【この記事の要約】
結論から言います。いま家にある暖房のほとんどは、停電すると使えません。エアコンはもちろん、石油ファンヒーターもガスファンヒーターも、電気で送風と点火を行っているためです。停電しても使えるのは、電池や手動で点火できる反射式の石油ストーブ、カセットガスストーブ、そして湯たんぽです。ただし、どれも換気をしなければ一酸化炭素中毒を起こします。北海道胆振東部地震では最大約295万戸が停電し、復旧まで最大およそ45時間かかりました。あれが真冬なら、命の問題でした。この記事では、停電しても暖を取る方法を、優先順位をつけて解説します。
結論|まず、自分の暖房が使えるか確かめてください
停電したときに動くかどうか。これは、いま5秒で判断できます。
コンセントを使っていたら、止まります
| 暖房 | 停電したら | 理由 |
|---|---|---|
| エアコン | 使えません | すべて電気で動いています |
| 石油ファンヒーター | 使えません | 点火と送風に電気が要ります |
| ガスファンヒーター | 使えません | 同じく電気で制御しています |
| 電気ストーブ・こたつ・ホットカーペット | 使えません | 電気そのものが熱源です |
| 床暖房 | 使えません | ポンプや制御に電気が要ります |
| 反射式の石油ストーブ | 使えるものがあります | 電池や手回しで点火する製品 |
| カセットガスストーブ | 使えます | 電池点火。ボンベで動きます |
| 湯たんぽ | 使えます | お湯さえ沸かせれば |
多くの家庭には、下の三つが一つもありません。これが問題です。
だから、一つだけ持ってください
すべてを揃える必要はありません。電気を使わない暖房を、家に一つ。それだけで、停電した冬の夜が変わります。
そして、必ず換気をしてください。この記事で、換気の話は何度も出てきます。それだけ危険だからです。
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なぜ、これが命の問題なのか
冬の停電は、夏とは危険の性質が違います。
実際に起きた例があります
2018年の北海道胆振東部地震では、北海道電力の管内ほぼ全域が停電しました。最大でおよそ295万戸。復旧までに最大およそ45時間かかっています。
幸い、発生は9月上旬でした。暖房がなくても、命に関わる寒さではありませんでした。
これが1月だったら、まったく違います。氷点下の室内で、2日間。詳しい経緯は北海道胆振東部地震とは?にまとめました。
低体温症は、屋外だけで起きるものではありません
室内でも起こります。特に、高齢の方は体温を保つ力が落ちています。
そして、寒さは自覚しにくい。「寒いけれど我慢できる」と思っているうちに、判断力が落ちていきます。
震えが止まったら、危険な段階です。体が熱を作るのをやめた状態だからです。
雪国では、停電と同時に別の問題も起きます
暖房が止まれば、家の中の水道管が凍ります。そして解けたときに破裂します。
除雪機が止まり、道が塞がれます。ガソリンスタンドも動かないので、燃料を買い足せません。
凍結の防ぎ方は水道管が凍結したときの対処法に、給湯器の扱いは給湯器が止まる冬にまとめました。
停電しても使える暖房
順に見ていきます。
一、反射式の石油ストーブ
電気を使わずに点火できる製品があります。乾電池や、手動の点火装置を備えたものです。
暖房としての力は強く、上でお湯を沸かしたり、簡単な調理をしたりもできます。停電時にはこれが大きい。
注意点があります。
換気を必ず。1時間に1〜2回、数分間窓を開けてください。
灯油の備蓄が要ります。そして灯油は劣化します。前のシーズンの残りは使わないでください。
給油と持ち運びに注意。燃えているときに給油しない。動かさない。
二、カセットガスストーブ
カセットボンベで動く暖房です。灯油の保管が要らず、扱いも簡単です。
ボンベはカセットこんろと共通なので、備蓄をまとめられます。これは大きな利点です。
弱点もあります。
暖房の力は、石油ストーブより弱め。広い部屋を暖めるのには向きません。
ボンベの消費が早い。連続で使うと、1本が数時間で終わります。多めに備えてください。
寒いとボンベの力が落ちます。気温が低いとガスが出にくくなります。室内で使う前提のものです。
三、湯たんぽ
地味ですが、最も確実で、最も安全です。
お湯さえ沸かせれば使えます。換気も要らず、一酸化炭素も出ません。
そして、布団の中に入れれば、朝まで暖かい。部屋を暖めるのではなく、体を暖める。これが停電時には理にかなっています。
タオルを巻いて使ってください。直接触れ続けると、低温やけどになります。仕組みは保冷剤にタオルを巻くと長持ちする理由にまとめました。
四、使い捨てカイロ
軽く、長くもち、火も電気も使いません。備蓄として最も扱いやすいものです。
貼るなら、首の後ろ、背中、腰、お腹。太い血管の近くを温めると、全身が暖まります。
ただし、低温やけどに注意してください。就寝時に使わない、同じ場所に長時間当てないことです。
暖房がなくても、体温は守れます
道具がないときの話です。これがいちばん大事かもしれません。
部屋を暖めるのをやめてください
発想を変えます。広い部屋を暖めるのは、電気も燃料も大量に要ります。
そうではなく、体のまわりだけを暖めてください。
一、一部屋に集まる。家族が同じ部屋にいるだけで、体温で室温が上がります。
二、その部屋を小さくする。カーテンを閉め、使わない部屋のドアを閉めます。
三、テントを室内に張る。空間が小さいほど、暖まります。
四、床に敷く。段ボール、マット、毛布。床は最も熱を奪います。
着方には順番があります
一、肌に近い層は、綿を避けてください。汗を吸って乾かず、かえって冷えます。化繊やウールが向きます。
二、あいだに空気の層を作る。薄い服を重ねるほうが、厚い服1枚より暖かくなります。
三、外側は風を通さないもの。ダウンや、防風性のある上着です。
四、首・手首・足首を覆う。ここは血管が皮膚の近くを通っています。
五、帽子をかぶる。頭からは、想像より多くの熱が逃げます。
ダウンの選び方は防災にダウンジャケットが最強な理由にまとめました。
寝袋があると、まったく違います
布団より軽く、体に沿うので、少ない熱で暖かく過ごせます。
そして、避難所へも持っていけます。床の冷たさから体を守れるのは、寝袋とマットです。
選び方は防災用寝袋の選び方にまとめました。
換気を、必ずしてください
ここが、この記事で最も重要な部分です。
一酸化炭素は、気づけません
色もにおいもありません。だから、気づいたときには動けなくなっています。
頭痛、吐き気、めまい。これらが出た時点で、すでに危険な段階です。
そして、眠っているあいだに進行すると、目を覚ますことなく亡くなります。
やってはいけないこと
| やってはいけない | 何が起きるか |
|---|---|
| 締め切った部屋で燃焼式の暖房を使う | 一酸化炭素中毒 |
| 寝るときに、火をつけたままにする | 中毒と火災。眠ると気づけません |
| 寒いからと給気口を塞ぐ | 換気ができなくなります |
| 洗濯物をストーブの近くに干す | 落ちて発火します |
| ストーブの上に物を置く | 同じく火災の原因です |
| 車の中でエンジンをかけて暖を取る | 雪でマフラーが塞がれると中毒します |
| 発電機を屋内やガレージで使う | 短時間で致死量に達します |
仕組みと事例は災害時の一酸化炭素中毒とは?に、車の場合は雪で車が埋まると一酸化炭素中毒ににまとめました。
警報器を置いてください
一酸化炭素の警報器が、数千円で買えます。
燃焼式の暖房を使う家、特に停電時に使う予定のある家には、これを置いてください。気づけないものを、機械に気づかせる。それが唯一の方法です。
暖房器具ごとの、選び方の目安
買うときに迷わないよう、整理しておきます。
比べる表
| 反射式石油ストーブ | カセットガスストーブ | 湯たんぽ | |
|---|---|---|---|
| 停電時 | 使える(電池・手動点火なら) | 使える | 使える |
| 暖房の力 | 強い | 中程度 | 体だけ |
| 換気 | 必須 | 必須 | 不要 |
| 調理 | お湯も沸かせる | 機種による | 不可 |
| 燃料の保管 | 灯油。場所を取り、劣化する | ボンベ。保管しやすい | 不要 |
| 価格 | 1万円台から | 1万円台から | 千円台から |
| 集合住宅 | 規約で禁止の場合あり | 規約で禁止の場合あり | 問題なし |
迷ったら、まず湯たんぽです。千円台で、危険がなく、どこでも使えます。
そのうえで、戸建てで灯油を置ける家なら反射式の石油ストーブ、集合住宅や保管場所のない家ならカセットガスという分け方になります。
住まいの形で決まります
戸建て・寒冷地。反射式の石油ストーブ。灯油の備蓄と合わせて。暖房の力が要ります。
戸建て・温暖地。カセットガスストーブで足りることが多い。年に何度も使いません。
集合住宅。まず管理規約の確認を。禁止なら、湯たんぽとカイロと寝袋、そしてポータブル電源と電気毛布で組み立てます。
単身。部屋が狭いぶん、体を暖める方式で十分なことが多い。湯たんぽと寝袋が現実的です。
お湯を沸かす手段が、前提になります
湯たんぽを使うにも、お湯が要ります。停電するとポットも電気ケトルも使えません。
だから、カセットこんろとボンベが要ります。これは暖房の話ではなく、すべての前提です。
そして、こんろを使うときも換気してください。暖房と同じです。
体の冷え方を、知っておいてください
寒さは、段階を追って進みます。
危険の合図
| 段階 | 現れること | やること |
|---|---|---|
| 初期 | 震える、手足がかじかむ | 体を動かす、温かいものを飲む |
| 進行 | 判断が鈍る、言葉がはっきりしない | すぐ暖める。人を呼ぶ |
| 危険 | 震えが止まる、眠そうにする | 救急要請。体を熱源で暖める |
震えが止まったら、よくなったのではありません。体が熱を作るのをやめた状態です。ここが分かれ目です。
暖め方にも順番があります
濡れた服を脱がせてください。濡れていると、熱がどんどん奪われます。
首、わきの下、足の付け根を暖めてください。太い血管が通っています。保冷剤で冷やすときと同じ場所です。
温かい飲み物を、意識があるなら少しずつ。意識がはっきりしないときは、飲ませないでください。
こすらないでください。手足を強くこすると、冷えた血液が急に心臓へ戻り、危険なことがあります。
お酒は逆効果です
体が温まったように感じますが、血管が広がって、かえって熱が逃げます。
そして、判断力が落ちます。寒い環境では、飲まないでください。
燃料をどう備えるか
暖房器具だけあっても、燃料がなければ動きません。
灯油
冬の初めに満タンにしておいてください。そして、寒波の予報が出たら残量を見る。
灯油は劣化します。前のシーズンの残りを使うと、故障や不完全燃焼の原因になります。シーズン内に使い切る量を買ってください。
保管は、直射日光を避け、火の気のない場所で。専用の容器を使ってください。
カセットボンベ
暖房に使うと、思ったより早くなくなります。調理用と別に備えてください。
使用期限の目安は製造から7年程度とされています。備蓄したまま忘れないよう、年に一度確認してください。
そして、直射日光と高温を避けて保管してください。車の中に置きっぱなしにしないこと。
電気という選択肢
ポータブル電源があれば、電気毛布を数時間動かせます。電気毛布は消費電力が小さく、停電時の暖房として現実的です。
ただし、エアコンや電気ストーブは動きません。消費電力が桁違いだからです。
選び方はポータブル電源のおすすめと選び方にまとめました。
停電の長さで、必要なものが変わります
何時間止まるかで、備えの規模が決まります。
| 停電の長さ | 冬に必要になるもの |
|---|---|
| 数時間 | 重ね着と毛布。それで足ります |
| 半日 | 湯たんぽ、カイロ、寝袋。お湯を沸かす手段 |
| 1日 | 電気を使わない暖房。燃料。一酸化炭素警報器 |
| 2〜3日 | 燃料の追加。飲み水。水道管の凍結対策 |
| 1週間以上 | 避難の判断。暖を取れる場所へ移る |
胆振東部地震の停電は、最大でおよそ45時間でした。この表でいえば4段目です。
そして、いちばん下の行を忘れないでください。家で耐えることにこだわらず、暖房のある場所へ移るという選択があります。
避難所や公共施設へ移る判断
寒さで体調を崩す前に動いてください。特に、高齢の方や乳幼児がいる家庭では、早めの判断が要ります。
停電が広域なら、自治体が暖を取れる場所を開設することがあります。ラジオや自治体の情報で確認してください。
そのためにも、電池で動くラジオを用意しておいてください。停電すると、テレビもインターネットも使えなくなります。
雪が降っているときの、追加の注意
雪国では、停電に別の危険が重なります。
排気口が、雪で埋まります
屋外に設置された給湯器やボイラーは、吹きだまりで排気口が塞がれることがあります。
そうなると、排ガスが逃げられません。不完全燃焼と一酸化炭素中毒につながります。
大雪のあとは、給湯器のまわりを除雪してください。これは、忘れられやすい作業です。
屋根からの落雪
停電で暖房が止まると、屋根の雪が解けにくくなり、積もり続けます。
その重みで建物が傷むこともあります。そして、まとめて落ちると人が埋まります。
雪下ろしは、それ自体が危険な作業です。亡くなる方の多くが高齢者です。手順と注意は屋根の雪下ろしと落雪事故の対策にまとめました。
車で暖を取るときの鉄則
車は、それ自体が避難場所になります。エンジンをかければ暖房も効きます。
ただし、マフラーが雪で塞がれると、排気ガスが車内に入ります。
守ることは三つです。
一、マフラーのまわりを、こまめに除雪する。
二、風下側の窓を、少し開けておく。
三、眠るなら、エンジンを切る。寝袋と毛布で耐えるほうが安全です。
実際の事故と、除雪でどれだけ濃度が下がるかは雪で車が埋まると一酸化炭素中毒ににまとめました。
立ち往生に備えて、車に積むもの
大雪の道路では、何時間も動けなくなることがあります。
毛布か寝袋。スコップ。長靴。カイロ。飲み水。携帯トイレ。モバイルバッテリー。
そして燃料を半分以下にしないこと。これが、暖房を保つ唯一の条件になります。
秋のうちにやっておくこと
寒くなってからでは、店から物が消えます。
10月から11月にやる、六つ
一、暖房のプラグを確認する。停電時に動くものが一つあるか。
二、灯油かカセットボンベを確保する。シーズン初めが確実です。
三、一酸化炭素警報器を置く。数千円で買えます。
四、給湯器の周りを片づける。排気口が塞がれないように。
五、水道の凍結対策を確認する。保温材の傷み、水抜き栓の場所。
六、車に冬用の装備を積む。スコップ、毛布、長靴。
どれも1時間もかかりません。そして、真冬に慌てて買おうとしても、売り切れています。
離れて暮らす家族にも、伝えてください
実家が寒冷地なら、この六つを電話で確認してください。
特に、高齢の方は「まだ大丈夫」と言います。けれど、寒さを感じる力は年齢とともに弱くなります。
そして、暖房費を節約しようとして、必要な暖房を使わないことがあります。ここは、遠慮せずに口を出してよい部分です。
停電しなくても、暖房で人は亡くなっています
災害だけの話ではありません。平時のほうが、事故は多く起きています。
暖房器具は、住宅火災の大きな原因です
冬になると、火災が増えます。その原因の上位に、暖房器具が入ります。
起きているのは、こうしたことです。
一、ストーブの近くの洗濯物が落ちて燃える。
二、ストーブの前に置いた新聞紙やクッションに引火する。
三、給油中にこぼれた灯油に火がつく。
四、電気ストーブに布団や衣類が接触する。電気だから安全、ではありません。
五、コードが家具の下敷きになって、傷んで発熱する。
最後のものは、地震のあとにも起きます。倒れた家具の下でコードが傷み、通電したときに火が出る。これが通電火災です。仕組みは電気火災とは?にまとめました。
ストーブの周りに、何も置かないでください
これが、最も効く対策です。可燃物との距離を取る。それだけです。
特に注意したいのが洗濯物です。冬は室内に干すため、ストーブの近くになりがちです。
そして寝るときは消してください。眠っているあいだの火災は、逃げ遅れます。
住宅火災から身を守る方法は火事から身を守る方法にまとめました。
低温やけどは、気づかないうちに進みます
湯たんぽ、カイロ、電気毛布。これらは、熱いと感じない温度でもやけどを起こします。
44度程度でも、数時間触れ続ければ起こりえます。そして、深いところまで傷むため、治りにくい。
守ることは三つです。
一、直接肌に当てない。湯たんぽにはタオルを巻く。
二、寝るときに同じ場所へ当て続けない。布団を温めておいて、寝る前に出す。
三、自分で動けない人には特に注意する。高齢の方、乳幼児、体の感覚が鈍い方。訴えられません。
今日、5分でできる確認
この記事の内容を、行動にします。
一、暖房のプラグを見る。コンセントを抜いても動くものが、家に一つありますか。
二、湯たんぽがあるか確かめる。なければ、千円台で買えます。
三、カセットボンベの本数を数える。調理用と暖房用は別に要ります。
四、ストーブの周りを見る。燃えるものが近くにありませんか。
五、一酸化炭素警報器があるか確かめる。燃焼式の暖房を使う家には必要です。
この五つで、停電した冬の夜を越えられるかどうかが分かります。足りないものが見つかったら、寒くなる前に揃えてください。
そして、家族に伝えてください
停電したときに暖房を使うのは、あなたとは限りません。換気の必要性を知らない人が使うと、危険です。
伝えるのは、一つで足ります。「火を使う暖房は、必ず窓を開けて。寝るときは消して」。
これだけで、防げる事故があります。
季節ごとに、危険の形が変わります
同じ停電でも、時期によってやることが違います。
| 時期 | 停電で最も危ないこと | 優先する備え |
|---|---|---|
| 夏 | 熱中症。室内で起きます | 涼しい場所へ移る。保冷剤、水 |
| 秋 | 台風による長期停電 | ライト、ラジオ、現金、モバイルバッテリー |
| 冬 | 低体温症、一酸化炭素中毒、水道管の凍結 | 電気を使わない暖房、燃料、警報器 |
| 春 | 突風、ひょう、季節外れの寒波 | 暖房を片づけるのを急がない |
冬だけ、危険が三つ重なります。だから備えの量が最も多くなります。
春に、暖房をすぐ片づけないでください
見落とされやすい点です。4月や5月にも、寒波が戻ることがあります。
そして、そのタイミングで停電すれば、暖房は倉庫の奥です。ゴールデンウィークが過ぎるまでは、すぐ出せる場所に置いておいてください。
夏の備えとは、方向が逆になります
夏の停電では、体を冷やすことが課題になります。そして、冷やすときと保つときで、タオルの使い方が正反対になります。
その仕組みは保冷剤にタオルを巻くと長持ちする理由にまとめました。空気の層という一つの原理で、夏も冬も説明がつきます。
夏の停電への備えは停電対策【夏編】をご覧ください。
通年で効くものから、揃えてください
季節ごとに買い足すと、きりがありません。まず、どの季節でも使うものから。
ライト、電池、ラジオ、モバイルバッテリー、飲み水、携帯トイレ、現金。
この七つは、夏の停電でも冬の停電でも要ります。そのうえで、冬には暖房と燃料を足す。この順番が、いちばん無駄がありません。
よくある質問
Q. 石油ストーブは、どれを選べばよいですか
「電池点火」または「手動点火」で、電源コードのないものを選んでください。これが、停電時に使える条件です。
店頭で見分けるには、コンセントの差込プラグがあるかどうかを見てください。プラグがあるものは、送風などに電気を使っています。
そして、部屋の広さに合った出力を選んでください。大きすぎると、換気が追いつかなくなります。
Q. マンションでは使えないと聞きました
管理規約で、燃焼式の暖房を禁止している建物があります。気密性が高く、換気が不十分になりやすいためです。
お住まいの規約を確認してください。禁止されている場合は、湯たんぽ、カイロ、寝袋、ポータブル電源と電気毛布で組み立てることになります。
停電で断水も起きる仕組みはマンションの断水は停電で起きるにまとめました。
Q. 赤ちゃんや高齢の家族がいます
この方々は、自分で体温を調節する力が弱くなっています。そして、寒さや暑さを訴えられないことがあります。
やることは三つです。
一、部屋を分けず、同じ空間で過ごす。様子が見えることが大事です。
二、湯たんぽとカイロは、直接触れさせない。低温やけどに気づけません。
三、燃焼式の暖房を使うなら、換気をより頻繁に。影響を強く受けます。
Q. 電気毛布とポータブル電源で、一晩もちますか
製品の組み合わせによります。電気毛布の消費電力と、電源の容量から計算できます。
電気毛布は消費電力が小さいので、大型のポータブル電源なら一晩使える場合があります。購入前に、両方の数値を確認してください。
ただし、停電してから充電はできません。ふだんから満充電にしておくことが前提です。
Q. 電気を使わない暖房を、部屋のどこに置けばよいですか
壁から離し、人の通り道を避けて置いてください。そして、カーテンや家具から距離を取ります。
換気のことを考えると、窓から遠すぎない位置が扱いやすくなります。窓を開けたときに、空気が入れ替わりやすいためです。
そして、地震で倒れないかを考えてください。燃えている暖房が倒れれば、火災になります。転倒時に消える機能があるか、確認しておいてください。
Q. 停電中、換気をすると寒くなります
それでも換気してください。寒さは我慢できますが、一酸化炭素は気づけません。
工夫はできます。短い時間、対角線上にある二か所を同時に開けると、少ない時間で空気が入れ替わります。
そして、換気のあいだは暖房のそばから離れず、体には毛布をかけておいてください。数分で終わります。
Q. どれくらいの頻度で換気すればよいですか
製品の取扱説明書に従ってください。1時間に1〜2回、数分間という指示が多くあります。
そして、頭が痛い、気分が悪いと感じたら、その時点ですぐ換気して外の空気を吸ってください。時間の目安より、体の合図が優先します。
確実なのは、一酸化炭素警報器を置くことです。数千円で、判断を機械に任せられます。
Q. オール電化の家は、どうすればよいですか
停電すると、暖房も給湯も調理も、すべて止まります。逃げ道がありません。
だからこそ、電気を使わない手段を一つ持つ意味が、他の家より大きくなります。
おすすめは、カセットこんろとカセットガスストーブの組み合わせです。ボンベを共通にできるので、備蓄が単純になります。
そして、エコキュートをお使いなら貯湯タンクにお湯が残っています。飲用には向きませんが、湯たんぽに使うことはできます。取り出し方は給湯器が止まる冬にまとめました。
Q. ペットがいる場合の注意は
暖房のそばに近づけないでください。やけどと、器具を倒す事故が起きます。
そして、ペットは自分で場所を移せる状態にしておいてください。暑ければ離れ、寒ければ寄る。ケージに閉じ込めたままにしないことです。
一酸化炭素の影響は、体の小さい動物ほど早く現れます。ペットの様子がおかしいと感じたら、それが人間への警告でもあります。
Q. 職場に、冬の停電の備えは要りますか
必要です。帰宅できないまま夜を越える可能性があります。
東日本大震災では、首都圏で大量の帰宅困難者が出ました。そして「むやみに移動を開始しない」という考え方が定着しています。
職場に置いておきたいのは、この四つです。毛布かアルミのシート、使い捨てカイロ、歩ける靴、そして水と軽い食べ物。
いずれもロッカーに入る大きさです。とどまるほうが安全な場面が多いので、とどまれる装備を持ってください。
停電中に温かいものを食べるなら、カセットコンロが最も確実です。ガス缶の必要本数と選び方は防災用カセットコンロおすすめ12選にまとめました。
冬の備えは、ひとつずつが独立していません。暖房が止まれば水道が凍り、雪が積もれば買い物に行けなくなります。あわせて雪下ろし事故の原因と対策、吹雪でホワイトアウト、立ち往生したら、カセットボンベが寒いと使えない理由、ポータブル電源は寒いと性能が下がる?、エマージェンシーシートおすすめ10選もご覧ください。
まとめ
要点を並べます。
一、いま家にある暖房のほとんどは、停電すると使えません。エアコンも、ファンヒーターもです。
二、使えるのは、電池・手動点火の石油ストーブ、カセットガスストーブ、湯たんぽです。
三、どれか一つを、家に用意してください。全部そろえる必要はありません。まず湯たんぽからで構いません。
四、燃焼式を使うなら、必ず換気してください。一酸化炭素は、色もにおいもありません。
五、寝るときに、火をつけたままにしないでください。眠っていると気づけません。
六、部屋を暖めるより、体を暖めてください。一部屋に集まり、床に敷き、重ね着をする。
七、燃料を切らさないでください。停電するとガソリンスタンドのポンプも止まり、買い足せなくなります。
北海道胆振東部地震が9月に起きたのは、幸運でした。あれが1月なら、まったく違う災害になっていたはずです。
そして、その組み合わせはいつでも起こりえます。冬の地震、冬の台風、冬の大雪。どれも停電を伴います。
今日できるのは、一つだけです。家の暖房のプラグを見て、コンセントを抜いても動くかどうかを確かめてください。動かないなら、この冬までに一つ用意してください。
冬の停電への備え全体は停電対策【冬編】に、備えの順番は防災は何から始める?にまとめています。




