大雪の立ち往生で危ないのは寒さより一酸化炭素|22分で1000ppm、マフラーを掘る

大雪の立ち往生で危ないのは一酸化炭素

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【この記事の要約】
大雪の立ち往生で人が亡くなる原因は、寒さより一酸化炭素中毒です。JAFの実験では、排気口のまわりが雪で埋まった状態でエンジンをかけると、車内の一酸化炭素濃度は16分で400ppm、22分で1,000ppmまで上がりました。2018年2月の福井の大雪では、車内で3人が一酸化炭素中毒で亡くなっています。ですから、やることは1つだけです。エンジンをかけるなら、マフラーのまわりの雪を必ずどけること。雪が降り続くなら、30分から1時間おきに確認します。迷ったらエンジンを切り、毛布と衣類で暖をとってください。燃料は半分を切ったら給油、車には毛布・スコップ・携帯トイレ・飲み物を積んでおく。この記事では、立ち往生に巻き込まれたあとの数時間を、どう生き延びるかを順にお伝えします。

こんにちは。防災ベーシックのたにです。札幌で防災士として活動しています。

大雪の立ち往生は、毎年のように起きています。高速道路で何十時間も動けなくなった、という報道を見た方も多いと思います。

そのときに命を落とす原因は、凍死ではありません。

目次

結論|エンジンをかけるなら、マフラーを掘ってください

排気口(マフラー)が雪でふさがれると、排気ガスが車内に入ります。
JAFの実験では、16分で400ppm、22分で1,000ppmまで一酸化炭素濃度が上がりました。
エンジンをかけるなら、マフラーのまわりの雪をどける。降り続くなら、30分〜1時間ごとに確認する。これが命を分けます。

1,000ppmは、短時間で意識を失う水準です。

一酸化炭素は無色・無臭です。気づいたときには体が動かなくなっています。「なんとなく眠い」と感じて、そのまま眠ってしまう形で起きます。

実際に何が起きたのか

事例 内容
2018年2月・福井の大雪 県内で12人が亡くなり、うち3人は雪に埋もれた車内での一酸化炭素中毒でした
2019年1月・駐車場での事例 仕事を終えた方が、雪に覆われた駐車場の車内でエンジンをかけて待機。マフラーが雪に埋もれ、排気が車内に入りました
2013年3月・北海道の暴風雪 一酸化炭素中毒や凍死で、複数の方が亡くなっています

2つめの事例に注目してください。

高速道路の立ち往生ではありません。職場の駐車場で、暖を取るためにエンジンをかけていただけです。車が動かないほどの積雪でなくても、マフラーの高さまで雪があれば同じことが起きます。

なぜ、排気が車内に入るのか

雪でふさがれた排気ガスは、行き場を失って車体の下にたまります。

そしてエアコンの外気の取り入れ口や、車体のすき間から室内へ入ります。窓を閉め切った車内は、思っているほど密閉されていません。

もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。排気を浄化する装置は、一定の温度にならないと十分に働きません。アイドリングを続けるだけの状態では、有害な成分が減りにくいのです。

立ち往生に巻き込まれたら|最初の10分

順番 やること
1 ハザードランプを点ける。後続車に止まっていることを知らせます
2 マフラーのまわりの雪をどける。スコップがなければ手でも。ここが最優先です
3 燃料の残量を確認する。残りで何時間しのげるかを把握します
4 携帯電話の電池を確認し、不要な通信を切る
5 家族や職場に、現在地と状況を伝える。動けるうちに連絡してください
6 道路情報を確認する。解除の見込みが分かれば、計画が立てられます

2番目を1番目にしなかったのは、後続車の追突を避けるためです。外に出て作業するなら、まず自分の車の存在を知らせてください。

車の外に出るときの注意

吹雪の中では、数メートル先も見えなくなります。

注意 理由
車から離れない 視界が失われ、自分の車に戻れなくなります。歩いて助けを求めに行くのは危険です
明るい色のものを身につける 他の車から見えるようにします
手袋を外さない 素手で雪を触ると、すぐに動かなくなります
汗をかくほど作業しない 濡れた衣服は体温を奪います。ゆっくり、休みながら

「歩いて助けを呼びに行く」は、最も危険な判断です。

過去の暴風雪では、車を離れて歩き出した方が亡くなっています。車は、風を防ぐ最も確実なシェルターです。

エンジンをかけ続けるか、切るか

これがいちばん迷う判断だと思います。答えは「状況による」ですが、判断の基準は示せます。

状況 判断
雪が降り続き、マフラーの確認ができない エンジンを切る。毛布と衣類で暖をとります
マフラーの雪を定期的にどけられる かけてよい。ただし30分〜1時間ごとに確認します
燃料が残りわずか 間欠運転に切り替える。20〜30分暖めて切る、を繰り返します
眠くなってきた すぐに窓を開け、エンジンを切る。中毒の可能性があります
同乗者がいる 交代で起きている。全員が同時に眠らないようにします

「眠くなってきた」の行は、覚えておいてください。

一酸化炭素中毒の初期は、頭痛、吐き気、めまい、そして強い眠気です。寒い車内で眠くなるのは自然なことに思えるので、見逃されます。

少しでも気になったら、ためらわず窓を開けてください。寒さより中毒のほうが早く命に関わります。

窓は、少し開けておくほうが安全です

エンジンをかけるときは、風下側の窓を数センチ開けるのが基本です。

寒いので閉めたくなりますが、空気の逃げ道を作ることで、たまり続けるのを防げます。毛布があれば、開けたぶんの寒さは補えます。

寒さから身を守る

エンジンを切った車内は、急速に冷えます。暖房に頼らない方法を持っておいてください。

方法 効果
毛布・寝袋 いちばん確実。車に1枚積んでおくだけで状況が変わります
重ね着 空気の層を作ります。1枚の厚い服より、薄手を重ねるほうが暖かい
首・頭・手・足を覆う 体温が逃げやすい場所です。帽子と手袋の効果は大きい
使い捨てカイロ お腹や腰など、太い血管の近くに当てます
体を動かす 座ったままでも、足首を回す、手を握るだけで熱が生まれます
温かい飲み物 体の内側から温まります。魔法びんが役立ちます

寒さで体温が下がると、低体温症になります。段階と見分け方は低体温症の3段階|軽度・中等度・高度の見分け方と、急に温めてはいけない理由にまとめました。

震えが止まったら、危険な段階に入っています。震えは体が熱を作っている合図で、それが止まるのは作れなくなったということです。

車に積んでおくもの

優先 もの 理由
1 スコップ(折りたたみ可) マフラーの雪をどけられます。これがないと手で掘ることになります
2 毛布か寝袋 エンジンを切っても暖をとれます
3 飲み物と、そのまま食べられるもの 数十時間になることがあります
4 携帯トイレ 意外に切実です。我慢すると水分を控え、脱水につながります
5 モバイルバッテリー 連絡と情報の手段を保ちます
6 長靴、手袋、帽子 外での作業に要ります。通勤の靴では雪をどけられません
7 けん引ロープ、砂や滑り止め 脱出を試みるときに使います

スコップと毛布の2つだけでも、まず積んでください。この2つがあるかないかで、できることが変わります。

携帯トイレを軽く見ないでください

立ち往生が長引くと、トイレの問題が必ず出ます。

外は吹雪で、車の外に出るのも危険。そうなると人は水分を控えます。これが脱水につながり、血が濃くなって体調を崩します。

携帯トイレが1つあるだけで、水分をためらわずにとれます。

燃料は「半分で給油」

冬の運転で、いちばん簡単で効果の大きい備えがこれです。

考え方 内容
半分を切ったら給油する 満タンの半分は、立ち往生したときの暖房用と考えます
雪の予報が出たら満タンに 寒波は数日前から分かります
電気自動車の場合 暖房で電力を多く使います。余裕を大きめにとってください
停電の可能性 大雪で停電すると、給油機も止まります。降る前に入れておくこと

アイドリングでの燃料消費は、1時間あたり0.5リットルから1リットル程度が目安です。車種や暖房の使い方で変わりますが、満タンの半分あれば、おおむね一晩から十数時間はしのげる計算になります。

ただし、ずっとかけ続ける前提で計算しないでください。マフラーの確認ができない時間帯は切る、という使い方が前提です。

そもそも巻き込まれないために

いちばん確実なのは、その日に車を出さないことです。

いつ やること
1〜2週間前 早期天候情報で、寒波の見込みを知る
数日前 大雪の予報を確認。予定をずらせるなら、ずらす
前日 高速道路の予防的通行止めの発表を確認する
当日の朝 道路情報、鉄道の運行を確認。公共交通に切り替えられるなら切り替える
出発の判断 「行けるか」ではなく「帰れるか」で考える

寒波は突然来るわけではありません。寒波は2週間前から予告されています|早期天候情報の見方と、4段階での備え方で、予測の見方をまとめています。

大雪をもたらす気圧配置を知っておく

とくに警戒したいのがJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)です。

これがかかった地域では、短時間で集中的に雪が降ります。立ち往生が起きるのは、多くがこの条件です。仕組みはJPCZとは?日本海寒帯気団収束帯が大雪を起こす仕組みと、車で立ち往生しない備えに書きました。

スタックしたときの脱出

まだ動ける可能性があるなら、脱出を試みる価値はあります。

やること やってはいけないこと
タイヤのまわりの雪をどける アクセルを踏み込んで空転させる。雪が融けて氷になり、余計に動けなくなります
砂、滑り止め、古い毛布をタイヤの下へ 急発進する
前後に小さく揺らして脱出する 長時間同じ操作を繰り返す(車を傷めます)
同乗者に押してもらう 後輪の真後ろに立たせる(飛んだ雪や氷でけがをします)

手順は雪でスタックしたら空転させない|脱出の4手順とマフラー除雪を最優先する理由に詳しく書きました。

ただし、前後の車が詰まっている高速道路の立ち往生では、脱出そのものが目的になりません。その場合は、安全に待つことに切り替えてください。

待っている間に、やっておくこと

やること 理由
30分〜1時間ごとにマフラーを確認 最重要。雪は降り続けます
家族への連絡を定期的に 無事であることを伝えると、捜索の判断材料になります
電池を節約する 画面を暗くし、使わないときは機内モードに
体を動かす 血行を保ち、低体温症を防ぎます
同乗者の様子を見る 頭痛、吐き気、眠気を訴えたら、すぐ換気してください
水分をとる 寒くても脱水します。携帯トイレがあれば我慢せずに済みます

救助はどう来るのか

大規模な立ち往生では、自衛隊の災害派遣や、道路管理者による除雪と物資の配布が行われます。

ただし、到着まで数時間から十数時間かかることがあります。先頭から順に対応するため、自分の車の位置によって、待ち時間が大きく変わります。

「すぐ来る」と思って燃料を使い切らないでください。長引く前提で配分するのが安全です。

一酸化炭素中毒とは、体の中で何が起きているのか

なぜ、これほど短時間で危険になるのか。仕組みを知ると、警戒の仕方が変わります。

血液の中のヘモグロビンは、酸素を運ぶ役目を持っています。ところが一酸化炭素は、酸素よりもはるかに強くヘモグロビンと結びつきます。

一酸化炭素がヘモグロビンと結びつく力は、酸素の200倍以上とされています。
つまり空気中にわずかしかなくても、優先的に取り込まれてしまうということです。
その結果、呼吸はできているのに、体に酸素が届かない状態になります。

息苦しさを感じないのが、この中毒の怖いところです。

酸素が足りないのに、肺は普通に動いています。だから「苦しい」という警告が出ません。代わりに出るのが、頭痛と眠気です。

濃度と、体に出る変化

濃度の目安 体に起きること
200ppm前後 数時間で頭痛や軽い吐き気
400ppm 1〜2時間で強い頭痛。JAFの実験では16分でこの値に達しました
800〜1,000ppm 吐き気、けいれん、意識の混濁。JAFの実験では22分で1,000ppm
1,600ppm以上 短時間で意識を失い、命に関わります

16分、22分という数字を、もう一度見てください。

マフラーが埋まった状態でエンジンをかけ、ひと眠りしようと目を閉じた20分の間に、危険な濃度に達するということです。

助け出したあとの対応

順番 やること
1 119番通報。一酸化炭素中毒の疑いがあることを伝えます
2 新鮮な空気のある場所へ移す。救助する人も吸い込まないよう注意
3 反応がなく呼吸もなければ、胸骨圧迫を始める
4 意識があっても、必ず医療機関へ。あとから症状が出ることがあります

「気分が良くなったから大丈夫」とは考えないでください。一酸化炭素中毒は、回復したように見えても、数日から数週間後に頭痛や記憶の障害が出ることがあります。

立ち往生は、どういう場所で起きるのか

場所 なぜ起きやすいか
坂道・峠 1台がスタックすると、後続がすべて止まります。登れない車が1台いれば十分です
高速道路 出口までの距離が長く、途中で降りられません。渋滞が何キロにもなります
トンネルの出入口 路面の状態が急に変わり、スリップが起きやすい場所です
橋の上 下から冷やされて凍結しやすく、横風も受けます
幹線道路の合流部 除雪した雪が寄せられ、車線が狭くなっていることがあります

立ち往生は、雪の量だけで決まりません。

きっかけは、ノーマルタイヤの車が1台、坂を登れなくなることです。そこから後ろが詰まり、除雪車も入れなくなり、規模が大きくなっていきます。

冬用タイヤとチェーンの備え

自分が原因にならないための備えでもあります。

装備 考え方
冬用タイヤ(スタッドレス) 雪国では必須。ただし溝が減ると効きません。残りを確認してください
タイヤチェーン チェーン規制の区間では、冬用タイヤでも通行できません
装着の練習 初めて着けるのが吹雪の路肩では、うまくいきません。晴れた日に一度やっておく

チェーン規制の仕組みはチェーン規制ではスタッドレスでも通れない|全国13区間と対象になる大雪の条件にまとめました。

家族と、どう連絡を取り合うか

立ち往生が長引くと、待つ家族のほうも不安になります。

決めておくこと 内容
連絡の間隔 「2時間ごとに一報」と決める。電池を節約しながら、無事を伝えられます
連絡が途絶えたら 何時間で警察に相談するかを決めておく
位置の共有 地図アプリの位置共有を使えば、文字を打たずに伝わります
迎えに行かない 同じ状況に巻き込まれます。家で待つのが正解です

いちばん伝えたいのは、最後の行です。

心配のあまり迎えに行き、その車も動けなくなる。助ける人が増えるのではなく、助けられる人が増えるだけです。

会社と学校の判断

立ち往生の多くは、「行かなければならない」と考えた人が巻き込まれています。

大雪の日に出勤・登校させない判断は、組織の側の責任です。
個人に「気をつけて来い」と言うのは、判断を押しつけているだけです。
基準を先に決めておいてください。「大雪警報が出たら在宅」「通行止めが出たら休業」といった形で十分です。

基準がないと、その日その場の空気で決まります。そして無理をした人が事故に遭います。

車中泊で一晩を越えるとき

立ち往生が夜をまたぐこともあります。車中で眠るときの注意を、まとめておきます。

やること 理由
全員が同時に眠らない 交代で起きて、マフラーと体調を確認します
眠る前にエンジンを切る 眠っている間は、異変に気づけません。ここが最も危険な時間帯です
シートを倒して足を伸ばす 同じ姿勢を続けると、エコノミークラス症候群の危険があります
足首を回す、足を上下させる 血の流れを保ちます。1時間に1回でも効果があります
水分をとる 血が濃くなるのを防ぎます
靴を脱がない すぐ外に出られる状態にしておきます

エコノミークラス症候群は、災害時の車中泊で実際に死亡例が出ています。

狭い座席で、同じ姿勢のまま、水分を控える。この3つがそろうと、足の静脈に血の塊ができます。それが肺に流れると、命に関わります。

暖房を切った車内は、どのくらい冷えるか

外気温が氷点下の環境では、エンジンを切った車内は1時間ほどで外気温に近づきます。金属とガラスの箱なので、熱がとどまりません。

つまり「車の中だから大丈夫」とは言えません。風は防げますが、暖かさは自分で作る必要があります。

毛布が1枚あるかどうかで、選択肢が変わります。
毛布があれば「エンジンを切る」という判断ができます。なければ、危険を承知でかけ続けることになります。

冬の車に、10分でできる備え

ここまで読んで、「そこまで用意できない」と思った方もいると思います。

ですから、最小限の形を示します。次の3つだけなら、10分と数千円で終わります。

もの 目安 役割
折りたたみスコップ 2,000円前後 マフラーを掘れます。命に直結します
毛布またはアルミの保温シート 数百円〜 エンジンを切る判断ができるようになります
携帯トイレ 数百円 水分を我慢しなくて済みます

この3つを、トランクに入れっぱなしにしておくだけです。

使わない年もあります。それでも、積んでおくのは保険と同じ考え方です。いざというときに買いには行けません。

雪の少ない地域の方へ

立ち往生は、雪国だけの話ではありません。

むしろ危ないのは、ふだん雪が降らない地域です。

理由 内容
冬用タイヤを履いていない 数センチの雪でも、坂を登れなくなります
運転に慣れていない 急ブレーキ、急ハンドルで滑ります
除雪の体制が薄い 除雪車の台数が少なく、復旧に時間がかかります
備えがない スコップも毛布も積んでいない車がほとんどです

関東や西日本で大雪が降ったときに、大規模な立ち往生が起きるのはこのためです。

雪の量ではなく、雪に対する備えの量で決まります。年に1度あるかないかの雪でも、その日だけは雪国と同じ条件になります。

立ち往生が起きたあと、道路はどう動くのか

待つ側にとって、「あとどれくらいで動くのか」がいちばん知りたいことだと思います。仕組みを知っておくと、見通しが立てやすくなります。

段階 行われること
1 動けなくなった車の確認。どこで詰まっているかを特定します
2 先頭の車から順に、除雪と救出。後ろの車は、それまで動けません
3 必要に応じて自衛隊の災害派遣。食料、燃料、毛布が配られることがあります
4 出口まで誘導。全体が動き出すのは、最後の段階です

大切なのは、2番目の行です。

作業は先頭から進みます。自分が列の後ろのほうにいるなら、解除までの時間はそれだけ長くなります。「前の車が動いた」という情報を聞いても、自分の番はまだ先だと考えてください。

過去には50時間を超えた事例もあります。数時間で終わる前提で燃料と食料を使わないでください。

よくある質問

Q. 窓を開けると寒いのですが、本当に必要ですか

エンジンをかけている間は、必要です。

数センチで構いません。風下側を少し開けるだけで、空気が入れ替わります。寒さは毛布と重ね着で補えますが、一酸化炭素は補えません。

Q. 一酸化炭素警報器は、車に載せる意味がありますか

意味があります。家庭用の小型のもので構いません。

一酸化炭素は無色無臭なので、人の感覚では気づけません。音で知らせてくれる道具は、この場面では有効です。冬に車で長距離を走る方は、検討する価値があります。

Q. 電気自動車なら、一酸化炭素の心配はないのでは

排気ガスは出ないので、中毒の心配はありません。

ただし暖房で電力を使い続けると、走るための電力がなくなります。立ち往生が長引いたとき、残りの電力で目的地まで行けるかは別の問題です。冬は、早めの充電を心がけてください。

また、大雪で停電すれば充電器も止まります。

Q. 子どもや高齢の家族が同乗しているときは

体温を失うのが早いので、優先して守ってください。

毛布を先に渡す、車内の暖かい席に座ってもらう、こまめに声をかけて反応を確かめる。返事がぼんやりしてきたら、低体温症か中毒の可能性があります。

Q. トイレはどうすればよいですか

携帯トイレを使ってください。車内で使える簡易なものが市販されています。

吹雪の中で車外に出るのは危険です。そして我慢することが、脱水と体調悪化につながります。家族で乗るなら、目隠しになる大きめのポンチョがあると使いやすくなります。

Q. どのくらいの時間で解除されますか

分かりません。過去の事例では、数時間で済んだものもあれば、50時間を超えたものもあります。

除雪が追いつかない、立ち往生した車が障害物になる、新たな降雪が加わる。この3つが重なると、解除は大きく遅れます。

Q. 高速道路で動けなくなったら、車を置いて歩いて降りてもよいですか

自己判断で歩き出さないでください。

高速道路は、歩行者が通ることを前提にしていません。吹雪の中では、除雪車や緊急車両からも見えません。

避難が必要な場合は、道路管理者や警察の誘導に従って移動します。指示があるまでは、車内で待つのが原則です。

Q. 渋滞の中で、エンジンを切ると迷惑になりませんか

なりません。動けない状態であれば、周囲も同じです。

むしろ、全員がアイドリングを続けるほうが、排気がたまって危険になります。動き出す合図があってからかければ十分です。

Q. スコップは、どんなものを選べばよいですか

折りたためる金属製のものが扱いやすいです。

プラスチック製は軽いものの、固く締まった雪や氷には歯が立ちません。マフラーのまわりを掘るには、ある程度の強さが必要です。

大きさは、トランクに常に入れておける範囲で選んでください。積みっぱなしにできることが、いちばん大切な条件です。

札幌で、私が毎年やっていること

札幌では、冬の間ずっと車にスコップを積んでいます。使うのは年に数回ですが、積んでいない年はありません。

いちばん多い出番は、立ち往生ではなく駐車場です。除雪車が寄せていった雪で車が出られなくなる、というのが日常的に起きます。

そしてもう一つ、自宅の車庫から出すとき、マフラーの高さまで雪が来ていないかを見る習慣があります。朝、雪が積もった車を暖機するときに、排気が抜けているかを確かめる。これは雪国では常識に近い動作ですが、慣れていない方は知らないことが多いと思います。

雪の朝、車を暖めるためにエンジンをかけて、そのまま家に戻る。
この形でも、車内に人がいなければ中毒は起きません。ですが、車内で待つなら話が別です。
「雪の日に車内でエンジンをかけて待つ」場面が、いちばん危ないと覚えてください。

車の中で暖を取りながら人を待つ。荷物の積み下ろしの合間に休む。立ち往生でなくても、条件はそろってしまいます。

Q. 一酸化炭素は、どこにたまりますか

空気とほぼ同じ重さなので、上にも下にもたまります。

「軽いから上にたまる」「重いから足元にたまる」と考える方がいますが、どちらも正しくありません。車内全体に、均等に広がります。

ですから「頭を低くしていれば安全」ということもありません。換気するしかありません。

Q. ハイブリッド車なら安全ですか

安全ではありません。

ハイブリッド車は、暖房や電池の状態に応じてエンジンが自動で動きます。運転者が意識していなくても、排気は出ます。

むしろ「エンジンがかかっている感覚がない」ぶん、マフラーの確認を忘れやすいとも言えます。雪に埋もれた状態での注意は、ガソリン車と同じです。

Q. エンジンを切ったら、窓は閉めてよいですか

閉めて構いません。排気が出ていないので、たまる心配はありません。

ただし人が乗っていると、車内の湿気で窓が曇り、凍ります。時々は少し開けて、空気を入れ替えてください。外の様子を見るためにも、視界は確保しておきたいところです。

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まとめ

要点 内容
最大の危険 一酸化炭素中毒。JAFの実験で16分400ppm、22分1,000ppm
やること エンジンをかけるならマフラーの雪をどける。30分〜1時間ごとに確認
迷ったら エンジンを切り、毛布と重ね着でしのぐ
危険の合図 頭痛、吐き気、めまい、強い眠気。すぐ窓を開ける
車を離れない 吹雪の中を歩いて助けを求めに行かない
積んでおく スコップ、毛布、飲食物、携帯トイレ、モバイルバッテリー
燃料 半分を切ったら給油。雪の予報が出たら満タンに
最善の策 大雪の日に車を出さない。予報は数日前から出ています

立ち往生は、運が悪いから起きるわけではありません。大雪の予報が出ている日に、車を出した人のところに起きます。

それでも出なければならない日はあります。そのときに、スコップと毛布が積んであるかどうか。判断の分かれ目は、家を出る前にあります。

【出典】
JAF(雪に埋もれた車内の一酸化炭素濃度の実験)/厚生労働省 職場のあんぜんサイト(除雪中の車内での一酸化炭素中毒の事例)/報道各社(2018年2月の福井の大雪、2013年3月の北海道の暴風雪)/気象庁(早期天候情報、大雪の予報)
体調に異変を感じた場合は、我慢せず救急へ連絡してください。一酸化炭素中毒は、自覚したときには動けなくなっていることがあります。

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1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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