【この記事の要約】
冬日とは、その日の最低気温が0度未満の日のことです。真冬日とは、その日の最高気温が0度未満の日を指します。違いは、0度を下回るのが「最低気温」か「最高気温」かという一点だけです。真冬日は、一日じゅう0度未満だったということ。つまり真冬日のほうが、はるかに厳しい寒さです。そして、この2つはどちらも気象庁の正式な用語です。いっぽう「厳冬日」や「厳寒日」という言い方を見かけることがありますが、これらは気象庁の正式な用語ではありません。報道や会話のなかで使われている表現です。夏でいえば、猛暑日が正式な用語で、酷暑日がそうでないのと同じ関係です。ここで、ひとつ気づいてほしいことがあります。暑さには夏日・真夏日・猛暑日と3つの段階があるのに、寒さには冬日と真冬日の2つしかありません。そして夜の暑さを表す「熱帯夜」に相当する、夜の寒さを表す正式な用語もありません。防災の視点で見ると、いちばん重要なのは真冬日です。一日じゅう0度未満ということは、いったん凍ったものが日中も溶けないということ。路面の氷は残り続け、日ごとに厚くなっていきます。
天気予報で、こういう言い方を聞きます。
「明日は今シーズン初の真冬日となるでしょう」
冬日と真冬日。一文字しか違いませんが、意味はまったく別のものです。
そして、この違いを知っているかどうかで、翌日の路面の状態が予想できるかどうかが変わります。
私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。北海道では、この2つの言葉が生活に直結します。
「今日は真冬日」と聞けば、その日の道路がどうなるか分かります。言葉と実際が、つながっているのです。
この記事で、そのつなげ方を書きます。覚えることは、たった一点の違いだけです。
結論|違いは「最低」か「最高」かだけです
先に結論を書きます。
| 言葉 | 定義 | 言いかえると |
|---|---|---|
| 冬日(ふゆび) | 日最低気温が0度未満の日 | 朝など、一時的に氷点下になった日 |
| 真冬日(まふゆび) | 日最高気温が0度未満の日 | 一日じゅう氷点下だった日 |
どちらも基準は0度です。違うのは、どの気温を見るかだけ。
最低気温が0度未満なら冬日。最高気温が0度未満なら真冬日です。
そして最高気温が0度未満ということは、その日の一番暖かい瞬間でも氷点下だったということになります。
覚え方
「真」がつくほうが厳しい。これで足ります。例外はありません。
夏も同じです。夏日より真夏日のほうが暑い。冬日より真冬日のほうが寒い。
どちらも、気象庁の正式な用語です
冬日も真冬日も、気象庁が定義している正式な気象用語です。
統計にも使われます。「今年の冬日の日数」「真冬日の日数」といった形で、年ごとの比較ができます。
だから天気予報でも、はっきりした意味を持って使われています。
「厳冬日」は、正式な用語ではありません
ここが、この記事でお伝えしたいことのひとつです。
「厳冬日」「厳寒日」という言葉を見かけることがあります。しかしこれらは、気象庁の正式な用語ではありません。
報道や会話のなかで、とくに厳しい寒さを表すために使われている表現だと考えてください。
ですから「何度以下が厳冬日」という公式な基準は、存在しません。
夏にも、同じ関係があります
| 気象庁の正式な用語 | 正式ではない表現 | |
|---|---|---|
| 暑さ | 夏日・真夏日・猛暑日 | 酷暑日 |
| 寒さ | 冬日・真冬日 | 厳冬日・厳寒日 |
構造がまったく同じです。
正式な用語があり、その外側に報道などで使われる表現がある。どちらも意味は通じますが、統計に使えるのは正式な用語のほうです。
夏の言葉については猛暑日と酷暑日の違いに書きました。
読み方も、確認しておきます
意外に迷う方が多いので、書いておきます。
| 言葉 | 読み方 |
|---|---|
| 冬日 | ふゆび |
| 真冬日 | まふゆび |
| 夏日 | なつび |
| 真夏日 | まなつび |
| 猛暑日 | もうしょび |
| 熱帯夜 | ねったいや |
いずれも「び」と読みます。「ひ」ではありません。
細かいことのようですが、正しく読めると、予報を聞いたときに聞き取りやすくなります。
暑さは3段階、寒さは2段階
ここに、私が面白いと思っている非対称があります。
| 暑さ | 基準 | 寒さ | 基準 | |
|---|---|---|---|---|
| 夏日 | 最高気温25度以上 | 冬日 | 最低気温0度未満 | |
| 真夏日 | 最高気温30度以上 | 真冬日 | 最高気温0度未満 | |
| 猛暑日 | 最高気温35度以上 | ― | ありません | |
| 熱帯夜 | 夜間の最低気温25度以上 | ― | ありません |
暑さには4つの言葉があり、寒さには2つしかありません。
なぜ、こうなっているのか
ここからは、私の推測を含みます。確認できた事実ではないので、そのつもりで読んでください。
ひとつ考えられるのは、寒さは地域差が極端に大きいということです。
猛暑日は、日本のどこでも起こり得ます。しかし「最高気温がマイナス10度未満」のような基準を作っても、当てはまる地域は限られます。
沖縄では冬日すら、ほとんど起こりません。全国で使える物差しにならないのです。
もうひとつは、近年の関心の向きです。猛暑日という用語が加わったのは比較的最近のことで、暑さへの社会的な関心の高まりが背景にあります。
この非対称は、他の場所にも現れます
暑さには「熱中症警戒アラート」があり、「暑さ指数」という物差しもあります。
寒さの側には、それに相当する日常的な指標がありません。
そして統計を見ると、低温による死亡は熱中症による死亡より多いのです。
この点については低体温症とは?深部体温35度以下で起きることに書きました。
言葉が少ないことと、危険が小さいことは、別の話です。
なぜ、0度が基準なのか
当たり前に見えますが、理由を確かめておきます。
水が凍る温度だからです
0度は、水が氷に変わる温度です。
そして私たちの生活は、水と切り離せません。道路に残った水、水道管の中の水、地面に含まれた水。
これらが凍るかどうかで、生活への影響がはっきり分かれます。だから0度が境目になっています。
夏の基準とは、性質が違います
| 基準の性格 | |
|---|---|
| 冬日・真冬日(0度) | 物理的な意味があります。水が凍る温度です |
| 夏日25度・真夏日30度・猛暑日35度 | 体感や健康への影響から決められた、区切りのよい数値です |
冬の基準には、自然界のはっきりした境目があります。
これが、冬日・真冬日という2つの言葉で足りている理由のひとつかもしれません。0度を超えるか超えないか、そして一日じゅうか一時的か。この2軸で、生活への影響はおおむね説明できます。
ただし、0度でなくても凍ります
ここは注意が必要です。
予報の気温は、地上から1.5メートルほどの高さで測られています。放射冷却が強い夜は、地面付近のほうが冷えています。
ですから「冬日ではないから凍らない」とは言えません。橋の上、日陰、マンホールの上は、気温がプラスでも凍ることがあります。
防災の視点では、真冬日が重要です
ここからが本題です。
真冬日が意味すること
一日じゅう0度未満だったということは、溶けなかったということです。
これが、生活に直結します。
| 起きること | 説明 |
|---|---|
| 路面の氷が残る | 日中も溶けないので、翌朝もそのままです |
| 氷が厚くなる | 真冬日が続くと、日ごとに積み重なります |
| 雪が減らない | 降った分だけ積み上がっていきます |
| 水道管が凍りやすい | 日中も気温が上がらないためです |
| 洗濯物が乾かない | 凍ってしまいます |
いちばん重要なのは、1行目と2行目です。溶けないということは、状態が改善しないということです。
冬日なら、日中に溶けます
冬日は、最低気温が0度未満というだけです。日中は0度を上回っています。
つまり朝に凍ったものが、昼には溶けます。
ただし、ここに落とし穴があります。
昼に溶けた水は、夜にまた凍ります。そして「溶けて凍る」を繰り返した路面は、つるつるに磨かれた氷になります。降ったばかりの雪より、はるかに滑ります。
ですから冬日が続く地域では、朝晩の凍結にとくに注意が要ります。
路面凍結の危険はブラックアイスバーンの危険に書きました。
真冬日と冬日、どちらが危ないのか
「危なさの種類が違う」というのが答えです。
| 冬日 | 真冬日 | |
|---|---|---|
| 路面 | 溶けて凍るを繰り返し、磨かれた氷になる | 凍ったまま。ただし変化しない |
| 危ない時間 | 朝と夜 | 一日じゅう |
| 油断 | 昼は大丈夫なので、油断しやすい | ずっと寒いので、警戒が続く |
| 体への負担 | 比較的軽い | 暖房が効きにくく、負担が大きい |
3行目に注目してください。
真冬日は「ずっと寒い」ので、誰もが警戒します。冬日は「昼は大丈夫」なので、油断が生まれます。
そして事故は、油断したときに起きます。
つまり、冬日は「毎日ではないが、油断しやすい」という危険。真冬日は「毎日厳しいが、警戒は続く」という危険です。
冬に出てくる、その他の言葉
冬の予報には、ほかにも聞き慣れない言葉が出てきます。まとめて整理しておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 初雪 | その冬に初めて雪が降ったこと。気象台が観測して発表します |
| 初氷 | その冬に初めて氷が張ったのが観測された日 |
| 初霜 | その冬に初めて霜が降りたのが観測された日 |
| 根雪 | 長期間、消えずに残る積雪のこと |
| 寒波 | 広い範囲に、著しい気温の低下をもたらす寒気の流れ込み |
| 三寒四温 | 寒い日と暖かい日が繰り返される状態。気象庁の予報用語ではありません |
「根雪」は、雪国では重要な言葉です。
根雪になるということは、その冬のあいだ、地面が雪に覆われ続けるということ。生活の前提が切り替わります。
そして根雪になる条件は、真冬日が続くことです。溶けなければ、残り続けます。
寒波については寒波は2週間前から予告されていますに書きました。
「今シーズン初」という言い回し
予報では「今シーズン初の真冬日」という言い方をよく聞きます。
これは、その地点で、その冬に初めて記録されたということです。
そして実務的には、「体がまだ寒さに慣れていない時期の、最初の厳しい日」という意味を持ちます。
シーズン初の冷え込みは、事故が起きやすいと言われます。装備も、心構えも、まだ冬の状態になっていないからです。
冬タイヤに替えていない、雪かき道具を出していない、厚手の靴を履いていない。「今シーズン初」という言葉は、その確認の合図です。
地域によって、意味が変わります
この2つの言葉は、地域によって受け取り方がまったく違います。
| 地域 | 冬日 | 真冬日 |
|---|---|---|
| 北海道の内陸 | 冬のあいだ、ほぼ毎日 | 珍しくありません |
| 東北・北陸 | 冬によくあります | 寒波のときに |
| 関東の平野部 | 朝に、しばしば | めったにありません |
| 西日本の平野部 | 寒い朝に、ときどき | ごくまれ |
| 沖縄 | ほとんどありません | ありません |
ですから「真冬日」というニュースの重みは、地域で違います。
北海道で真冬日と言われても、日常の範囲です。関東で真冬日になれば、それは異常な寒さです。
この構造は、大雪警報の基準が市町村ごとに違うのと同じです。同じ言葉でも、その地域にとっての意味が違います。
詳しくは大雪警報の基準は市町村で違うに書きました。
「溶けて凍る」が、いちばん滑ります
この記事でいちばん実用的な部分を、掘り下げます。
新しい雪は、意外に滑りません
降ったばかりの雪は、実はそれほど滑りません。
表面がざらざらしていて、靴やタイヤが引っかかるからです。雪国の人が「今日は雪だから大丈夫」と言うことがあるのは、このためです。
危ないのは、踏み固められた雪です
人や車が上を通ると、雪は押しつぶされて硬くなります。そして表面が磨かれて、つるつるになります。
ここに冬日の「溶けて凍る」が加わると、最悪の状態になります。
| 順番 | 起きること |
|---|---|
| 1 | 雪が降る |
| 2 | 人や車が踏んで、固まる |
| 3 | 日中に表面が少し溶ける |
| 4 | 夜に、その水が凍る |
| 5 | 表面が完全になめらかな氷になる |
3と4が繰り返されるほど、路面はなめらかになっていきます。
だから冬の後半のほうが、路面は危険になります。雪が降り始めたころより、何度も溶けて凍った2月のほうが滑るのです。
真冬日が続くと、どうなるか
溶けないので、この「磨き」は起きにくくなります。
ただし、雪はどんどん積み上がります。そして踏み固められて、圧雪路になります。
圧雪路は、氷ほどは滑りません。問題は、その下に何があるか分からないことです。
そして気温が上がった日に、一気に危険になります。積み重なった圧雪の表面が溶け始めるからです。
予報で聞いたときに、何をするか
言葉の意味が分かったところで、行動につなげます。
「明日は冬日」と聞いたら
| やること | 理由 |
|---|---|
| 朝の路面凍結を想定する | 最低気温が氷点下ということです |
| 水道管の対策をする | 屋外の配管、北側の配管はとくに |
| 車のワイパーを立てる | 凍りついてゴムが切れます |
| 朝、いつもより早く出る | 急ぐと転びます |
「明日は真冬日」と聞いたら
| やること | 理由 |
|---|---|
| 一日じゅう凍結を想定する | 昼になっても溶けません |
| 水道管の対策を強める | 日中も気温が上がりません |
| 暖房の燃料を確認する | 消費が増えます |
| 不要な外出を減らす | 体への負担が大きい日です |
| 高齢の家族に連絡する | 室温が上がりにくい日です |
真冬日が続く予報のときは、その日数を数えてください。
3日続くなら、氷は3日ぶん積み重なります。そして、その間ずっと溶けません。
暖房と、体への負担
真冬日には、もうひとつの意味があります。暖房が効きにくくなる日だということです。
外気温が低いほど、熱は速く逃げます
室内と外気の温度差が大きいほど、熱の逃げる速さは増します。
ですから真冬日には、同じ暖房でも室温が上がりにくくなります。そして燃料や電気の消費も増えます。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 灯油の残量を確認する | 消費が増えます。切らすと困ります |
| 暖める部屋を絞る | 広い空間を暖めきれません |
| カーテンを閉める | 窓からの熱の流出を止める |
| 床に敷物を足す | 床からの冷えを断つ |
| すきまをふさぐ | 冷気の侵入を減らす |
室温の基準については冬の室温はWHOが18度以上を勧告に書きました。
水道管の凍結が起きやすい日です
真冬日は、日中も気温が上がりません。
つまり一度凍った配管が、日中に自然に溶けることを期待できないということです。
冬日であれば、朝に凍っても昼には溶けることがあります。真冬日では、それが起きません。
ですから真冬日の予報が出たら、凍結対策を一段強めてください。水を細く出しておく、露出した配管を保温する、といった対応です。
詳しくは水道管が凍結したときの正しい解かし方に書きました。
高齢の方がいるご家庭では
真冬日は、室温が上がりにくい日です。
離れて暮らしている場合は、この日に一度連絡してみてください。
聞くのは「寒くない?」ではなく、「部屋の温度計は何度?」のほうが実態が分かります。
統計として使うと、見えること
冬日と真冬日は、正式な用語なので統計に使えます。
「今年は冬日が何日あったか」を、過去と比べられるということです。
近年、この日数には変化が見られると言われています。ただし、地域差が大きく、年による変動もあります。
ここでは具体的な数値には踏み込みません。検証していない数字を書くことは避けたいからです。
お住まいの地域の記録は、気象庁の「過去の気象データ検索」で調べられます。地点と年を選べば、冬日や真冬日の日数が出てきます。
これは、一度見てみる価値があります。自分の住む場所が、どのくらい寒い場所なのかが数字で分かります。
数字を、自分の地域で確かめる
言葉の意味が分かったら、自分の住む場所の実態を見てみてください。
調べ方
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 気象庁の公式サイトを開く |
| 2 | 「過去の気象データ検索」を探す |
| 3 | お住まいの地域に近い観測地点を選ぶ |
| 4 | 年ごとの値を表示する |
| 5 | 冬日・真冬日の日数を見る |
ここで分かるのは、自分の地域がどのくらい寒い場所なのかという事実です。
何が見えるか
たとえば、こういうことが分かります。
| 見えること | 使い道 |
|---|---|
| 冬日が年に何日あるか | 凍結対策が必要な日数の目安になります |
| 真冬日があるかどうか | あるなら、氷が溶けない期間が存在します |
| いつ頃から始まるか | 冬支度の時期が決まります |
| 年による差 | 寒い年と暖かい年の幅が分かります |
とくに「真冬日があるかどうか」は、大きな分かれ目です。
真冬日がある地域では、一度凍ったものが溶けない期間があるということ。冬タイヤや、凍結対策の必要性が変わります。
引っ越したときに、見てほしい
この数字がいちばん役に立つのは、住む場所が変わったときです。
暖かい地域から寒い地域へ、あるいはその逆へ。体で覚えた感覚は、そのままでは通用しません。
数字を見れば、その土地の冬がどういうものかを、住む前に知ることができます。
雪の少ない地域こそ、意味があります
この記事は、雪国の方より雪の少ない地域の方に読んでいただきたいと思っています。
真冬日が「ある」かどうかが分かれ目です
関東や西日本の平野部では、冬日はあっても真冬日はめったにありません。
つまり「昼には溶ける」のが普通です。
この前提があるので、朝の凍結さえ乗り切れば、その日は大丈夫という組み立てが成り立ちます。
だから、朝だけに集中できます
| やること | 効果 |
|---|---|
| 朝、いつもより早く家を出る | 急がなければ、転倒の多くは防げます |
| 朝は車を使わない | 日が昇れば路面は改善します |
| 滑りにくい靴を1足決めておく | 年に数回のことなので、1足で足ります |
| 前夜に水を細く出す | 水道管の凍結を防ぎます |
年に数回の朝を、少し慎重に過ごす。それだけで、雪の少ない地域の冬のリスクは大きく減らせます。
ただし、真冬日になったときは別です
普段は真冬日にならない地域が真冬日になったら、それは異常事態です。
溶けないという前提で、街も人も動いていません。そのときは、雪国と同じ心構えが必要になります。
北海道から見ていて、思うこと
札幌では、冬のあいだ真冬日が続きます。
そうなると、路面の氷は溶けません。降った雪が踏み固められ、その上にまた降り、また固められる。
春まで、その氷は残り続けます。
だから北海道の人は「溶ける」ということを期待しません。最初から、凍ったまま冬を過ごす前提で行動します。
ところが本州の多くの地域では、冬日はあっても真冬日は少ない。つまり「昼には溶ける」のが普通です。
この違いが、危険の質を変えているのだと思います。
ずっと凍っているほうが、実は分かりやすい。溶けたり凍ったりするほうが、判断が難しいのです。
そして、溶けて凍るを繰り返した氷が、いちばん滑ります。
私が本州の冬を心配するのは、この点です。雪が少ないことと、安全であることは違います。
「初冬日」から始まる、冬の進み方
冬は、ある日いきなり来るわけではありません。段階を追って進みます。
| 段階 | 起きること | やること |
|---|---|---|
| ①最低気温が10度を下回る | 朝晩の冷え込みが始まります | 冬支度を始める時期 |
| ②初霜・初氷 | 地面付近が0度に達しています | 路面凍結が始まります |
| ③この冬初めての冬日 | 朝の気温が氷点下に | 水道管の対策を始める |
| ④冬日が続くようになる | 毎朝、凍結を想定する段階 | 冬タイヤ、滑りにくい靴 |
| ⑤この冬初めての真冬日 | 溶けない冬の始まり | 暖房・燃料の本格的な準備 |
②の「初霜・初氷」に注目してください。
予報の最低気温がまだプラスでも、地面付近では0度に達しています。つまり路面凍結は、この段階から始まります。
「まだ氷点下になっていないから大丈夫」と考えていると、ここで足をすくわれます。
冬支度は、②の前に済ませる
初霜や初氷が観測されてから準備を始めるのでは、遅いということです。
スコップも、冬タイヤも、滑りにくい靴も、必要になってから買いに行くと、売り切れているか、混み合っています。
冬支度の全体像は冬支度チェックリストにまとめました。
よくある質問
Q. 冬日と真冬日、どちらのほうが寒いですか?
真冬日です。
真冬日は、最高気温が0度未満。つまり一日の一番暖かい時間でも氷点下です。
冬日は、最低気温が0度未満というだけなので、日中は0度を上回っています。
Q. 真冬日は、必ず冬日でもありますか?
はい。最高気温が0度未満なら、最低気温も当然0度未満です。
ですから真冬日は、必ず冬日でもあります。逆は成り立ちません。
Q. 「厳冬日」は使ってはいけない言葉ですか?
いけないということはありません。意味は通じますし、報道でも使われています。
ただ、気象庁の正式な用語ではないので、明確な基準はありません。
ですから「厳冬日だから何度以下」と考えないでください。使う人によって、想定している寒さが違います。
Q. 熱帯夜の反対は、なんと言いますか?
正式な用語はありません。
夜間の寒さを表す気象庁の用語は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。
ただし夜の寒さが危険でないわけではありません。むしろ就寝中は動かないので、体温が下がりやすい時間帯です。
寝室の室温については冬の室温はWHOが18度以上を勧告に書きました。
Q. 気温が0度なら、冬日ですか?
いいえ。定義は「0度未満」です。
ちょうど0.0度は、0度未満ではありません。マイナスにならなければ、冬日にはなりません。
細かい話ですが、統計として使う用語なので、線引きははっきりしています。
Q. 予報の最低気温が0度でも、路面は凍りますか?
凍ることがあります。
予報の気温は、地上から1.5メートルほどの高さで測ったものです。放射冷却が強い夜は、地面付近のほうが冷えています。
ですから「予報が0度だから凍らない」とは言えません。とくに橋の上と日陰は、先に凍ります。
詳しくは放射冷却とは?晴れた朝ほど冷える3つの条件に書きました。
Q. 予報では、冬日や真冬日という言葉は使われますか?
解説のなかで使われます。「今シーズン初の真冬日となるでしょう」といった形です。
ただし警報や注意報の名前ではありません。あくまで、寒さの程度を表す言葉です。
行動の判断は、お住まいの市町村に出ている警報・注意報で行ってください。
Q. 冬日が増えたり減ったりしていますか?
この記事では、具体的な数値には踏み込みません。
地域差が大きく、年による変動もあるため、検証していない数字を書くことは避けたいからです。
お住まいの地域の記録は、気象庁の「過去の気象データ検索」でご自身で確認できます。そのほうが確実です。
Q. 沖縄には、冬日がないのですか?
平地では、ほとんど観測されません。
ですから沖縄では、路面凍結や水道管の凍結という心配が、基本的にありません。
ただし、寒さへの備えが不要という意味ではありません。住宅の断熱が寒さを想定していないため、気温が下がったときの室内の冷え込みは、かえって厳しくなることがあります。
Q. 「今日は真冬日でした」と後から言うのは、なぜですか?
その日が終わってみないと、確定しないからです。
真冬日は「日最高気温が0度未満」という定義です。一日の最高気温は、その日が終わるまで分かりません。
予報の段階では「真冬日となる見込み」という言い方になり、確定するのは翌日以降です。
統計に使う用語なので、事後に確定させる必要があるのです。
Q. 冬日と真冬日を知っていると、何の役に立ちますか?
翌日の路面が予想できます。これが、いちばん実用的な使い道です。
| 予報 | 翌日の路面 |
|---|---|
| 冬日 | 朝は凍っている。日中には溶ける |
| 真冬日 | 一日じゅう凍ったまま。翌朝も残ります |
| 真冬日が続く | 氷が日ごとに厚くなっていきます |
言葉ひとつで、ここまで読み取れます。そして、それは行動を変える材料になります。
まとめ|違いは一点だけです
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| 冬日 | 日最低気温が0度未満 |
| 真冬日 | 日最高気温が0度未満。一日じゅう氷点下 |
| 違い | 0度を下回るのが最低気温か、最高気温か |
| どちらも正式な用語 | 気象庁が定義し、統計にも使われます |
| 厳冬日・厳寒日 | 気象庁の正式な用語ではありません |
| 非対称 | 暑さは4語、寒さは2語しかありません |
| 防災上の意味 | 真冬日は「溶けない日」。氷が積み重なります |
覚えていただきたいのは、ひとつだけです。
「真冬日」と聞いたら、その日は氷が溶けません。
朝に凍った路面は、昼になっても、夜になっても、そのままです。そして翌日、その上にまた凍ります。
だから真冬日が続く予報を見たら、日数を数えてください。その日数だけ、氷は厚くなります。
言葉の意味を知っていると、予報から一歩先が読めます。そして、それは毎年そのまま使える知識です。
冬日か、真冬日か。たった一文字の違いですが、意味しているものはまったく別です。
今年の冬、予報でこの言葉を聞いたら、「溶けるのか、溶けないのか」で受け取ってみてください。
それだけで、翌朝の行動が変わります。
【この記事について】
冬日・真冬日の定義は気象庁が用いている気象用語にもとづいて整理しました。夏日・真夏日・猛暑日・熱帯夜の基準についても同様です。「厳冬日」「厳寒日」については、気象庁の正式な用語としては確認できませんでした。用語の定義や運用は変更されることがありますので、最新の内容は気象庁の公式サイトでご確認ください。各地の冬日・真冬日の日数は、気象庁の「過去の気象データ検索」で調べられます。寒さによる体調の変化については、我慢せず医師にご相談ください。警報・注意報の基準は市町村ごとに定められています。





