冬の高波は晴れていても来る|富山湾の寄り回り波は9m超、うねりは遠くから届く

冬の高波は晴れていても来る

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【この記事の要約】
冬の日本海は、一年でいちばん荒れる海です。冬型の気圧配置で強い北西の風が吹き続け、高い波が打ち寄せます。そして怖いのは、海岸の天気が穏やかでも、遠くで生まれた大きな波(うねり)が突然やってくることです。2008年2月24日、富山湾では「寄り回り波」と呼ばれる高波が押し寄せ、有義波高9メートル超、最大波高14メートル超を観測しました。死者2人、多数の負傷者が出て、被害額は80億円を超えました。富山湾は能登半島に守られた、ふだんは穏やかな湾です。冬の海岸で守ることは3つです。一、波浪警報・注意報が出ている日は、海岸や防波堤に近づかない。二、晴れていても油断しない。三、波を見に行かない。

こんにちは。防災ベーシック編集部です。

冬の海を見に行く方は多いと思います。荒れた日本海の景色は迫力があり、写真を撮りたくなります。冬の防波堤で釣りをする方もいます。

ですが、冬の海岸では、毎年のように波にさらわれる事故が起きています。とくに注意したいのが、海岸の天気が穏やかなときに、突然大きな波がやってくることです。

この記事では、冬の高波がなぜ起きるのか、どんな日が危ないのか、そして海岸でどう身を守るかをまとめます。

目次

結論|冬の海岸は「晴れていても」近づかない日がある

一、波浪警報・注意報が出ている日は、海岸・防波堤・岩場に近づかない
二、海岸で晴れていても、遠くで生まれた大きな波(うねり)が来ることがある
三、高い波を見に行かない。写真を撮りに行かない
冬の高波で亡くなる事故の多くは、波の近くにいたことから起きています。

二つめが、冬の高波のいちばん厄介なところです。

海岸の空が晴れ、風も弱い。それなのに、大きな波が突然、防波堤を越えてくる。遠くの海で強い風が生んだ波が、うねりとなって何百キロも旅をしてくるからです。「今日は穏やかだから大丈夫」は、冬の海では通用しないことがあります。

なぜ冬の日本海は荒れるのか

段階 起きること
1 冬型の気圧配置(西高東低)で、大陸から強い北西の季節風が吹く
2 その風が、日本海の上を長い距離にわたって吹き続ける
3 風が長く吹くほど、波は高く、大きく育つ
4 育った波が、日本海側の海岸に打ち寄せる

波の高さは、風の強さと、風が吹く距離と、吹く時間で決まります。

冬の日本海では、強い風が、広い海の上を、何日も吹き続けます。波が育つ条件がすべてそろうため、一年でいちばん荒れる海になるのです。冬型の気圧配置については西高東低とは?冬型の気圧配置の読み方と、等圧線の間隔でわかる寒さに書きました。

爆弾低気圧が通ると、さらに荒れる

冬には、日本海や北海道の近くで低気圧が急に発達することがあります。いわゆる「爆弾低気圧」です。

このとき、台風並みの強い風が吹き、波も一気に高くなります。低気圧が通り過ぎたあとも、冬型の気圧配置が強まって、荒れた海が続きます。爆弾低気圧については爆弾低気圧とは?気象庁が使わない言葉の意味と、24時間20hPaという基準にまとめています。

「風浪」と「うねり」

海の波には、大きく分けて2つの種類があります。この違いを知ることが、冬の高波を理解するかぎです。

波の種類 生まれ方 特徴
風浪(ふうろう) その場所で吹いている風が作る波 とがった形で、風が弱まると静まる
うねり 遠くの海で生まれ、風のない場所まで伝わってきた波 丸みがあり、周期が長い。力が強く、遠くまで届く

うねりは、風がやんだ場所にもやってきます。

遠くの海で強い風が吹いて生まれた波は、風のない海を何百キロも進み、やがて海岸に届きます。だから海岸の天気が穏やかでも、大きなうねりが打ち寄せることがあるのです。

うねりは周期が長く、ゆったりとした波に見えます。
ですが、そのぶん大量の水を運び、防波堤を越えて一気に押し寄せます。
「ゆっくりした波だから大丈夫」と思って近づくのが、いちばん危険です。

寄り回り波|2008年2月の富山湾

うねりの怖さを示したのが、2008年2月24日の富山湾の高波です。

項目 内容
発生 2008年2月24日、富山湾沿岸
波の高さ 有義波高9メートル超、最大波高14メートル超を観測
富山港の観測 観測史上最大の波高9.92メートル、周期16秒
被害 死者2人、多数の負傷者。漁港や海岸の施設、漁船、家屋が被災し、被害総額は80億円を超えました
原因 北海道の西の海上にあった低気圧が作った高い波が、うねりとなって富山湾まで伝わった

寄り回り波とは

富山湾は、能登半島によって日本海から大部分を遮られた、ふだんは穏やかな湾です。

ところが冬には、日本海の北のほうで低気圧が生んだ波が、うねりとなって南へ進み、富山湾に入り込むことがあります。地元では昔から、これを「寄り回り波(よりまわりなみ)」と呼んできました。

地元の天気は穏やかなのに、突然、大きな波が押し寄せる。2008年の高波は、まさにその形でした。

周期16秒という数字にも注目してください。ふつうの風浪は周期が数秒ですが、周期の長いうねりは、それだけ大量の水を運び、陸の奥まで入り込みます。

波浪警報・注意報を知っておく

気象庁は、高い波のおそれがあるときに「波浪注意報」「波浪警報」を出します。

情報 意味
波浪注意報 高い波によって災害が起きるおそれがある
波浪警報 高い波によって重大な災害が起きるおそれがある
波浪特別警報 数十年に一度の高い波が予想される

基準となる波の高さは、地域によって違います。ふだんから波の高い日本海側と、穏やかな内湾では、同じ高さでも危険の度合いが違うためです。

波浪警報・注意報が出ている日は、海岸、防波堤、岩場に近づかないでください。
晴れていても、です。波の情報は、空模様では判断できません。

「有義波高」という言葉

天気予報で「波の高さ4メートル」と言うとき、それは「有義波高」を指しています。

有義波高は、一定時間に観測した波のうち、高いほうから3分の1の波の平均です。つまり、実際にはそれより高い波も来ます。ときには、有義波高の1.5倍から2倍近い波が来ることもあると言われます。

「波の高さ4メートル」と聞いたら、それより高い波が混じっていると考えてください。

波の高さを、身近なものに置き換える

「波の高さ4メートル」「6メートル」と聞いても、実感はわきにくいと思います。身近なものに置き換えてみます。

波の高さ 目安 海岸では
2メートル 大人の背丈を超える 防波堤に波しぶきが上がり始める
4メートル 建物の1階の屋根くらい 防波堤を越える波が出てくる。釣りは危険
6メートル 建物の2階くらい 海岸の施設や道路に波が打ち上がる
9メートル超 建物の3階を超える 2008年の富山湾の高波。漁港や家屋に大きな被害

しかも、これは有義波高(高いほうから3分の1の平均)です。実際にはこれより高い波が混じります。

建物の2階の高さの水の壁が、防波堤に打ち寄せると考えると、冬の海岸に近づくことがどれほど危ないかが分かると思います。

冬の海岸で、事故が起きる場面

場面 危険
防波堤での釣り 波が防波堤を越え、足元をさらわれる。冬の釣りの事故は多い
岩場・磯 濡れた岩は滑りやすく、波をかぶると転倒する
荒れた海を見に行く 写真を撮ろうと近づき、突然の大波にのまれる
海沿いの道路 波しぶきや越波で、車が損傷する。道路が通行止めになる
海岸の散歩 波打ち際に近づきすぎる

いちばん多いのは、「見に行った」「釣りをしていた」という形です。

荒れた海は、見ていて引き込まれます。ですが、その「もう少し近くで見たい」が、事故の始まりです。台風のときの「川や田んぼの様子を見に行く」と同じ構図です。

冬の海に落ちたら

冬の海は、水温が低いため、落ちると短時間で体が動かなくなります。

冷たい水に落ちると、呼吸が乱れ、手足がしびれて、泳げなくなります。そして体温がどんどん奪われます。冬の海に落ちることは、夏とは比べものにならない危険です。

人が海に落ちるのを見たら、自分は飛び込まないでください。
118番(海上保安庁)か119番に通報し、浮く物を投げてください。
助けに飛び込んだ人が亡くなる事故が、繰り返し起きています。

溺れている人を見つけたときの対応は溺れている人を見つけたら?飛び込まずに助ける4つの手順と118番・119番の使い分けに書きました。

海の近くに住んでいる方へ

海沿いに住んでいる方は、冬の高波で家が被害を受けることがあります。

被害 備え
越波で家に海水が入る 波浪警報が出たら、海側の窓や戸を閉め、土のうなどで備える
波しぶきで窓ガラスが割れる 雨戸を閉める
塩害 波しぶきで塩が家や車につき、傷みやすくなる
停電 塩分を含んだ風で、送電設備が故障することがある

冬の高波と高潮が重なると、被害はさらに大きくなります。低気圧で海面が持ち上げられたところに高い波が来ると、ふだんは届かない場所まで海水が入り込みます。

高潮と高波の違い

よく混同されますが、高潮と高波は別のものです。

高潮 高波
何が起きるか 海面そのものが持ち上がる 海面の上に、高い波が立つ
原因 低い気圧による吸い上げ、強い風による吹き寄せ 強い風、遠くからのうねり
時間 数時間かけて水位が上がる 波が繰り返し打ち寄せる

両方が重なると、最も危険です。持ち上がった海面の上に高い波が立つので、防波堤を越える波が増えます。高潮の仕組みは台風で危険なのは風より水|伊勢湾台風の死者5098人と高潮3.55mで説明しています。

冬の高波が起きやすい日を、天気図で見分ける

冬の高波は、天気図を見れば、ある程度は前もって分かります。

天気図の特徴 意味
等圧線が縦に何本も並ぶ(西高東低) 強い北西の季節風が吹く。日本海側で高い波
等圧線の間隔が狭い 風が強い。間隔が狭いほど波も高くなる
日本海や北海道付近で低気圧が急に発達 台風並みの風と高い波。うねりが遠くまで届く
低気圧が通り過ぎたあと 冬型が強まり、荒れた海が続く

「等圧線が縦に混み合っている」天気図の日は、日本海側の海が荒れると覚えておいてください。

そして低気圧が発達しながら日本の北を通るときは、その後数日、うねりが残ることがあります。荒れた日が過ぎて晴れたあとも、しばらくは海岸に注意が要ります。

冬の海に出る仕事や趣味の方へ

漁業、海の近くでの作業、冬の釣り、サーフィン。冬の海に関わる方は、次のことを習慣にしてください。

習慣 理由
出る前に波の予報を確かめる 気象庁の波浪の予想、沿岸の波の観測値
救命胴衣を必ず着る 冬の海に落ちると、短時間で体が動かなくなります。浮いていられる時間が命を分けます
一人で行かない 落ちたとき、通報してくれる人がいません
行き先と帰る時刻を伝えておく 戻らないとき、家族が早く気づけます
防水の携帯電話ケース 海に落ちても、助けを呼べる可能性が残ります

「行き先と帰る時刻を伝える」は、山登りと同じ考え方です。冬の海は、それだけ厳しい場所です。

冬の海沿いの道路

海沿いの道路では、高い波が道路まで打ち上がる(越波)ことがあります。

危険 対策
波が車に直接当たる 車が押される、窓が割れる。波浪警報の日は海沿いの道を避ける
波しぶきで前が見えなくなる 速度を落とす。無理に進まない
路面が凍る 波しぶきが凍り、路面が滑りやすくなります
通行止め 越波で道路が止まることがあります。道路情報を確かめる

海沿いの道路は、ほかに迂回路がないことも多いので、波浪警報の日は出かける時刻や道順を考え直してください。

冷たい海に落ちたとき、体に何が起きるか

冬の海が危ないのは、波の高さだけではありません。水の冷たさそのものが、人の体を短時間で動けなくします。

時間の目安 体に起きること
落ちた直後〜1分 冷たさで息を大きく吸い込み、呼吸が乱れる(コールドショック)。水を飲み込みやすい
〜10分 手足の筋肉が冷えて、思うように動かなくなる。泳げない、つかめない
それ以降 体温が下がり、低体温症が進む。意識が遠のいていく

冷たい水に落ちたときの目安として、「最初の1分で呼吸を整え、10分のうちに動ける手段をとり、1時間ほどで意識が保てなくなる」という考え方が知られています。

いちばん危ないのは、最初の1分です。冷たさで息を大きく吸い込み、パニックになって水を飲みます。落ちたら、まず慌てずに呼吸を整え、浮くことに集中する。むやみに泳ごうとすると、体力と体温を一気に失います。

救命胴衣を着ていれば、呼吸を整えることに集中できます。
浮くために力を使わなくて済むからです。冬の海で、救命胴衣が命を分ける理由はここにあります。

救命胴衣の選び方

確かめること 理由
体に合ったサイズ ゆるいと、水の中で脱げたり、顔が水に沈んだりします
国の安全基準に適合した表示 性能の目安になります
股ベルトがあるもの 水中で胴衣がずり上がるのを防ぎます
目立つ色 救助する人から見つけやすい
ホイッスル付き 声が出せなくても、居場所を知らせられます

子ども用は、必ず子どもの体に合ったサイズを選んでください。大人用を着せると、水の中で抜けてしまいます。

北海道の冬の海

札幌から近い小樽や積丹の海も、冬は日本海の荒波にさらされます。

冬の北海道の日本海側は、北西の季節風をまともに受ける場所です。防波堤を越える波しぶきが凍りつき、足元が氷でつるつるになることもあります。波にさらわれる危険に、滑って転ぶ危険が重なります。

北海道の冬の海岸で 気をつけること
凍った防波堤 波しぶきが凍り、スケートリンクのようになる。近づかない
海岸の雪の張り出し 海に向かって雪がひさしのように張り出し、踏むと崩れて落ちることがある
吹雪で見通しが悪い 波打ち際までの距離が分からなくなります
流氷(オホーツク海側) 流氷の上に乗るのは危険です。割れる、流される

海岸の雪の張り出しは、雪国ならではの危険です。海に向かって積もった雪は、下が空洞になっていることがあります。雪の上を歩いているつもりが、じつは海の上に張り出した雪の上、ということがあるのです。

子ども連れで冬の海に行くとき

冬の海の景色を見せたい、と子どもを連れて行く方もいると思います。

守ること 理由
波打ち際に近づけない 子どもは波の動きを読めません。突然の大波にさらわれます
手を離さない 雪や氷で足をとられやすい
防波堤や岩場に上らせない 滑って転落する危険があります
波浪注意報の日は行かない 子ども連れでは、とっさに逃げられません

波打ち際で波と追いかけっこをする遊びは、冬の海ではとくに危険です。うねりの大きな波は、思ったよりはるかに遠くまで上がってきます。

冬の高波と津波の違い

冬の高波で防波堤を越える波を見て、「津波のようだ」と感じる方もいるかもしれません。ですが、この2つは原因がまったく違います。

高波 津波
原因 風。遠くの風が作ったうねりも含む 地震などで海底が動くこと
予測 天気図と波浪の予報で、前もって分かる 地震が起きてから、数分で警報が出る
動き 波が繰り返し打ち寄せる 海全体が押し寄せ、陸の奥まで入る

高波は、前もって予報が出ます。だからこそ、波浪警報を見て海に近づかない、という備えが確実に効きます。予報を確かめる、という一手間で防げる事故なのです。

波浪の情報を、どこで確かめるか

知りたいこと 見るもの
警報・注意報が出ているか 気象庁の「警報・注意報」のページ。市町村ごとに確かめられます
波の高さの予想 気象庁の「波浪予想」。沿岸ごとの予想波高
いまの波の高さ 各地の港の波の観測値(沿岸の波浪観測)
うねりの向きと周期 波浪の予想図。周期が長いほど、うねりの力は大きい

海に出かける前に、この4つのうち、せめて警報・注意報だけは確かめてください。スマートフォンで数十秒あれば見られます。

とくに見落としやすいのが、晴れた日の警報です。空が晴れていると、わざわざ波の情報を見ようとは思いません。冬の海に行くときは、空模様にかかわらず、波の情報を見る習慣をつけてください。

冬の海の事故を、どう防ぐか

ここまでの内容を、海に行く前・海岸で・もし落ちたらの3つに分けて整理します。

場面 やること
海に行く前 波浪警報・注意報を確かめる。出ていれば行かない。救命胴衣を用意する
海岸で 波打ち際、防波堤の先、岩場に近づかない。波に背を向けない
誰かが落ちたら 飛び込まない。118番か119番へ通報し、浮く物を投げる
自分が落ちたら 慌てず呼吸を整え、浮くことに集中する。むやみに泳がない

「波に背を向けない」は、冬の海岸で覚えておきたい動作です。写真を撮るとき、話をするとき、つい海に背を向けます。大きな波は、そのすきにやってきます。

漁港と港町の暮らし

日本海側の港町では、冬の高波は暮らしの一部です。昔から、荒れた日は船を出さず、港の近くに寄らないという知恵が受け継がれてきました。

地元の漁業者は、波の怖さをよく知っています。危ない日は海に出ず、船を陸に上げ、港の施設を守ります。事故に遭いやすいのは、むしろ海に慣れていない人です。観光で訪れた人、たまに釣りに来た人。地元の人が近づかない日に、海岸に出てしまいます。

地元の人が海に近づかない日は、あなたも近づかないでください。
港に人がいない、船が出ていない。それは、海が危ないという何よりの合図です。

2008年の寄り回り波が教えたこと

2008年2月の富山湾の高波では、漁港の施設だけでなく、海沿いの家屋にも波が入り込みました。ふだん穏やかな湾で、ここまで大きな波が来るとは、多くの人が思っていなかったのです。

この経験から、ふだん穏やかな海でも、冬には遠くのうねりが届くことが、改めて知られるようになりました。「この海は穏やかだから大丈夫」という経験則は、冬の海では当てにならないことがあります。

冬の海と、家族との約束

冬の海に行く家族がいるなら、一つだけ約束をしておいてください。

「波浪警報が出ている日は、海に近づかない」。この一つです。

釣りが好きな家族、写真が趣味の家族、海辺を散歩するのが日課の家族。好きなことほど、危ない日にもやりたくなります。だからこそ、ふだんのうちに約束しておくことが大切です。約束があれば、「今日はやめておこう」と言いやすくなります。

よくある質問

Q. 晴れているのに、なぜ波浪警報が出ているのですか

遠くの海で生まれた大きな波(うねり)が、やってくるからです。

海岸の天気が穏やかでも、何百キロも離れた海で強い風が吹いていれば、その波がうねりとなって届きます。波浪警報は、空模様ではなく、波そのものの予測に基づいて出されています。晴れていても、警報が出ていれば海に近づかないでください。

Q. 冬の防波堤で釣りをしてもよいですか

波浪注意報や警報が出ている日は、やめてください。

出ていない日でも、救命胴衣(ライフジャケット)を着る、一人で行かない、波をかぶる場所に立たないことを守ってください。冬の海に落ちると、短時間で体が動かなくなります。救命胴衣は、浮いていられる時間をつくる道具です。

Q. 荒れた海の写真を撮りたいのですが

海から十分に離れた、安全な高い場所から撮ってください。

防波堤の先端や、波打ち際の岩場は、突然の大波にのまれる危険があります。望遠レンズを使えば、離れた場所からでも迫力のある写真は撮れます。一枚の写真のために、命をかけないでください。

Q. 太平洋側でも、冬の高波はありますか

あります。冬の低気圧が太平洋側を通ると、太平洋側の海も荒れます。

また、遠くの台風や低気圧が作ったうねりが、天気の穏やかな太平洋側の海岸に届くこともあります。どの海でも、波浪の情報を確かめてから海に近づくのが基本です。

Q. 波浪警報が解除されたら、すぐ海に行ってもよいですか

しばらくは注意してください。警報が解除されても、うねりが残っていることがあります。

とくに低気圧が発達しながら通り過ぎたあとは、数日にわたってうねりが続くことがあります。解除のあとも、波浪注意報が出ていないか、いまの波の高さはどうかを確かめてから出かけてください。

Q. 高い波が来たら、どう逃げればよいですか

海から離れ、高い場所へ移ってください。波が来てから逃げるのでは間に合わないことが多いので、そもそも波の届く範囲にいないことが基本です。

万一、波をかぶりそうになったら、何かにしっかりつかまり、流されないようにします。そして波が引いたすきに、海から離れた高い場所へ移ってください。

Q. 冬の海で釣りをするときの服装は

救命胴衣を着て、濡れても冷えにくい服を重ねてください。

綿の服は濡れると乾きにくく、体温を奪い続けます。化学繊維やウールなど、濡れても保温力が落ちにくい素材を選び、いちばん外側に防水の上着を着ます。滑りにくい靴底も大切です。防波堤は波しぶきで濡れ、冬は凍っていることもあります。

Q. 冬の海岸を散歩するのも危ないですか

波打ち際から十分に離れていれば、多くの場合は大丈夫です。

ただし、波浪注意報や警報が出ている日は、ふだんより波が遠くまで上がってきます。砂浜の、乾いた砂のところまで波が来ている跡があれば、それが波の届く範囲です。その線より陸側を歩いてください。

Q. 車で海沿いの道を走っていて、波が道路を越えてきたらどうすればよいですか

無理に進まず、安全な場所で引き返してください。

波が車に当たると、車が押される、窓ガラスが割れる、エンジンに海水が入るおそれがあります。越波している区間は、波の合間を見て通ろうとせず、別の道を選ぶか、波が収まるのを待つほうが安全です。

Q. うねりが来ているかどうか、海岸で見分けられますか

ある程度は見分けられます。うねりは、間隔の長い、ゆったりした大きな波です。風がないのに大きな波が規則正しく寄せてくるなら、うねりの可能性が高いと考えてください。

そして、ときどき、ほかよりずっと大きな波が混じるのもうねりの特徴です。数分眺めて小さな波ばかりでも、次に来る波が大きいかもしれません。見分けようとするより、波浪の情報を確かめて近づかないほうが確実です。

Q. 砂浜なら、防波堤より安全ですか

一概には言えません。砂浜では、波が思ったよりはるかに遠くまで駆け上がってくることがあります。

うねりの大きな波は、砂浜を一気に駆け上がり、引くときに人を海へ引き込みます。波が引くときの力はとても強く、足をすくわれると立て直せません。砂浜でも、波打ち際から十分に離れてください。

Q. 冬の海に近づくのは、何月から何月までが危ないですか

日本海側では、おおむね11月から3月ごろが、季節風で海が荒れやすい時期です。

とくに12月から2月は、冬型の気圧配置が強まる日が多く、高い波が続きます。2008年の富山湾の高波も2月でした。ただし、秋や春でも、低気圧が発達すれば海は荒れます。季節で判断せず、その日の波浪の情報で判断するのが基本です。

冬の海は、景色としては一年でいちばん美しいとも言えます。その美しさは、安全な場所から眺めるだけで十分に味わえます。波浪警報が出ている日は、高台の展望台や、海から離れた建物の窓から眺めてください。波の届かない場所からでも、冬の日本海の迫力は伝わってきます。

まとめ

要点 内容
冬の日本海 強い季節風が長く吹き、一年でいちばん荒れる海になる
うねり 遠くで生まれた波が、風のない海岸にも届く。晴れていても来る
寄り回り波 2008年2月の富山湾で有義波高9m超。死者2人、被害額80億円超
有義波高 予報の波の高さより、高い波も来る
守ること 波浪警報・注意報の日は海岸に近づかない。見に行かない
人が落ちたら 飛び込まず、118番か119番へ通報し、浮く物を投げる
高潮との違い 高潮は海面が上がる、高波は波が高くなる。重なると最も危険

冬の海は美しく、そして荒々しい場所です。その荒々しさを、近くで感じる必要はありません。

波浪警報が出ている日は、海を遠くから眺めてください。それだけで、冬の高波の事故のほとんどは避けられます。

次に冬の海へ出かけるときは、出発の前にスマートフォンで波浪警報・注意報を確かめてください。数十秒で終わる確認です。そして出ていれば、その日は海を遠くから眺める日にする。この小さな習慣が、冬の高波の事故からあなたと家族を守ります。家族にも、この確認を一緒に習慣にしてもらってください。冬の海は、遠くから眺めるだけで十分に美しい場所です。どうか、波の届かない場所から楽しんでください。

【出典】
気象庁「2008年2月24日に発生した富山県内の高波のまとめ」(波高、周期、被害)/東京大学先端科学技術研究センター(寄り回り波の仕組み)/気象庁(波浪警報・注意報、有義波高)
海で事故を見かけたら、118番(海上保安庁)または119番に通報してください。海に近づく前に、必ず気象庁の波浪の情報をご確認ください。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

防災ベーシック編集部です。公的機関の情報をもとに、防災・備蓄・災害対策の基本をわかりやすくお伝えします。

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