【この記事の要約】
罹災証明書は、住まいの被害の程度を市区町村が証明する書類です。支援金、税の減免、仮設住宅の入居、貸付。被災後のほとんどの支援が、この1枚を前提にしています。判定は損害割合によって6段階に分かれます。全壊が50%以上、大規模半壊が40%以上、中規模半壊が30%以上、半壊が20%以上、準半壊が10%以上、それ未満が一部損壊です。この判定が支援金の額を直接左右します。大規模半壊と中規模半壊の境目では、50万円の差が生じます。だからこそ、申請前に写真を撮ること、そして判定に納得できなければ再調査を依頼することが重要になります。手続きの流れと、有利に進めるための実務を整理します。
結論:先に写真、それから申請してください
先に結論をお伝えします。
罹災証明書で最も重要なのは、申請の手際ではありません。判定の根拠となる証拠を残しておくことです。
市区町村の職員が調査に来るまでには、時間がかかります。大きな災害であれば、数週間かかることも珍しくありません。
その間に片付けてしまえば、被害は実際より軽く見えます。判定が下がれば、受け取れる支援金も減ります。
金額にすると
判定の差が、どれだけの金額になるかを示します。
| 判定 | 基礎支援金 |
|---|---|
| 全壊 | 100万円 |
| 大規模半壊 | 50万円 |
| 中規模半壊 | 対象外 |
大規模半壊と中規模半壊の間には、50万円の差があります。
そしてこの2つを分ける境目は、損害割合の40%です。わずかな差で、判定は変わります。
だから写真を撮り、必要なら再調査を求めてください。遠慮する場面ではありません。
罹災証明書とは何か
まずは基本のところから整理していきます。
罹災証明書とは、災害によって住まいがどれだけ被害を受けたかを、市区町村長が証明する書類です。
これがないと何も始まりません
被災後の支援は、ほぼすべてこの書類を前提としています。
- 被災者生活再建支援金
- 災害援護資金の貸付
- 応急仮設住宅への入居
- 住宅の応急修理制度
- 税や保険料の減免
- 公共料金の支払い猶予
- 義援金の配分
ひとつの書類で、これだけの手続きに関わります。被災後にまず取るべきものだと考えてください。
逆に言えば、これがなければ支援の入り口に立てません。どれだけ被害が大きくても、証明がなければ制度は動かないのです。
被災証明書とは別のものです
紛らわしいのですが、似た名前の書類があります。
| 書類 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 罹災証明書 | 住家 | 被害の程度を判定して証明する |
| 被災証明書 | 住家以外 | 被害を受けた事実のみを証明する |
被災証明書は、車、物置、塀、家財などが対象になります。程度の判定はなく、被害があった事実を証明するだけです。
自動車が水没した場合などは、こちらが必要になります。両方を申請する場面もあります。
判定は6段階に分かれます
ここが最も重要な部分です。
判定は、住宅の主要な部分がどれだけ損害を受けたかの割合で決まります。
| 区分 | 損害割合 |
|---|---|
| 全壊 | 50%以上 |
| 大規模半壊 | 40%以上50%未満 |
| 中規模半壊 | 30%以上40%未満 |
| 半壊 | 20%以上30%未満 |
| 準半壊 | 10%以上20%未満 |
| 準半壊に至らない(一部損壊) | 10%未満 |
この基準は、内閣府が定めた指針にもとづいています。全国で共通です。
つまり、住んでいる自治体によって基準が甘くなったり厳しくなったりすることはありません。判定の物差しは同じです。
変わるのは、判定後に使える自治体独自の支援のほうです。ここは地域差があります。
中規模半壊は後から加わりました
もともとは、中規模半壊という区分はありませんでした。
半壊と大規模半壊の間に大きな段差があり、支援が届かない世帯が生じていたためです。この反省から、区分が追加されました。
古い情報を見ると、この区分が載っていないことがあります。最新の基準で確認してください。
損害割合はどう決まるのか
住宅を構成する部分ごとに、被害の程度を評価して合算します。
屋根、柱、壁、床、基礎、それに設備。これらがどれだけ損なわれたかを、決められた方法で数値化します。
専門的な作業ですが、住民が知っておくべき点があります。それは、外から見えない部分も評価の対象だということです。
つまり、床下や内壁の被害を伝えなければ、その分は評価されません。調査に立ち会い、自分から示す必要があります。
浸水の深さも判定に関わります
水害の場合、床上まで浸水したかどうかが大きな分かれ目になります。
床下浸水と床上浸水では、建物への影響がまったく違います。さらに床上でも、どの高さまで来たかによって評価が変わります。
だから水位の跡を写真に残すことが重要なのです。乾いてしまえば、跡は薄れていきます。
申請の手順
実際の流れを追います。
手順1:写真を撮る
申請より先です。片付ける前に撮ってください。
- 建物の外観を四方向から
- 浸水した場合は、水位の跡が分かるように
- メジャーや身近な物を当てて高さが分かるように
- 部屋ごとに全体と細部
- 壊れた家財も個別に
特に浸水の場合、水位は乾くと分かりにくくなります。早めに記録してください。
手順2:市区町村の窓口へ行く
申請先は、被災した住宅がある市区町村です。住民票の場所ではありません。
大きな災害では、専用の窓口が設けられます。避難所に受付が来ることもあります。
手順3:必要なものを揃える
| もの | 備考 |
|---|---|
| 申請書 | 窓口またはサイトで入手 |
| 本人確認書類 | 運転免許証など |
| 被害状況が分かる写真 | 印刷またはデータ |
| 印鑑 | 不要な自治体も増えている |
| 委任状 | 代理人が申請する場合 |
本人確認書類を失った場合でも、申請できないわけではありません。窓口で事情を説明してください。
手順4:調査を受ける
職員が現地を確認します。立ち会いを求められることが多いため、日程を調整してください。
この際、写真を見せながら被害を説明できると確実です。特に、すでに片付けてしまった部分については、写真がなければ伝わりません。
手順5:交付を受ける
調査のあと、判定結果とともに証明書が交付されます。
大きな災害では、申請から交付まで数週間かかることがあります。急ぐ手続きがある場合は、窓口に相談してください。
判定に納得できないときは
ここが、多くの方が知らない部分です。
判定に不服がある場合、再調査を依頼できます。これは正当な権利です。
一次調査と二次調査の違い
| 調査 | 方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一次調査 | 外観を目視で確認 | 短時間で多くの住宅を回れる |
| 二次調査 | 室内に立ち入って確認 | 詳細だが時間がかかる |
大きな災害では、まず一次調査が行われます。外から見た被害で判定するため、室内の損傷が反映されないことがあります。
床下の被害、内壁のひび、傾き。こうしたものは、外からは見えません。
依頼の仕方
難しい手続きではありません。市区町村の窓口で、再調査を希望すると伝えるだけです。
その際、次を準備しておくと話が早く進みます。
- 実際の被害が分かる写真
- どの部分の判定に納得できないかを整理したメモ
- 修理業者の見積書があれば、それも
感情ではなく、事実で説明してください。そのほうが確実に伝わります。
遠慮しないでください
「役所の判断に文句を言うようで気が引ける」という声を聞きます。
しかし、一次調査は限られた時間と人員で行われるものです。見落としが生じるのは、構造上避けられません。
再調査の仕組みは、そのために用意されています。使うことが前提の制度なのです。
期限に注意
再調査の依頼にも、期限が設けられることがあります。証明書を受け取ったら、内容をすぐ確認してください。
「あとで見よう」と置いておくうちに、期限が過ぎることがあります。
応急危険度判定との違い
最も誤解されやすい点です。
地震のあと、建物に赤・黄・緑の紙が貼られることがあります。これが応急危険度判定です。
| 比較 | 応急危険度判定 | 罹災証明書 |
|---|---|---|
| 目的 | 二次災害の防止 | 被害の程度の証明 |
| 判断する内容 | 入っても安全か | どれだけ損害を受けたか |
| 実施する人 | 建築の専門家など | 市区町村の職員 |
| 時期 | 災害の直後 | 申請後 |
| 支援との関係 | 関係しない | 支援の前提になる |
赤い紙が貼られたからといって、自動的に全壊と認定されるわけではありません。
逆に、緑の紙が貼られても、罹災証明書の申請はできます。安全に入れることと、被害がないことは別だからです。
紙の色の意味
- 赤:危険。立ち入りは危ない
- 黄:要注意。立ち入る場合は十分に注意する
- 緑:調査済み。使用可能
この判定は、あくまで応急的なものです。剥がしたり、貼り替えたりしないでください。
判定に影響する見落としやすい被害
再調査を依頼するかどうかを判断するために、見落とされやすい被害を挙げます。
外から見えない部分
一次調査は外観の目視で行われます。次のような被害は、反映されにくくなります。
- 床下の浸水や泥の堆積
- 基礎のひび割れ
- 内壁のひび、クロスの裂け
- 建具が閉まらなくなる程度の傾き
- 天井裏の損傷
- 配管や配線の損傷
- 給湯器や電気設備の故障
特に床下は重要です。外から見れば無傷でも、床下が浸水していれば、建物への影響は大きくなります。
傾きは数値で示せます
建物の傾きは、判定に大きく影響する要素です。
感覚で「なんとなく傾いている」と伝えても、根拠になりません。水平器を使えば数値で示せます。ビー玉を床に置いて転がる方向を確認する、という簡易な方法もあります。
ドアや窓が閉まりにくい、隙間ができたといった変化も、傾きの手がかりになります。
時間が経ってから現れる被害
地震の直後には分からず、あとから判明する被害があります。
雨が降って初めて雨漏りに気づく、しばらくしてから壁のひびが広がる、といったことです。
こうした場合も、再調査を依頼できます。気づいた時点で窓口に相談してください。
専門家の見立てを添える
修理業者や建築士に見てもらった結果があれば、それも資料になります。
見積書には、どこをどう直す必要があるかが書かれています。被害の範囲を示す材料として使えます。
調査に立ち会うときのコツ
調査は、判定が決まる場面です。準備しておくと結果が変わることがあります。
片付けた部分を伝える
すでに片付けてしまった被害は、職員には見えません。
「ここには水が来ていました」「この棚は倒れていました」と、写真を見せながら説明してください。
説明がなければ、なかったものとして扱われます。
一覧にしておく
被害の箇所を、あらかじめ紙に書き出しておいてください。
調査は短時間で進みます。その場で思い出そうとすると、必ず抜けが出ます。
部屋ごとに、どこがどう壊れたかを箇条書きにしておけば、確実に伝えられます。
質問してよい場面です
調査の際に、疑問があれば尋ねてください。
どの部分をどう評価しているのか、何が判定の根拠になるのか。聞いておけば、結果を受け取ったときの納得感が変わります。
職員も、住民に理解してもらうことを前提に動いています。遠慮は不要です。
一人で対応しない
可能であれば、家族の誰かと一緒に立ち会ってください。
被災直後は冷静さを保つのが難しい時期です。二人いれば、聞き漏らしや説明の抜けを補い合えます。
こんな場合はどうなるか
判断に迷いやすい状況を挙げます。
賃貸住宅の場合
借りている住宅でも、罹災証明書は申請できます。
建物の所有者は大家さんですが、そこに住んでいた事実にもとづいて交付されます。支援金の対象にもなります。
大家さんとは別に、ご自身で申請してください。
マンションの場合
専有部分の被害について、各世帯が申請します。
共用部分の被害は、管理組合が対応することになります。建物全体の判定と、各住戸の判定は別に扱われることがあります。
すでに解体してしまった場合
写真が残っていれば、それをもとに判定される可能性があります。
ただし、証明が難しくなるのは事実です。だからこそ、解体の前に必ず申請と調査を済ませてください。
公費解体を利用する場合も、罹災証明書が前提になることが一般的です。
複数の災害で被害を受けた場合
地震のあとに大雨が来る、といったことがあります。
この場合、災害ごとに罹災証明書が交付されます。それぞれについて申請してください。
店舗や事務所を兼ねている場合
住居部分については罹災証明書の対象になります。事業用の部分は、別の支援制度が用意されていることがあります。
窓口で、住居と事業の両方について相談してください。
判定ごとに使える支援
判定が決まると、使える制度が定まります。全体像を示します。
| 判定 | 主に使える支援 |
|---|---|
| 全壊 | 基礎支援金100万円、加算支援金、応急仮設住宅、税の減免、公費解体 |
| 大規模半壊 | 基礎支援金50万円、加算支援金、応急修理制度、税の減免 |
| 中規模半壊 | 加算支援金、応急修理制度、税の減免 |
| 半壊 | 応急修理制度、税の減免、災害援護資金 |
| 準半壊 | 応急修理制度(限度額は小さい) |
| 一部損壊 | 自治体独自の支援がある場合も |
制度の適用は、災害の規模や自治体によって変わります。この表は目安として見てください。
一部損壊でも諦めないでください
「一部損壊だから何も出ない」と考える方がいます。しかし、そうとは限りません。
自治体が独自に見舞金や補助を設けている場合があります。屋根の修理費用の一部を補助する、といった制度です。
また、税や保険料の減免は判定を問わず相談できることがあります。まず窓口で聞いてみてください。
火災保険は別の基準です
混同されやすい点です。
罹災証明書の判定と、保険金の算定基準は別のものです。罹災証明書が一部損壊でも、保険金が支払われることは十分にあります。
保険会社は独自に調査を行います。罹災証明書の結果に左右されません。両方を並行して進めてください。
申請でつまずきやすい点
実際に多い困りごとを挙げます。
本人確認書類を失った
災害で持ち出せなかった、流された、という場合があります。
申請できないわけではありません。窓口で事情を説明してください。住民基本台帳で確認するなど、対応の方法があります。
あきらめて手続きを止めてしまうことのほうが、損失は大きくなります。
遠方に避難している
被災地を離れて、親戚の家などに避難している場合があります。
郵送での申請を受け付ける自治体が多くあります。電子申請に対応している場合もあります。まず問い合わせてください。
高齢の家族の代わりに申請したい
代理人による申請が可能です。委任状が必要になるのが一般的です。
同居の家族であれば、委任状なしで受け付ける自治体もあります。事前に確認してください。
窓口が混んでいる
大きな災害では、窓口に長い列ができます。
避難所に受付が出張してくることがあります。郵送や電子申請が使える場合もあります。並ぶ以外の方法がないか、確認してみてください。
いつ申請すればよいか分からない
写真を撮り終えたら、できるだけ早くというのが答えです。
ただし、安全の確保が最優先です。避難が必要な状況であれば、落ち着いてからで構いません。
申請期限は自治体が定めますが、数か月程度に設定されることが一般的です。
証明書を受け取ったあと
交付されたら、それで終わりではありません。
複数枚を用意する
手続きごとに提出を求められます。原本の提出が必要な場合もあります。
最初から複数枚を申請しておくと、往復の手間が省けます。多くの自治体では、被災者への交付は手数料が免除されます。
コピーとデータを残す
原本を提出したあとに内容を確認したくなることがあります。手元にコピーを残し、写真を撮ってデータでも保管してください。
どの手続きに使ったかを記録する
被災後は多くの窓口を回ります。どこに何を出したかを記録しておくと、混乱を避けられます。
ノート1冊で構いません。日付、窓口、担当者、提出したもの。これを書いておくだけで、後々の負担が変わります。
有効期限はありません
罹災証明書そのものに有効期限が設けられることは、通常ありません。
ただし、これを使う各制度には期限があります。基礎支援金は13か月、加算支援金は37か月といった具合です。
証明書を持っているだけでは意味がありません。期限内に、それぞれの手続きを進めてください。
再発行もできます
紛失した場合、再発行を申請できます。
調査をやり直すわけではないため、比較的短時間で交付されます。手元にない状態で困っているなら、窓口に相談してください。
私が北海道で感じたこと
私は札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
言葉自体を知らない方が多い
あのとき知人から相談を受けて驚いたのは、罹災証明書という言葉を初めて聞いたという方が少なくなかったことです。
備えの情報は広く共有されています。持ち出し袋、備蓄、避難経路。しかし、被災したあとの手続きについては、事前に知る機会がほとんどありません。
結果として、被災してから慌てて調べることになります。心身が疲れている時期に、複雑な制度を理解するのは大変な負担です。
知っておくべきは今です
この記事で最もお伝えしたいのは、写真を撮るという一点です。
これは被災した瞬間に判断しなければなりません。あとから知っても間に合わないのです。
逆に言えば、今この一点を覚えておくだけで、将来の数十万円が変わる可能性があります。
制度は使うためにあります
支援を受けることに、後ろめたさを感じる必要はまったくありません。
これらの制度は、被災した人が生活を立て直せるように設けられたものです。使わなければ、目的を果たしません。
申請し、判定を確認し、納得できなければ再調査を求める。すべて正当な権利です。堂々と進めてください。
役所も限られた体制で動いています
ひとつ付け加えておきたいことがあります。
大きな災害が起きれば、市区町村の職員も被災者です。自宅が壊れた状態で、住民の対応にあたっている方もいます。
調査が遅れる、判定に見落としが出る。こうしたことは、体制の限界から生じます。担当者の怠慢ではありません。
だからこそ、住民の側が写真を用意し、被害を整理して伝えることに意味があります。互いに手間を減らせます。
近所で情報を共有してください
同じ地域で被災した方は、同じ手続きを進めることになります。
申請の方法、窓口の混み具合、調査の日程。こうした情報を共有すれば、全員の負担が減ります。
特に高齢の単身世帯には、情報が届きにくいものです。「罹災証明書、申請しましたか」と声をかけるだけでも意味があります。
よくある質問
Q. 罹災証明書とは何ですか
A. 災害によって住まいがどれだけ被害を受けたかを、市区町村長が証明する書類です。支援金、税の減免、仮設住宅の入居、貸付など、被災後のほとんどの支援がこの書類を前提としています。
Q. 申請する前にやることはありますか
A. 写真を撮ってください。調査までに時間がかかることがあり、その間に片付けると被害が実際より軽く見えます。建物の外観を四方向から、浸水なら水位の跡が分かるように、部屋ごとに全体と細部を撮ってください。
Q. 判定はどう分かれますか
A. 損害割合により6区分です。全壊が50%以上、大規模半壊が40%以上50%未満、中規模半壊が30%以上40%未満、半壊が20%以上30%未満、準半壊が10%以上20%未満、それ未満が一部損壊となります。
Q. 判定によって支援金はどのくらい変わりますか
A. 基礎支援金は、全壊が100万円、大規模半壊が50万円、中規模半壊は対象外です。大規模半壊と中規模半壊を分ける境目は損害割合40%で、わずかな差が50万円の違いになります。
Q. 判定に納得できません
A. 再調査を依頼できます。市区町村の窓口で希望を伝えるだけです。一次調査は外観の目視で行われるため、床下の被害や内壁のひびが反映されないことがあります。写真と、納得できない箇所を整理したメモを持参してください。
Q. 再調査を頼むのは気が引けます
A. 遠慮する必要はありません。一次調査は限られた時間と人員で行われるため、見落としは構造上避けられません。再調査の仕組みは、そのために用意されています。
Q. 応急危険度判定の赤い紙が貼られました
A. 罹災証明書とは別の制度です。応急危険度判定は建物に入って安全かを判断するもので、二次災害の防止が目的です。赤い紙が貼られても、自動的に全壊と認定されるわけではありません。
Q. 賃貸住宅でも申請できますか
A. できます。建物の所有者は大家さんですが、そこに住んでいた事実にもとづいて交付されます。支援金の対象にもなりますので、大家さんとは別にご自身で申請してください。
Q. 車が水没しました
A. 車は罹災証明書ではなく、被災証明書の対象です。住家以外の被害について、被害を受けた事実を証明する書類です。程度の判定はありません。両方を申請する場面もあります。
Q. 証明書は何枚もらえばよいですか
A. 複数枚を申請しておくことをおすすめします。手続きごとに提出を求められ、原本が必要な場合もあります。多くの自治体では、被災者への交付は手数料が免除されます。
Q. 一次調査では何を見落とされやすいですか
A. 外から見えない部分です。床下の浸水、基礎のひび割れ、内壁のひび、建具が閉まらない程度の傾き、天井裏の損傷、配管や設備の故障など。特に床下は、外から無傷に見えても建物への影響が大きい部分です。
Q. 傾きはどう伝えればよいですか
A. 数値で示してください。水平器があれば正確に測れます。ビー玉を床に置いて転がる方向を見る簡易な方法もあります。ドアや窓が閉まりにくい、隙間ができたといった変化も手がかりになります。
Q. あとから被害に気づきました
A. 再調査を依頼できます。雨が降って初めて雨漏りに気づく、しばらくして壁のひびが広がる、といったことは珍しくありません。気づいた時点で窓口に相談してください。
Q. 調査の立ち会いで気をつけることは
A. 被害の箇所を紙に書き出しておいてください。調査は短時間で進むため、その場で思い出そうとすると抜けが出ます。すでに片付けた部分は写真を見せながら説明してください。説明がなければ、なかったものとして扱われます。
Q. 一部損壊だと何も支援はありませんか
A. そうとは限りません。自治体が独自に見舞金や屋根修理の補助を設けている場合があります。税や保険料の減免も判定を問わず相談できることがあります。まず窓口で聞いてみてください。
Q. 火災保険の判断も罹災証明書で決まりますか
A. 決まりません。保険会社は独自に調査を行い、算定基準も別です。罹災証明書が一部損壊でも保険金が支払われることは十分にあります。両方を並行して進めてください。
Q. 本人確認書類を失いました
A. 申請できます。窓口で事情を説明してください。住民基本台帳で確認するなど、対応の方法があります。あきらめて手続きを止めるほうが損失は大きくなります。
Q. 遠方に避難していて窓口へ行けません
A. 郵送での申請を受け付ける自治体が多くあります。電子申請に対応している場合もあります。まず被災地の市区町村へ問い合わせてください。
Q. 解体してしまってからでも申請できますか
A. 写真が残っていれば、それをもとに判定される可能性があります。ただし証明は難しくなります。公費解体も罹災証明書を前提とすることが一般的なため、解体の前に必ず申請と調査を済ませてください。
まとめ
罹災証明書について、要点を整理します。
- 住まいの被害の程度を市区町村が証明する書類
- 被災後のほとんどの支援が、この書類を前提としている
- 申請より先に、片付ける前の写真が必要
- 判定は損害割合で6区分。全壊は50%以上
- 大規模半壊と中規模半壊の境目は40%。差は50万円
- 住家以外は被災証明書という別の書類になる
- 申請先は、被災した住宅がある市区町村
- 調査には立ち会い、写真を見せながら説明する
- 判定に納得できなければ再調査を依頼できる
- 一次調査は外観のみ。室内の損傷は反映されないことがある
- 応急危険度判定とは別の制度
- 賃貸住宅でも自分で申請できる
- 複数枚を申請しておくと手続きが楽になる
被災後の流れ全体については被災した後にやること全ガイド|時系列でわかる手続きと生活再建の順番にまとめています。あわせてご覧ください。
罹災証明書は、被災後の手続きの入り口です。ここでつまずくと、その後の支援すべてに影響します。
今日できることをひとつ挙げます。ご自宅の各部屋を、スマートフォンで撮影しておいてください。平常時の記録があれば、被災後の写真と比べて被害を示せます。5分で終わる作業です。
撮ったデータは、端末の中だけに置かないでください。スマートフォンが壊れれば、記録も失われます。クラウドや別の場所にも保存しておいてください。
被災するかどうかは分かりません。しかし、この5分の作業に損はありません。使わずに済めば、それが一番よいのです。



