【この記事の要約】
結論から言います。帰省は、実家の防災を点検できる年に一度か二度の機会です。電話では分からないことが、行けば5分で分かります。見るのは三つ。火災警報器が鳴るか。家具が固定されているか。ハザードマップで実家がどこにあるか。そして、離れて暮らす家族だからこそできることがあります。高い場所の作業、重いものの移動、そして制度を調べること。親世代がやりにくいことを引き受けるのが、いちばん実効性のある支援です。この記事では、帰省中の30分でできる点検と、帰省先で被災した場合の行動、そして年末年始という時期特有の注意点をまとめました。
結論|帰省中の30分でできること
先に、この記事の要点を書いておきます。
一、火災警報器のボタンを押す
天井を見上げて、ボタンを押すかひもを引く。音が鳴れば生きています。
そして、本体に書かれた設置年を見てください。10年を超えていれば、電池ではなく本体ごと交換の時期です。
住宅火災で亡くなる方の約7割が65歳以上です。実家に高齢の親がいるなら、ここが最優先になります。
二、家具の固定を見る
寝室が最優先です。寝ている場所に倒れてくる家具がないか。
そして、逃げ道を塞ぐ位置に背の高い家具がないか。廊下や玄関までの動線を見てください。
三、ハザードマップで実家の場所を調べる
スマホで5分です。浸水想定区域か、土砂災害警戒区域にかかっていないか。
親が知らないことがあります。「昔から住んでいるから大丈夫」は、根拠になりません。
なぜ、帰省が点検の機会になるのか
理由が、三つあります。
電話では分からないからです
「大丈夫?」と聞けば、たいてい「大丈夫」と返ってきます。
けれど、火災警報器が鳴るかどうかは、押してみないと分かりません。家具が固定されているかも、見ないと分かりません。
そして、親のほうから「不安だ」と言ってくることは、あまりありません。心配をかけたくないからです。
親世代がやりにくい作業があります
ここが、帰省した人にしかできないことの中心です。
天井の火災警報器を交換する。重いタンスに固定金具を付ける。高い棚のものを下ろす。
どれも脚立に乗る作業で、高齢の方がやると転落の危険があります。そして、力の要る作業でもあります。
帰省したときにまとめてやれば、その後一年は安心できます。
制度を調べるのも、離れた家族の役割です
耐震診断の補助、家具固定の助成、除雪の支援。自治体には制度がありますが、知られていないことが多い。
家具固定については地震の家具固定・転倒防止は本当に必要?防災士が理由と方法を解説にまとめました。
スマホで検索するのは、若い世代のほうが早い。「市町村名 家具固定 補助」で調べて、窓口を伝えるだけでも役に立ちます。
実家で見るところ|部屋ごと
部屋ごとに、順番に見ていきます。
寝室
ここがいちばん大事な部屋です。夜に地震が起きたとき、ここで身を守ることになります。
一、火災警報器があるか。寝室への設置は義務です。
二、倒れてくる家具がないか。タンス、本棚、テレビ。
三、割れるものが頭の上にないか。ガラスの飾り、額縁、照明。
四、スリッパか靴を、枕元に置いてあるか。ガラスが散った床を歩くことになります。
台所
食器棚の扉に留め具があるか。揺れで開いて、食器が飛び出します。
そして、冷蔵庫が固定されているか。重いので、倒れると逃げ道を塞ぎます。
コンセントのほこりも見てください。長年挿しっぱなしのプラグは、トラッキング現象の原因になります。
廊下と玄関
逃げ道です。ものを置かないでください。
新聞や段ボールが積まれていることがあります。暗い中を逃げるとき、足を取られます。
そして、玄関に懐中電灯があるか。停電したときの最初の道具になります。
物置・車庫
灯油の保管場所を見てください。直射日光が当たっていないか、火の気から離れているか。
そして、去年の灯油が残っていないか。変質した灯油は故障と不完全燃焼の原因になります。
備蓄を、一緒に見てください
備蓄の確認も、帰省中にできることです。
水と食料の量
目安は一人1日3リットル、最低3日分です。二人暮らしなら18リットル。
そして、賞味期限を見てください。買ったまま何年も置いてあることがあります。
常用薬は、最も代えがきかないもの
ここは、とくに強調しておきたい点です。
持病の薬は、災害時に手に入らないと困ります。そして、種類も量も本人にしか分かりません。
お薬手帳のコピーか写真を、持ち出し袋に入れておいてください。そして、離れて暮らす家族もその写真を持っておく。
薬の量や日数の調整については、必ず医師や薬剤師に相談してください。
持ち出し袋を、実際に持ってみる
用意してあっても、重すぎて持てないことがあります。
親に背負ってもらい、玄関から外まで歩けるかを確かめてください。歩けなければ、中身を減らす必要があります。
「危ないよ」が伝わらない理由
実家の防災でいちばん難しいのは、機材でも制度でもなく、伝え方だと思います。
正論は、たいてい届きません
「家具を固定して」「避難所を確認して」「備蓄を増やして」。どれも正しいのに、実行されないことが多い。
理由は単純です。面倒だから。そして、自分は大丈夫だと思っているから。
これは親が頑固だからではありません。誰にでも起きる、正常性バイアスという心の働きです。私も同じ状況なら、同じように考えると思います。
「言う」より「やる」ほうが早い
ここが、実務上の結論です。
頼むのではなく、帰省したその場でやってしまう。家具の固定金具を持参して、その日に付ける。
「今度やっておいてね」は、たいてい今度が来ません。やってしまえば、あとは維持するだけになります。
否定から入らないでください
「こんな置き方じゃ危ない」と言うと、これまでの暮らし方を否定されたと受け取られます。
そうなると、話が進みません。そして、次からは相談してくれなくなります。
効くのは、「最近こういうのがあるらしいよ」「自分の家でもやったんだ」という入り方です。自分の話にすると、受け入れられやすい。
一度に全部やろうとしないでください
帰省のたびに、一つずつで十分です。
今回は火災警報器、次は寝室の家具、その次はハザードマップ。三回帰省すれば、主要な点検が終わります。
一度に押しつけると、相手も疲れ、こちらも続きません。
親と決めておきたい、三つの約束
物の準備より、こちらのほうが効くことがあります。話し合っておいてください。
一、連絡が取れないときの集合場所
災害時は電話がつながりません。これは毎回起きます。
だから、「連絡が取れなければ、ここに行く」という場所を決めておいてください。
そして、災害用伝言ダイヤルの使い方を一緒に確認してください。使ったことがなければ、いざというとき使えません。体験利用ができる日が設けられています。
二、誰か一人が「逃げよう」と言ったら動く
これは、家庭内の約束として有効です。
「まだ大丈夫」と「もう逃げよう」が割れると、結局だれも動けなくなります。
だから、慎重なほうに合わせると先に決めておく。その場の議論を省けます。
三、遠くの親戚を、連絡の中継役にする
被災地の中では電話がつながらなくても、遠方とはつながることがあります。
だから、「何かあったら、まず◯◯おじさんに連絡する」と決めておくと、安否が伝わりやすくなります。
実家が遠い場合にできること
ここは、頻繁には帰れない方向けです。
送るという方法があります
持っていけなくても、送ることならできます。
火災警報器、家具固定の金具、懐中電灯、保存水。どれも通販で実家に直送できます。
ただし、送っただけでは設置されないことがあります。電話で「届いた?」と聞き、できれば一緒に手順を確認してください。
電話で確認できること
三つに絞ると、次のようになります。
一、火災警報器は鳴るか。電話しながら押してもらえます。
二、寝室に倒れてくる家具はないか。これも見てもらいながら聞けます。
三、暖房は動くか、灯油はあるか。冬なら、これが最優先です。
地域の人とのつながりを聞いておく
これが、実のところ最も大事かもしれません。
災害のとき、最初に助けに来るのは行政ではなく近所の人です。阪神・淡路大震災では、生き埋めになった方の多くを近隣住民が救出しました。
だから、「近所に、何かあったとき声をかけ合える人はいる?」と聞いてみてください。
いないようであれば、自治会や自主防災組織に入っているかを確認してください。詳しくは自主防災組織とは?にまとめました。
季節ごとの、帰省時の見どころ
いつ帰るかによって、見るべきものは変わってきます。
| 時期 | 優先して見るもの |
|---|---|
| 年末年始 | 暖房が動くか。灯油の在庫。除雪の道具。火災警報器 |
| 春(3〜5月) | 家具の固定。ハザードマップ。備蓄の入れ替え |
| お盆 | 台風への備え。エアコンが効くか。熱中症の対策 |
| 秋(9〜11月) | 冬支度。暖房の点検。タイヤ交換の手配 |
年末年始は、暖房が最優先です
冬の帰省で見るべきものを一つだけ挙げるなら、これです。
暖房器具が実際に動くか。スイッチを入れて確認してください。壊れていれば、修理に日数がかかります。
そして、停電しても使える暖房が一つあるか。エアコンも石油ファンヒーターも、電気がなければ動きません。
反射式の石油ストーブか、カセットガスストーブ、あるいは寝袋。どれか一つはあってほしい。詳しくは停電しても使える暖房はどれかにまとめました。
灯油は、去年のものが残っていないか
物置を見てください。ポリタンクに古い灯油が残っていることがあります。
変質した灯油は、不完全燃焼や故障の原因になります。色が黄色っぽければ使わないでください。
処分は買った店やガソリンスタンドに相談します。地面や排水口に流すのは絶対にやめてください。
お盆は、台風と暑さです
夏の帰省では、エアコンが効いているかを確認してください。
高齢の方は、暑さを感じにくくなることがあります。そして、電気代を気にしてエアコンを使わない方が多い。
温度計を置いて、数字で判断できるようにするのが有効です。
秋は、冬支度の手配です
10月から11月の帰省なら、冬の準備を一緒にやってください。
タイヤ交換の予約、除雪業者への問い合わせ、自治体の除雪支援の確認。どれも雪が降ってからでは間に合いません。
手順は冬支度チェックリストにまとめました。
持っていくと役に立つもの
帰省の荷物に加えておくと、その場で作業できます。
小さくて、効果が大きいもの
一、火災警報器の交換用。10年を超えていれば、その場で付け替えられます。
二、家具固定の金具や粘着マット。工具が要らないタイプもあります。
三、乾電池。懐中電灯やラジオ、火災警報器に使います。
四、使い捨てカイロ。冬なら、そのまま備蓄になります。
工具は、実家にあるか分かりません
ドライバーや電動ドリルが必要な作業を予定しているなら、持参するか、あるか確認しておいてください。
現地で「なかった」となると、その帰省では作業できません。次の機会まで持ち越しになります。
スマホで撮っておくもの
帰省中に、いくつか写真を撮っておくと役に立ちます。
お薬手帳。火災警報器の設置年。家の間取りと家具の位置。
災害が起きたとき、離れた場所から状況を説明できる材料になります。そして、次の帰省で何をやるかの記録にもなります。
帰省先で被災したら
年末年始やお盆に、旅先や実家で災害に遭う可能性もあります。
不利になる点が三つあります
一、土地勘がない。避難所の場所も、危険な場所も知りません。
二、備えがない。持ち出し袋も、備蓄も自宅にあります。
三、帰れなくなる。交通が止まれば、長期間そこにとどまることになります。
着いたその日に、二つ確認してください
この二つだけで、かなり変わります。
一、最寄りの避難所はどこか。親に聞くか、スマホで調べる。5分です。
二、実家がハザードマップのどこにあるか。浸水か、土砂か、どちらの危険もないのか。
年末年始は、支援が動きにくい
ここは、知っておいてください。
役所が閉まり、店も休み、業者も動きません。2024年1月1日の能登半島地震が、まさにこの条件でした。
そして、連絡が取りにくくなります。帰省シーズンは通信が混みます。
だから、年末年始は普段より備えが要ると考えてください。
移動中に被災することもあります
帰省は「移動」でもあります。ここも想定しておいてください。長距離ならなおさらです。
新幹線や在来線で止まったら
地震や大雪で、列車が長時間停止することがあります。
基本は、乗務員の指示に従って車内で待つことです。線路に降りるのは危険で、勝手に降りると事故につながります。
用意しておくと違うのは、飲み物、軽食、モバイルバッテリー、羽織るものです。冬は暖房が止まると一気に冷えます。
飛行機が欠航したら
台風や大雪では、欠航や大幅な遅延が起きます。
台風による欠航の場合、払い戻しや振替は無料で対応されるのが原則です。ただし、自己都合のキャンセルはキャンセル料がかかります。
そして、大手航空会社は事前に特別対応を発表することがあります。予報が出た時点で確認してください。
詳しくは台風の欠航は地上風速25〜30mが目安にまとめました。
車での帰省が、いちばん判断を要します
冬の長距離移動は、立ち往生のリスクがあります。
2021年1月には、北陸自動車道などで1,000台を超える立ち往生が起きました。解消に3日近くかかった区間があります。
だから、大雪の予報が出ているなら、日程をずらす判断が要ります。帰省は延期できます。
車で行くなら、積んでおくもの
スコップ、毛布か寝袋、飲み水、携帯トイレ。この四つは、立ち往生を生き延びるための装備です。
そして、燃料は半分を切ったら入れる。燃料がそのまま暖房になります。
最大の危険は一酸化炭素中毒です。マフラーが雪に埋まると、排気ガスが車内に入ります。止まったら、まずマフラーの周りを除雪してください。
詳しくは雪で車が埋まると一酸化炭素中毒ににまとめました。
タイヤの確認は、出発前に
普段は雪のない地域に住んでいて、雪国へ帰省するという方が多い。
この場合、夏タイヤのまま向かうのが最も危険です。そして、現地でチェーンを買おうとしても、売り切れていることがあります。
出発前に、スタッドレスかチェーンのどちらかを必ず用意してください。詳しくはスタッドレスタイヤの交換時期は気温7度にあります。
実家の建物そのものを見る
家具や備蓄より、さらに根本にある部分です。
建てられた年を、聞いてください
耐震の基準には、二つの境目があります。
1981年6月。ここで新耐震基準が導入されました。これより前に建てられた建物は、耐震性に不安が残ることがあります。
2000年6月。木造住宅について、接合部などの基準がさらに強化されました。
実家がいつ建てられたかを聞いて、1981年より前なら、耐震診断を検討する価値があります。
耐震診断には補助があります
多くの自治体で、耐震診断の費用に補助が出ます。無料で受けられる自治体もあります。
そして、改修工事にも補助制度があります。ただし、交付決定の前に契約すると対象外になることが多い。
ここは手続きの順番が大事なので、必ず先に市町村へ問い合わせてください。詳しくは耐震診断・耐震改修の補助金にまとめました。
外から見て分かること
専門家でなくても、いくつか見る点があります。
基礎にひび割れがないか。細いひびは経年でも入りますが、幅の広いものは注意が要ります。
壁や瓦にずれがないか。そして、雨どいが外れていないか。
ブロック塀の状態。傾いている、ひびがある、鉄筋が見えている。これらは倒壊の危険があります。通学路に面していればなおさらです。
空き家になる予定があるなら
少し将来の話になりますが、触れておきます。
誰も住まなくなった家は、管理されないまま傷みます。そして、雪の重みで倒壊すれば、隣家を巻き込みます。
責任は所有者にあります。相続した時点で、その責任も引き継ぐことになります。
自治体によっては、空き家の管理や解体に補助制度があります。早めに調べておくと選択肢が増えます。
帰省のあと、続けること
一度きりで終わらせないための工夫です。
次にやることを、一つ決めて帰る
一度ではすべて終わりません。だから、「次の帰省で何をやるか」を決めて帰ってください。
メモに残し、次回そこから始める。三回帰省すれば、主要な点検が一巡します。
親にも、やることを一つだけ残す
いくつも頼むと、どれも実行されません。
「これだけはやっておいて」を一つに絞る。そして、次の電話で「あれどうなった?」と一度だけ聞く。
責める形ではなく、思い出してもらう程度で十分です。
災害のニュースが、きっかけになります
どこかで地震や大雪の被害が出たとき、親も同じニュースを見ています。
そのタイミングで電話をすると、備えの話が自然にできます。普段なら流される話が、そのときは届きます。
「うちは大丈夫かな」と、相手から言い出してくれることがあります。
自分の家のことも、忘れないでください
帰省する側にも、留守にする家があります。
留守中に災害が起きることがあります
年末年始やお盆は、家を数日から一週間空けることになります。
その間に、地震、火災、水道管の凍結、大雪が起きる可能性があります。そして、誰も気づきません。
出かける前にやること
一、電気のブレーカーを落とすかどうか。冷蔵庫があるので全部は落とせませんが、使わない部屋の分は落とせます。通電火災の予防になります。
二、ガスの元栓を閉める。これは確実にやってください。
三、水道の元栓。寒冷地では、凍結防止のために水抜きが必要な場合があります。
四、燃えるものを片づける。とくにベランダや玄関先。放火の対象になります。
給湯器の電源は、抜かないでください
ここは間違えやすい点です。
節電のつもりでプラグを抜くと、凍結防止ヒーターが働かず、破裂することがあります。
冬に留守にするときは、給湯器の電源は入れたままにしてください。詳しくは給湯器が止まる冬にまとめました。
帰ってきたら、確認すること
留守中に何かあったかもしれません。
ガス漏れのにおいがしないか。まず換気してください。
そして、水漏れの跡がないか。天井や壁のシミ。凍結による破裂は、水が引いたあとにシミだけが残ることがあります。
ブレーカーが落ちていないかも見てください。落ちていれば、留守中に停電か過負荷があったということです。
能登半島地震が示したこと
年末年始の被災について、実際に起きたことから考えます。
2024年1月1日という日付
能登半島地震は、元日の夕方に発生しました。帰省で人が集まっている時間帯です。
そして、役所が閉まり、店も休み、業者も動いていないという条件でした。支援が立ち上がるまでに時間がかかりました。
帰省者が被災するということ
普段そこに住んでいない人が、土地勘のない場所で被災します。
避難所の場所を知らない。危険な場所を知らない。そして、持ち出し袋も備蓄も自宅にあります。
一方で、人手が増えるという面もあります。高齢の親を一人で避難させるのは難しくても、子や孫がいれば運べます。
つまり、帰省中の被災は、条件が悪くもあり、良くもある。準備しておけば、後者に寄せられます。
関連死が、直接死を上回りました
この地震では、災害関連死の数が、直接亡くなった方の数を上回りました。
建物の下敷きになるより、そのあとの避難生活で体調を崩して亡くなる方のほうが多かったということです。
冬の避難生活は、寒さ、睡眠不足、感染症、持病の悪化が重なります。とくに高齢の方には厳しい。
詳しくは能登半島地震とは?にまとめました。
だから、年末年始の帰省では
普段より一段、備えを厚くしてください。
常用薬は多めに。年末年始は病院も薬局も休みです。ただし、日数の調整は必ず医師や薬剤師に相談してください。
現金を持っておく。停電すればカードも電子決済も使えません。
モバイルバッテリーを充電しておく。連絡手段が生命線になります。
よくある質問
Q. 実家に備蓄を置きたいのですが、置き場所がないと言われます
大がかりなものは要りません。水を数本と、レトルト食品を数食分から始めてください。
そして、普段食べているものを少し多めに買うという形にすると、置き場所も抵抗も減ります。
「防災用の特別なもの」という位置づけにすると、置き場所を新しく作らなければならないと感じさせてしまいます。
Q. 親が高齢で、避難できるか心配です
まず、市町村の避難行動要支援者名簿に登録されているかを確認してください。
これは、自力で避難が難しい方をあらかじめ把握しておく制度です。登録すると、地域の支援者に情報が共有されます。
申請が必要な場合があるので、市町村の福祉担当に問い合わせてみてください。
Q. 実家がハザードマップの危険区域にありました。どうすればよいですか
まず、どの災害の区域なのかを正確に確認してください。浸水なのか、土砂災害なのかで、やることが変わります。
浸水想定区域なら、想定される深さを見てください。2階まで浸かる想定なら、垂直避難は成立しません。
土砂災害警戒区域なら、原則としてその場を離れることになります。2階に上がっても、土砂は建物ごと押し流します。
そのうえで、親と避難先を決めておいてください。指定避難所だけでなく、近くの親戚の家も選択肢になります。
Q. 引っ越しを勧めるべきでしょうか
難しい判断です。長く住んだ家を離れることの負担は、想像以上に大きい。
私の考えとしては、すぐに引っ越しを迫るより、まず避難の準備を整えるほうが現実的だと思います。
避難先を決め、避難のタイミングを決め、持ち出し袋を用意する。ここまでできれば、危険区域でも助かる確率は大きく上がります。
そのうえで、建て替えや住み替えの話が出たときに、ハザードマップを判断材料の一つに加えるという順番がよいと考えています。
Q. 帰省のときに、防災グッズを贈るのはどうですか
よい方法だと思います。ただし、使われるものを選んでください。
立派な防災セットを贈っても、押し入れの奥にしまわれることがあります。
実際に使われやすいのは、懐中電灯、乾電池、カイロ、保存水、そして冬用の靴です。日常の延長にあるものほど、使われます。
そして、贈ったら置き場所を一緒に決めてください。玄関か寝室か。しまい込まれないための一手間です。
Q. 親が一人暮らしです。とくに気をつけることは
いちばんの問題は、倒れたときに気づかれないことです。
だから、安否を確認する仕組みを作ってください。毎日決まった時間に連絡する、見守りサービスを使う、近所に声をかけておく。
そして、屋根の雪下ろしや高所作業を一人でさせないでください。これは冬の最大の死因です。
一人暮らしの備えは一人暮らしの防災にもまとめました。
Q. 親が「そんなに心配しなくていい」と言います
よくあることだと思います。そして、心配をかけたくないという気持ちから出ている言葉であることが多い。
だから、「心配だから」ではなく「自分が安心したいから」と伝えるほうが通ることがあります。
「自分が遠くにいて、何かあったとき何もできないのがつらい。だから、これだけやらせてほしい」。主語を自分にすると、断りにくくなります。
そして、作業そのものは短く済ませてください。長くかかると、次から嫌がられます。
Q. 兄弟姉妹と、どう分担すればよいですか
決めておくと動きやすくなります。
誰が何を担当するか。近くに住む人が日常の見守り、遠くの人が制度調べや費用の負担、というような分け方があります。
そして、災害が起きたときに誰が連絡を取るかも決めておいてください。全員が一斉に電話すると、回線が混みます。
一人が代表して確認し、その人から他の兄弟へ伝えるという形が現実的です。
Q. 帰省の頻度が少なく、次はいつ行けるか分かりません
その場合、優先順位を上から順にやってください。次がいつになるか分からない前提で組み立てます。
順番は、火災警報器、寝室の家具、ハザードマップです。この三つは、命に直結する度合いが高い。
そして、作業ではなく「決めごと」を残してください。連絡が取れないときの集合場所、避難先、誰か一人が言ったら動くという約束。
物は劣化しますが、決めごとは残ります。次に行けるのが数年後でも、そこは効き続けます。
まとめ|見るのは三つだけです
最後に、あらためて整理します。
この記事の要点
一、火災警報器のボタンを押す。10年超なら本体交換。
二、寝室の家具を見る。倒れてくるものと、逃げ道。
三、ハザードマップで実家を調べる。5分で終わります。
四、高い場所と重いものの作業は、帰省した人が引き受ける。
五、制度を調べるのも、離れた家族の役割です。
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