を、もう一度見てください。

雪山でも、路上でもない。家の中で亡くなっている方のほうが、3倍以上多いのです。

そして、分布が変わりつつあります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

報告によれば、近年、北海道の死亡率は低下し、鹿児島県や沖縄県では上昇しているとされています。

従来は「北で高く、南で低い」という分布でした。それが逆転しつつある、というのです。

また、冬の平均気温が1度変わると、死亡率がおよそ12パーセント変化するという関係も報告されています。

つまり、寒い地域ほど死亡率が高いという傾向自体は、これまで存在してきました。しかし、その関係が変わり始めているということです。

なぜ、いちばん寒い地域が、いちばん危ないわけではないのか

ここからは、私の考えを含みます。確認できた事実ではないので、そのつもりで読んでください。

寒さが厳しい地域は、それに備えてきました

北海道の住宅は、断熱がしっかりしています。そうしなければ、冬を越せないからです。

寒さの厳しい地域 寒さがそこまでではない地域
断熱 厚い。窓も二重・三重 そこまで求められてこなかった
暖房 家全体を暖める設計 人のいる部屋だけ
燃料 大量に使う前提。備蓄もする 必要なときだけ
意識 寒さは危険だと知っている 「なんとかなる」と考えがち

最後の行が、大きいと思っています。

北海道では、寒さで人が死ぬということを、みんなが知っています。だから暖房を切りません。

寒くない地域では、家の中が寒くなります

国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業調査(2019年発表)によれば、日本の居間の室温の平均は16.7度、脱衣所は12.6度でした。

これは全国の平均です。

そして冬の寒さが厳しい地域ほど、室温が高いという傾向が知られています。家の作りが違うからです。

つまり「外が暖かい地域のほうが、家の中は寒い」ということが起こり得ます。

詳しくは冬の室温はWHOが18度以上を勧告に書きました。

備えのない寒さが、いちばん危ない

これが、私の見立てです。

マイナス20度でも、備えがあれば人は死にません。北海道では、そうやって暮らしています。

5度でも、備えがなければ危険になり得ます。暖房のない部屋で、動けない状態で、長時間過ごせば。

雪の話とまったく同じです。備えのある地域は条件が厳しくても耐え、備えのない地域は条件がゆるくても被害が出ます。

なぜ、家の中で起きるのか

具体的に見ていきます。

①暖房のない部屋が、家の中にあります

日本の住宅では、家全体を暖めるという考え方が一般的ではありませんでした。

居間だけを暖める。廊下、脱衣所、トイレ、寝室は、暖房の対象外です。

そして寝室では、何時間も過ごします。

②就寝中は、熱を作れません

体を動かすことは、熱を作ることです。

寝ているあいだは動きません。つまり、熱の生産が落ちた状態で、長時間その部屋にいることになります。

そして明け方、放射冷却でいちばん冷え込む時間を、その部屋で迎えます。

③本人が気づけません

低体温症は、判断力が落ちるのが初期の症状です。

「寒いから暖房をつけよう」という判断が、できなくなります。

そして高齢になると、寒さそのものを感じにくくなることが知られています。

寒くない、と本人が思っている。しかし体温は下がっている。この状態が起こり得ます。

④一人だと、誰も気づきません

これが、決定的です。

同居している人がいれば、様子の変化に気づけます。一人暮らしでは、それがありません。

そして発見が遅れます。統計に「屋内が3倍」と出てくる背景には、この構造があると考えられます。

⑤動けない状態が重なると

転倒して動けなくなった。体調が悪くて寝込んでいた。

こうした状態が寒さと重なると、熱を作れないまま、床から熱を奪われ続けます。

日本救急医学会も、低体温症が起こりやすい状況として高齢者を挙げています。

いつ、起きているのか

場所だけでなく、時期と時間帯にも傾向があります。

時期

低温による死亡は、冬のあいだ広く分布します。

熱中症のように、特定の数日に集中するわけではありません。12月から3月にかけて、継続的に起こります。

そして寒波が来た時期には、当然増えます。冬の平均気温と死亡率に関係があるという報告は、そのことを示しています。

時間帯

明け方が、いちばん冷え込みます。

放射冷却によって、日の出の直前ごろに気温が最低になります。そして、その時間に人は寝ています。

暖房を切った部屋で、動かず、何時間も過ごしたあと。いちばん体温が下がりやすい条件がそろいます。

放射冷却の仕組みは放射冷却とは?晴れた朝ほど冷える3つの条件に書きました。

だから、寝室なのです

この3つが重なります。

条件 寝室で起きること
暖房がない 就寝時に切ることが多い
動かない 熱を作れません
長時間 6〜8時間、その環境にいます
いちばん冷える時間帯 明け方を、そこで迎えます
気づく人がいない 一人なら、なおさらです

この5つがそろう場所は、家の中では寝室だけです。

「凍死」という言葉の、誤解

言葉について、整理しておきます。

凍って死ぬわけではありません

凍死という字面から、体が凍りつく場面を想像しがちです。

しかし実際には、体の深部の温度が下がりすぎて、体の機能が保てなくなることを指します。

体が氷になるわけではありません。深部体温が35度を下回った状態が進行し、心臓や呼吸の働きが失われていきます。

だから、氷点下でなくても起こります

ここが重要です。

「凍」という字があるので、氷点下でなければ起きないように思えます。しかし、そうではありません。

濡れていれば、風があれば、動けなければ、体力が落ちていれば。気温が5度でも10度でも、体温は下がり続けます。

春や秋の水難事故で低体温症が起きるのも、同じ理由です。

統計上の分類

人口動態統計では、「自然の過度の低温への曝露」という分類が使われています。

報道などで「凍死」と表現されるのは、この分類にあたるものです。

ですから「凍死」は、日常語としての印象より、はるかに広い状況を含んでいます。

この統計を、どう受け止めるか

数字を並べてきましたが、受け止め方を間違えないようにしたいと思います。

不安をあおる意図はありません

年間1,000人前後という数字は、日本の人口から見れば大きくはありません。

過度に恐れる必要はないと思います。

ただ、熱中症より多いのに、ほとんど知られていないという不均衡は、埋める価値があると考えています。

そして、防ぎやすい部類の死因です

ここが重要だと思っています。

地震や津波は、起きること自体を防げません。しかし部屋の寒さは、変えられます。

できること
現象を防ぐ できません。冬は毎年来ます
環境を変える できます。カーテン、敷物、暖房
気づく できます。温度計を置くだけです
助けを呼ぶ できます。救急に連絡する

4つのうち3つが、自分でできる範囲にあります。

これは、防災の分野のなかでは珍しいことだと思います。打てる手が、はっきりしているからです。

費用も、それほどかかりません

温度計が数百円。カーテンを閉めるのは0円。敷物は、手持ちのもので代用できます。

もちろん暖房費という問題は残ります。けれど「何度なのかを知る」ところまでは、ほぼ費用なしでできます。

では、何ができるのか

ここからが実務です。

自分の家について

やること 費用
寝室に温度計を置く 数百円。まずこれです
朝いちばんに、その数字を見る 0円
18度を下回っていたら、対策する 判断の基準を持つ
暗くなる前にカーテンを閉める 0円
寝具の下に敷物を足す 手持ちのもので代用可

温度計を置くことが、いちばん確実です。

感覚では分かりません。数字にすれば、比べられます。

離れて暮らす家族について

屋内が屋外の3倍という統計を踏まえると、いちばん効くのはここだと思います。

できること なぜ効くか
温度計を送る 数字が見えれば、本人も判断できます
「部屋は何度?」と聞く 「寒くない?」では、答えは「大丈夫」です
灯油を送る、費用を持つ 我慢する理由そのものをなくします
寝る部屋を確認する 暖房のない部屋で寝ていないか
寝具を厚いものに替える 暖房費をかけずに、寝ている間を守れます

「寒くない?」と聞いても、答えは「大丈夫」です。

寒さを感じにくくなっている可能性があるので、本人の感覚ではなく、数字を聞いてください。

暖房費の問題

これは、書きにくいことですが書きます。

燃料費を気にして暖房を控える。これは実際に起きています。

とくに一人暮らしの高齢の方の場合、「自分ひとりだから」と考えがちです。

自治体によっては、高齢世帯や低所得世帯を対象にした燃料費の助成制度があります。制度の有無や条件は市町村ごとに異なりますので、お住まいの自治体の窓口にご確認ください。

冬が本格化する前に、調べておくとよいと思います。

気づくための、生活のなかの合図

屋内で起きるということは、日常のなかにサインがあるということです。

本人が気づける合図

合図 意味すること
朝、布団から出るのがつらい 部屋が冷えすぎている可能性があります
夜中にトイレの回数が増えた 寒さで体温が下がると、尿が増えることが知られています
手先が動かしにくい 体が冷えているサインです
日中もずっと寒い 暖房が足りていない可能性
厚着をしても暖まらない 室温そのものが低すぎます

「夜中にトイレが近くなる」は、意外に知られていません。

寒さで体温が下がり始めると、尿が増えることが知られています。年齢のせいだと思っていたものが、部屋の寒さのせいかもしれません。

家族が気づける合図

合図 確かめること
いつもより口数が少ない 受け答えがはっきりしているか
動作が遅い、ぼんやりしている 判断力が落ちている可能性
暖房をつけていない 室温を測ってみる
厚着をしていない 寒さを感じていない可能性があります
灯油や燃料が減っていない 使っていないということです

最後の行は、離れて暮らしていても確認できます。

灯油の配達を頼んでいるなら、その頻度で分かります。減っていないなら、暖房を使っていないということです。

迷ったときは

受け答えがおかしい、震えが止まっている、ぐったりしている。この3つのどれかがあれば、救急に連絡してください。

低体温症の段階の見分け方は低体温症の3段階に書きました。

災害のときは、これが一気に起きます

ここまでは、平常時の話でした。

冬に停電すれば、暖房が止まります。そして、すべての家が「暖房のない家」になります。

やること 理由
部屋を1つに絞る 暖める空間を最小にする
カーテンを閉める 窓からの熱の流出を止める
床に敷物を重ねる 段ボールでも効果があります
重ね着と寝袋 部屋を暖めるより、体を包むほうが確実です
水道の水を細く出す 暖房が止まると、家の中の配管も凍ります

そして、屋内で換気せずに燃焼するものを使わないでください。

カセットコンロ、炭、屋外用のバーナー。一酸化炭素中毒の事故が実際に起きています。一酸化炭素は無色無臭で、気づけません。

冬の停電への備えは停電対策【冬編】にまとめました。

電気を使わない暖房があるか

これは、いま確認しておいてください。

石油ストーブでも、点火や送風に電気を使う機種があります。コンセントを抜いて動くかどうか、一度試してみてください。

ひとつもないなら、それが冬のいちばん大きな弱点です。

どの部屋が、いちばん危ないのか

家のなかでも、場所によって危険の度合いが違います。

場所 滞在時間 暖房 危険度
寝室 非常に長い 切ることが多い 最も高い
脱衣所・浴室 短い ないことが多い 温度差が大きい
トイレ 短い ないことが多い 夜間は注意
廊下 ごく短い なし 移動時の温度差
居間 長い あり 比較的低い

寝室が突出しています。滞在時間が長く、暖房を切り、しかも動かず、一人になる時間だからです。

脱衣所と浴室は、別の危険です

滞在時間は短いのですが、裸になる場所です。

そして暖かい居間から急に移動するため、大きな温度差にさらされます。

これはヒートショックと呼ばれ、冬に注意が呼びかけられています。

一般に呼びかけられている対策としては、脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておくこと、湯温を上げすぎないこと、家族に声をかけてから入浴することなどがあります。ただし、ご自身の体調や持病に応じた判断については、必ず医師にご相談ください。

費用0円でできること

入浴の前に、浴室のふたを開けておいてください。

湯気が脱衣所まで届いて、温度差が小さくなります。費用はかかりません。

そして脱衣所のドアも、入浴前に開けておく。居間の暖かい空気が回ります。

北海道から見ていて、思うこと

北海道の死亡率が下がっているという報告を読んで、私は少し複雑な気持ちになりました。

それは、北海道が寒さに強くなったということです。断熱の水準が上がり、暖房の使い方が定着し、危険が知られている。

けれど同時に、暖かいはずの地域で数字が上がっているということでもあります。

私は、これを「南の地域が危なくなった」とは思いません。もともとあった弱さが、見えるようになってきたのだと思います。

そして、その弱さは技術でも根性でもなく、備えの有無です。

断熱、暖房、そして「寒さは危険だ」という認識。この3つがあるかどうかで、同じ気温でも結果が変わります。

だからこの記事は、雪国の方より、雪の少ない地域の方に読んでいただきたいのです。

北海道の人は、すでに知っています。知らないのは、寒さがそこまで厳しくない地域の人のほうです。

なぜ、これほど知られていないのか

年間1,000人前後という規模でありながら、この事実はあまり知られていません。理由を考えてみます。

①報道されにくい

熱中症は、真夏の短い期間に集中して起こります。連日、気温とともに報道されます。

低温による死亡は、冬のあいだ、じわじわと起こります。ある日に集中するわけではないので、ニュースになりにくい。

②屋内は、見えません

屋外で人が倒れていれば、目に見えます。家の中のことは、見えません。

そして発見が遅れるため、「いつ、どういう状況で」がはっきりしないことがあります。

③警戒を呼びかける仕組みがありません

暑さ 寒さ
警戒の情報 熱中症警戒アラート 相当するものがありません
物差し 暑さ指数 日常的な指標がありません
気象用語 夏日・真夏日・猛暑日・熱帯夜 冬日・真冬日のみ

暑さの側には、何重にも仕組みがあります。寒さの側には、ほとんどありません。

用語の非対称については冬日と真冬日の違いに書きました。

④「凍死」という言葉が、遠く感じさせます

これも大きいと思います。

凍死と聞けば、雪山や極地を思い浮かべます。自分の家の話だとは、思いません。

言葉が、実態から人を遠ざけている。そういう面があるのではないでしょうか。

よくある質問

Q. 凍死は、路上生活の方に多いのではないですか?

日本救急医学会は、低体温症が起こりやすい状況のひとつとして路上生活者を挙げています。

ただし、統計上は屋内での発生が屋外の3倍以上と報告されています。

ですから屋外の問題だけではない、というのがこの記事の趣旨です。

Q. 何度以下になったら危ないですか?

気温だけでは決まりません。

濡れているか、風があるか、動けるか、食べているか、年齢や体調はどうか。これらが重なって決まります。

ですから「この気温なら安全」という線引きはできません。

目安として使えるのは、WHOが示している「冬の室内温度は最低18度以上」という勧告です。

Q. 一人暮らしの親が心配です。何から始めればいいですか?

温度計を送ることをおすすめします。

数百円で、毎日目に入ります。そして「今日は何度?」と電話で聞けるようになります。

「寒くない?」より、はるかに実態が分かる質問になります。

Q. 暖房をつけっぱなしにするのは、体に悪くないですか?

この判断は、私にはできません。

器具の安全な使い方については、必ず製品の取扱説明書に従ってください。就寝中の使用が想定されていない器具もあります。

健康への影響については、ご自身の体調や持病に応じて、医師にご相談ください。

Q. 自分の家は大丈夫か、どう確かめますか?

朝いちばんに、暖房をつける前の寝室の温度を測ってください。

それが、その部屋の本当の温度です。日中に測っても、実態は分かりません。

そして、その数字をWHOが示す18度と比べてください。下回っていれば、対策が必要な場所だということになります。

なお、WHOは高齢者や子ども、慢性疾患のある方にはそれより暖かい室温を推奨しています。18度は下限です。

Q. 沖縄でも、凍死は起きるのですか?

報告によれば、沖縄県では死亡率が上昇しているとされています。

気温が低くならない地域でも起こり得る、ということです。

理由として考えられるのは、住宅が寒さを想定していないことです。気温が下がったときに、室内の冷え込みがかえって厳しくなることがあります。

ただし、この因果関係については確認できた資料がありません。私の推測を含みます。

Q. 「12パーセント」という数字は、どういう意味ですか?

冬の平均気温が1度変わると、低温による死亡率がおよそ12パーセント変化するという関係が報告されています。

これは、気温の差が、そのまま死亡率の差に表れているということです。

ただしこれは統計上の関係であり、個々の状況を予測するものではありません。住宅の状態や暮らし方によって、実際の危険は大きく変わります。

Q. 断熱のリフォームをすべきですか?

効果は期待できますが、費用の判断は個々のご事情によります。

私はファイナンシャルプランナー等の資格を持っておらず、投資としての判断について助言はできません。

ただし、自治体によっては断熱改修への補助制度があります。制度の有無や条件は市町村ごとに異なりますので、窓口にご確認ください。

そして、リフォームの前にできることもあります。カーテン、敷物、すきまテープ、断熱シート。これらは数千円以内で、賃貸でも使えます。

Q. 見守りサービスは有効ですか?

選択肢のひとつだと思います。ただし、私は特定のサービスを評価できる立場にありません。

ここで書けるのは、「一人だと気づかれない」という構造が、統計の背景にあるということまでです。

電話でも、訪問でも、機器でも。誰かが定期的に様子を確認する仕組みがあるかどうかが、分かれ目になります。

自治体が実施している見守りの仕組みもあります。内容は市町村ごとに異なりますので、窓口にご確認ください。

Q. この統計は、高齢者だけの話ですか?

高齢の方が多いことは、繰り返し指摘されています。

日本救急医学会も、低体温症が起こりやすい状況として高齢者を挙げています。

ただし高齢者だけの問題ではありません。同じ学会は、幼少児、泥酔、薬物中毒、脳血管障害、頭部外傷なども挙げています。

そして災害で停電すれば、年齢に関係なく起こり得ます。

Q. 「暖房を我慢しない」以外に、確実な対策はありますか?

熱を逃がさないことです。

暖房を強くするのは費用がかかりますが、逃げていく熱を止めるのは、安く済みます。

やること 費用の目安
暗くなる前にカーテンを閉める 0円
カーテンを床まで届く長さにする 手持ちのもので代用可
寝具の下に敷物を足す 段ボールでも効果があります
すきまテープを貼る 数百円
窓に断熱シートを貼る 数百円から

「掛けるより敷く」を覚えておいてください。床に接している面から、熱は逃げ続けます。

まとめ|3つの事実です

要点 内容
規模 低温による死者は年間1,000人前後。10年で11,002人
場所 屋内での凍死が、屋外の3倍以上
分布 北海道は低下、鹿児島・沖縄は上昇。逆転しつつあります
気温との関係 冬の平均気温1度で、死亡率が約12パーセント変化
言葉の実態 体が凍るのではなく、深部体温が下がりすぎること
できること 温度計を置く。18度を基準にする

この記事で伝えたかったのは、ひとつだけです。

凍死は、遠い場所の話ではありません。

雪山でも、路上でもなく、暖房のない部屋で起きています。そして、いちばん寒い地域で起きているわけでもありません。

危険を決めているのは、外の気温ではなく備えの有無です。

そして備えの第一歩は、いまの状態を知ることです。

温度計をひとつ、寝室に置いてください。そして、離れて暮らすご家族にも、ひとつ送ってみてください。

それだけで、この冬に確認できることが増えます。

そして、もし数字が18度を下回っていたら。そこが、あなたの家のいちばん弱い場所です。

弱い場所が分かれば、対策は選べます。カーテンを替えるのか、敷物を足すのか、暖房を入れるのか。

けれど、数字を知らないうちは何も選べません。この記事で伝えたかったのは、結局そこに尽きます。

【この記事について】
低温による死者数、屋内外の比率、都道府県別の傾向、気温と死亡率の関係は、厚生労働省の人口動態統計をもとにした報告および日本気象学会の学会誌に掲載された報告を参照して整理しました。数値は集計期間や年次によって変動します。また、分布が変化している理由について本文で述べた見解は、私の推測を含んでおり、確認された因果関係ではありません。室温に関する勧告は世界保健機関(WHO)が2018年に公表したガイドライン、日本の住宅の室温は国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業調査(2019年発表)によるものです。この記事は統計と一般的な情報を整理したものであり、診断や治療、応急処置についての判断は行っていません。体調に不安がある場合、症状が疑われる場合は、ためらわずに救急(119番)に連絡し、医師の指示に従ってください。燃料費の助成制度は市町村ごとに異なります。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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