冬季うつは眠りすぎと食べすぎで出る|春に治り毎年くり返すのが特徴

冬季うつは眠りすぎと食べすぎで出る|春に治り毎年くり返すのが特徴

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【この記事の要約】
冬になると気分が落ち込み、春になると回復する。これをくり返す状態を「冬季うつ」といいます。正式には季節性感情障害と呼ばれます。ふつうのうつ病と、症状の出方が違うのが特徴です。眠れなくなるのではなく眠りすぎる。食欲が落ちるのではなく食べすぎる。とくに炭水化物や甘いものが欲しくなり、体重が増えます。この出方は「非定型うつの症状」と表現されます。原因としては、日照時間が減ることで体内時計が乱れることが関係すると考えられています。治療では高照度光療法が第一選択に挙げられます。2,500〜10,000ルクスの光を1〜2時間浴びる方法で、1週間ほどで改善することが多いとされます。そして防災の観点では、災害のあとに条件がそろいます。停電で暗い生活が続く。避難所で外に出なくなる。雪で閉じこもる。この記事では、まず「朝の光を浴びる」という最初の一手をお伝えします。ただし診断と治療は医師の領域です。つらさが続くときは、我慢せず受診してください。

札幌の冬は、日が短くなります。

朝は暗く、夕方4時を過ぎるともう暗い。そして雪の日は、昼でも薄暗いままです。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。冬の防災を書いてきましたが、この話は少し性質が違います。

雪や寒さは、目に見えます。ですが「気分が落ちる」は、目に見えません。

そして本人も、季節のせいだと気づかないことがあります。

目次

結論|まず、朝の光を浴びてください

先に、いちばん大事なことを書きます。

冬季うつは、日照時間の減少が関係すると考えられています。ですから最初にやることは、朝、光を目に入れることです。
起きたらカーテンを開ける。数分でも外に出る。費用はかかりません。
そのうえでつらさが続くなら、受診してください。これは気合いで治すものではありません。

「怠けている」と自分を責める方が、非常に多いのです。

ですが眠りすぎるのも、食べすぎるのも、この状態の症状として知られているものです。

ふつうのうつ病と、何が違うのか

ここが、いちばん誤解されます。

一般に知られるうつ病 冬季うつ
睡眠 眠れない(不眠) 眠りすぎる(過眠)
食欲 落ちる 増える(過食)
食べたくなるもの — 炭水化物、甘いもの
体重 減ることが多い 増えることが多い
時期 季節を問わない 秋から冬に始まり、春に回復する
くり返し — 毎年、同じ季節にくり返します

この出方は「非定型うつの症状」と表現されます。

ここが厄介なところです。「よく寝て、よく食べているのだから元気だろう」と見られてしまいます。

本人も「ただ食べすぎているだけ」「寝すぎているだけ」と思います。

いちばんの手がかりは「毎年くり返す」ことです

秋に始まって、春が近づくと回復する。そして翌年も同じことが起きる。

この繰り返しが、季節性の特徴とされています。

ですから「そういえば去年の冬も同じだった」と思い当たる方は、一度受診をご検討ください。

なぜ起きるのか

日照時間の減少によって、体内時計が乱れることが関係すると考えられています。

人の身体は、光を手がかりに1日のリズムを作っています。

光が減ると 起きること
体内時計の合図が弱くなる 起きる時刻・眠る時刻のリズムが崩れます
朝の目覚めが悪くなる いつまでも眠気が続きます
日中の活動が落ちる さらに光を浴びなくなります
悪循環になる 暗い→動かない→もっと暗い、という流れ

「動かないから、光を浴びない」という悪循環が、いちばんの問題です。

冬は外に出る理由が減ります。雪が降れば、なおさらです。

高緯度の地域ほど多いとされます

日照時間が短い地域ほど、報告が多いとされています。

北海道や東北の冬は、日が短く、曇りや雪の日が続きます。

そして雪が積もると、外に出る回数そのものが減ります。

雪かきのために出ることはあっても、それは朝の光を浴びる時間帯とは限りません。

気づくための手がかり

サイン 内容
いくら寝ても眠い 朝起きられない。日中も眠い
甘いものが異常に欲しい 炭水化物への欲求が強まります
体重が増えた 冬のあいだだけ増える
気力がわかない やる気が出ない、億劫になる
人に会いたくない 外出や連絡が減ります
集中できない 仕事や家事がはかどらない
毎年、同じ時期に起きる これが最大の手がかりです

ここに複数当てはまり、それが毎年くり返しているなら、季節性の可能性があります。

ただしこれは診断ではありません。甲状腺の病気など、別の原因で似た症状が出ることもあります。

判断は医師にお任せください。私にできるのは、受診を考える材料をお示しするところまでです。

治療について

ここは、医療の領域です。一般に知られていることを書きます。

高照度光療法

第一選択の治療法として挙げられています。

項目 内容
明るさ 2,500〜10,000ルクス
時間 1〜2時間程度
効果 1週間程度で改善することが多いとされます
続け方 中断すると再発しやすいため、冬季は連日が望ましいとされます

ルクスというのは、明るさの単位です。

目安として、一般的な室内の照明は数百ルクス程度とされます。曇りの日の屋外でも、室内よりはるかに明るくなります。

つまり「部屋の電気をつけている」だけでは、まったく足りません。

ただし、光療法を自己判断で始めることは勧めません。目の病気がある方など、注意が必要な場合があります。医療機関にご相談ください。

薬による治療

医師の判断で、薬が使われることもあります。

ここについて、私は何も申し上げられません。診断と処方は、医師の領域です。

生活のなかでできること

受診とは別に、日常でできることを書きます。

やること ひとこと
起きたらカーテンを開ける 0円で、今日からできます
朝、外に出る 数分でも違います。曇りでも屋外は明るい
朝食をとる 体内時計を整える手がかりになります
日中に身体を動かす 散歩、雪かき、家事でも
起きる時刻を一定にする 休日に寝すぎると、リズムが崩れます
部屋を明るくする 照明を足す、明るい色にする
夜は明かりを落とす 眠りやすくなります
人と話す 閉じこもりを防ぎます

「起きたらカーテンを開ける」を最上段に置きました。

これ以上に簡単なことがないからです。そして、体内時計に光を届ける最初の機会です。

曇りでも、屋外は明るい

「今日は曇りだから意味がない」と思われるかもしれません。

ですが屋外は、曇っていても室内よりはるかに明るくなります。

雪が積もっていれば、地面からの反射も加わります。雪国の冬は、晴れた日の明るさが相当なものです。

ゴミ出しのついでに、少し立ち止まる。それだけでも構いません。

災害のあとに、条件がそろいます

ここからが、防災の話です。

災害後の状況 何が起きるか
停電が続く 室内が暗いままになります
避難所にいる 外に出る用事がなく、日中も屋内で過ごします
雪で閉じこもる 大雪のあとは、外出そのものが困難です
生活のリズムが崩れる 起きる時刻・寝る時刻が不規則になります
先の見通しが立たない 不安が続きます
人との関わりが減る 近所づきあいや仕事が止まります

冬の災害は、この条件をまとめて作ります。

停電で暗く、寒くて動けず、雪で外に出られず、生活は不規則になる。

これは季節性うつの条件そのものです。

避難生活では、意識して光を浴びてください

避難所や在宅避難では、外に出る理由がなくなります。

ですから、意識して作ってください。

  • 朝、いちど外に出る
  • 日中はカーテンを開け、窓際で過ごす
  • 起きる時刻を決める
  • 短くても、身体を動かす

「起きる時刻を決める」は、避難生活でとくに効きます。

やることがないと、生活時間はどこまでも崩れます。ひとつだけ固定するなら、起床時刻にしてください。

冬の避難所については冬の避難所は床が最優先|2024年能登で起きた寒さと感染症を防ぐ3手当てに書きました。

停電中は、明かりの使い方を変える

停電すると、明かりは貴重になります。節約したくなります。

ですが日中に暗い部屋で過ごし続けるのは、避けたいところです。

昼はカーテンを開け、自然光を使う。電池は夜に回す。この使い分けをしてください。

冬の停電への備えは停電対策【冬編】低体温症を防ぐ準備・グッズ・行動マニュアルにまとめています。

家族や周りの人ができること

本人は、気づかないことが多いのです。

そして気づいても、「怠けているだけ」と自分を責めます。

できること ひとこと
「毎年この時期だね」と伝える 季節性だと気づく手がかりになります
朝、一緒に外に出る 誘うほうが動きやすい
食事に誘う 生活リズムの手がかりになります
受診を勧める 一緒に行くと、行きやすくなります
「怠けている」と言わない 本人はすでに自分を責めています

「怠けている」という言葉だけは、避けてください。

過眠も過食も、この状態の症状として知られています。意志の問題として扱わないでください。

受診の目安

ここは、はっきり書きます。

私は医師ではありません。診断も、治療の判断もできません。

そのうえで、受診を考えていただきたい状況を挙げます。

状況 考え方
仕事や家事に支障が出ている 生活に影響しているなら、相談してください
毎年くり返している 季節性の可能性があります
2週間以上続いている 一時的な落ち込みとは分けて考えます
自分を責める気持ちが強い 早めにご相談ください
死にたい気持ちがある すぐに相談してください。待たないでください

最後の行に当てはまる場合は、この記事を読んでいる時間も惜しいです。

お住まいの自治体の相談窓口、精神保健福祉センター、かかりつけ医。どこでも構いません。連絡してください。

光の量を、数字で見る

「明るさが足りない」と言われても、実感がわきません。

ルクスという単位で並べると、差がはっきりします。

場所・状況 おおよその明るさ
よく晴れた日の屋外 数万ルクス
曇りの日の屋外 数千ルクス以上
光療法で使う明るさ 2,500〜10,000ルクス
一般的な室内の照明 数百ルクス程度
夜の室内 さらに低くなります

この表でお伝えしたいのは、1行だけです。

曇りの日でも、屋外は室内より桁違いに明るい。

「今日は天気が悪いから」と外に出ないのは、もったいない判断です。部屋の照明をいくら明るくしても、屋外には届きません。

窓際でも違います

外に出るのが難しい日もあります。

そのときは、窓際で過ごしてください。

カーテンを開け、窓のそばに座る。それだけでも、部屋の奥にいるより光を受けられます。

朝食を窓際でとる、という方法を勧めることがあります。光を浴びることと、朝食をとることを、同時に済ませられるからです。

体内時計を整える、3つの手がかり

光だけではありません。身体のリズムは、いくつかの合図で作られます。

手がかり やること
光 朝、目に光を入れる。夜は明かりを落とす
食事 朝食をとる。時刻をなるべく一定に
運動 日中に身体を動かす

この3つは、災害時にすべて崩れます。

停電で暗く、食事の時間は不規則になり、外に出られない。避難生活でリズムが崩れるのは、当然のことです。

ですから意識して作り直す必要があります。

夜の明かりについて

朝は光を浴びる。そして夜は、逆にします。

寝る前に明るい画面を見続けると、身体は「まだ昼だ」と受け取ります。

冬は家にいる時間が長く、画面を見る時間も増えがちです。寝る前だけでも、明かりを落としてください。

雪国の冬は、外に出る理由が減ります

札幌に住んでいて、実感することがあります。

冬は、用事がないと本当に出ません。

理由 内容
寒い 支度に手間がかかります
路面が滑る 転倒が怖くて、外出を避けます
雪で歩きにくい 歩道が狭くなります
日が短い 明るい時間に出る機会がありません
車で移動する 歩く時間が減ります

「路面が滑る」は、とくに高齢の方の外出を減らします。

一度転ぶと、次から出るのが怖くなります。そして閉じこもりが始まります。

雪道での転倒については雪道で滑るのは新雪ではなく磨かれた氷|白線の上が危ない3つの理由に書きました。滑りにくい場所を知っておくことが、外出の後押しになります。

雪かきは、光を浴びる機会でもあります

雪かきは、たいへんな作業です。

ですが、朝に外へ出て、身体を動かす機会でもあります。

体内時計という観点では、条件がそろっています。光・運動・朝という3つが重なります。

ただし雪かきは事故の多い作業でもあります。無理のない範囲にしてください。

食べすぎを、責めないための考え方

冬季うつでいちばん自分を責めやすいのが、食欲の話です。

「意志が弱い」と思ってしまいます。

ですが、炭水化物や甘いものへの欲求が強まることは、この状態の特徴として知られています。

それでも、体重は健康に影響します

症状だからといって、放っておいてよいわけではありません。

冬のあいだに体重が増えると、血圧や血糖にも影響します。

そして冬は、もともと血圧が上がりやすい季節です。ヒートショックや脳血管の問題と、条件が重なります。

できること ひとこと
量を減らすより、時間を決める 禁止すると反動が来ます
朝食をしっかりとる 夜の過食が減ることがあります
買い置きを減らす 手の届く場所に置かない
受診時に相談する 体重の変化も、伝える価値のある情報です

「禁止しない」を勧めます。

すでに気分が落ちている状態で、さらに我慢を重ねると続きません。

眠りすぎるのも、症状です

もうひとつ責められやすいのが、睡眠です。

10時間寝ても眠い、という状態が起こりえます。

周りからは「寝すぎ」に見えます。ですが本人は、休めた感じがしません。

やること 理由
起きる時刻を固定する 寝る時刻より、起きる時刻のほうが効きます
起きたらすぐ光を浴びる 体内時計の合図になります
昼寝を長くとりすぎない 夜の睡眠に影響します
寝床で長く過ごさない 眠れないまま横になり続けない

「起きる時刻を固定する」が要点です。

眠る時刻は、意志で決められません。ですが起きる時刻は決められます。

災害のあとの、こころの反応について

ここは、区別が必要な部分です。

被災後に気分が落ち込むことは、季節性うつとは別に起こります。

冬季うつ 被災後の反応
きっかけ 季節(日照) 災害という出来事
時期 毎年くり返す 災害のあとに始まる
出方 過眠・過食が多い 眠れない、思い出す、落ち着かない

冬に被災すれば、両方が重なることもあります。

そしてどちらであっても、対応は同じです。つらければ相談する。

被災地では、保健師や心のケアチームが巡回していることがあります。避難所の運営側に聞けば、つないでもらえます。

「自分より大変な人がいる」と思わないでください

被災後によく聞く言葉です。

ですが、つらさは比べるものではありません。

家が無事だった方も、避難生活をした方も、相談してよいのです。

子どもと高齢の方について

子どもの場合

朝起きられない、学校へ行きたがらない、という形で出ることがあります。

「怠けている」「夜更かししているから」と判断される前に、季節でくり返していないかを見てください。

そして子どもも、朝の光と朝食が効きます。登校前にカーテンを開ける習慣にしてください。

気になる場合は、学校の相談窓口や小児科にご相談ください。

高齢の方の場合

閉じこもりが、いちばんの問題になります。

冬は転倒が怖くて外に出ない。人に会わない。日中も家のなかにいる。

気分の問題だけでなく、筋力の低下にもつながります。

できること ひとこと
安全に歩ける道を一緒に確認する 「滑らない道」が分かれば出やすくなります
滑り止めのついた靴を用意する 転倒の不安を減らします
誘って一緒に外へ出る 一人だと出ません
窓際に座る場所を作る 外に出られない日でも光を浴びられます
電話をかける 人と話す機会を作ります

高齢のご家族の冬の過ごし方は高齢の家族は寒さを感じにくい|冬の災害で先に守る首・頭・手・足の4か所もあわせてご覧ください。

周りの人が、最初に気づくことがあります

本人は、変化に気づきにくいものです。

毎日少しずつ変わるので、比べる相手が自分しかいないからです。

いっぽう、たまに会う人には見えます。

「最近つらそうだね」の一言が、受診のきっかけになることがあります。

言いにくければ、季節の話にしてください。「毎年この時期、しんどそうだよね」なら、責める形になりません。

「冬が苦手」で終わらせない

この記事を書いていて、いちばん伝えたいと思ったことがあります。

「自分は冬が苦手なだけ」で片づけてしまう方が多い、ということです。

雪国では、とくにそうです。冬がつらいのは当たり前だと思われています。

周りも同じことを言います。「みんな冬は元気ないよ」と。

ですが、程度の問題です

誰でも冬は気分が沈みます。それは事実です。

問題は、生活が回らなくなっているかどうかです。

ここまでなら 相談を考えたい状態
寒くて外出が減る 予定していたことができない
朝、起きるのがつらい 起きられず、遅刻や欠勤が続く
甘いものが欲しくなる 体重が明らかに増えている
なんとなく気分が重い 2週間以上続いている

右の列に当てはまるなら、「冬が苦手」では説明がつきません。

そして毎年くり返しているなら、なおさらです。

相談先を、先に控えておく

つらくなってから調べるのは、なかなか大変です。

元気なうちに、行き先を控えておいてください。

相談先 ひとこと
かかりつけの内科 まずここでも構いません。必要なら紹介してもらえます
心療内科・精神科 予約が必要なことが多いので、早めに
自治体の相談窓口 保健所や保健センター。家族からの相談も可能な場合があります
精神保健福祉センター 各都道府県に設置されています
職場の相談窓口 産業医や健康管理室がある場合
学校の相談窓口 お子さんの場合。スクールカウンセラーなど

「かかりつけの内科でも構わない」と書きました。

心療内科は敷居が高いと感じる方が多いためです。ふだん行っている病院で相談するほうが、はるかに動きやすくなります。

そして甲状腺の病気など、別の原因を確かめる意味でも、内科での相談には価値があります。

災害時は、窓口が変わることがあります

被災地では、通常の医療機関が機能していないことがあります。

その場合は、避難所の運営本部や保健師に聞いてください。

災害時には、心のケアチームが入ることがあります。制度として用意されているものなので、遠慮せず利用してください。

10月から11月に、備えておく

冬季うつは、秋から始まるとされています。

ですから、症状が出てからでは遅い面があります。

時期 やること
9月〜10月 去年の冬がどうだったか、思い出しておく
10月〜11月 朝の習慣を作る。カーテン、朝食、起床時刻
11月 去年つらかった方は、早めに受診の相談を
12月〜2月 いちばん日が短い時期。習慣を切らさない
3月 回復してくる時期。無理に戻さない

「去年の冬がどうだったか」を思い出すのが、最初の一歩です。

毎年くり返すのが特徴なので、去年つらかったなら、今年も同じ時期に来る可能性があります。

そして来てから動くより、来る前に習慣を作っておくほうが楽です。

冬支度と一緒にやってしまう

雪国では、10月から11月に冬支度をします。

タイヤを替える。灯油を用意する。除雪の道具を出す。

そのリストに、朝の習慣をひとつ足してください。

冬支度の全体は冬支度チェックリスト|10月末までにやる8つの備えにまとめています。

私が、この記事を書いた理由

防災のサイトで、心の話を書くのは珍しいと思います。

ですが、災害で失われるのは家や物だけではありません。

停電が続き、雪に閉じ込められ、避難所で何日も過ごす。そのあいだ、人は光を浴びず、動かず、人と会いません。

これは、季節性うつが起きる条件と重なります。

そして冬の災害は、それを一度に作ります。

備蓄も暖房も大切です。ですが「朝カーテンを開ける」という行為も、備えのひとつだと考えています。

停電のなかでも、避難所でも、これはできます。費用もかかりません。

それが、この記事を書いた理由です。

よくある質問

Q. ただの冬の気分の落ち込みと、どう違いますか?

生活に支障が出ているかどうかが、ひとつの目安です。

誰でも、寒くて暗い季節は気分が沈みます。ですが仕事に行けない、家事ができない、人に会えないとなれば、話が変わります。

そして毎年同じ時期にくり返しているかどうか。ここが季節性の特徴とされています。

Q. 光療法の器具を、自分で買ってもいいですか?

自己判断で始めることは勧めません。

目の病気がある方など、注意が必要な場合があります。また、そもそも季節性うつかどうかの判断が先です。

まず医療機関にご相談ください。

Q. 甘いものが止まりません。意志が弱いのでしょうか?

いいえ。炭水化物や甘いものへの欲求が強まることは、この状態の特徴として知られています。

意志の問題として扱わないでください。

そのうえで、体重が増えることは別の健康問題につながります。気になる場合は、受診の際に一緒に相談してください。

Q. 北海道に引っ越してから、冬がつらくなりました

日照時間が短い地域ほど報告が多いとされています。

環境が変わったことで、症状が出るようになる場合もあります。

雪国の冬は、日が短いうえに曇りが続きます。意識して光を浴びる時間を作ってください。そしてつらさが続くなら、受診をご検討ください。

Q. 災害の被災後に落ち込んでいます。同じものですか?

別の可能性もあります。

被災後の心の反応は、季節性うつとは違う経過をたどることがあります。これも私が判断できる領域ではありません。

被災地では、保健師や心のケアチームが相談を受けていることがあります。避難所や自治体の窓口で聞いてみてください。

Q. 春になれば治るなら、我慢すればいいのでは?

その考え方は、勧められません。

数か月間、生活に支障が出続けることになります。そして毎年くり返します。

治療で改善する可能性があるなら、我慢する理由はありません。

Q. 朝、何時に光を浴びればいいですか?

起きてから、なるべく早い時間が望まれます。

体内時計は、朝の光で「1日が始まった」と受け取るとされています。

ただし冬の朝は、そもそも暗いことがあります。その場合は、明るくなってからで構いません。厳密な時刻より、毎日続けることのほうが大切です。

Q. 部屋の照明を明るいものに替えれば足りますか?

屋外の明るさには届きません。

一般的な室内の照明は数百ルクス程度とされ、光療法で使う2,500〜10,000ルクスとは桁が違います。

ただし「暗い部屋よりは良い」のは確かです。冬に部屋の照明を足すことには意味があります。

Q. 冬だけ仕事のミスが増えます。関係ありますか?

集中しにくくなることは、症状として挙げられています。

ただし、原因は他にもあります。睡眠の問題、体調、職場の状況。

毎年冬だけ起きるのであれば、季節性を疑う材料にはなります。気になるなら受診してください。

Q. 家族が受診を嫌がります

よくあるご相談です。

「病院へ行こう」と正面から言うと、たいてい断られます。

私が勧めているのは、症状ではなく困りごとから入ることです。

「朝つらそうだから、一度みてもらおう」「毎年この時期しんどそうだから」。本人を否定しない言い方にしてください。

それでも難しければ、先にご家族だけで相談するという方法もあります。自治体の相談窓口では、家族からの相談も受け付けていることがあります。

Q. 春になれば治るので、毎年やり過ごしています

やり過ごせているなら、それも一つの形です。

ただし数か月、毎年つらい思いをしていることになります。

治療で楽になる可能性があるなら、選択肢として知っておいてほしいと思います。我慢が前提である必要はありません。

まとめ|まず朝の光、そしてつらければ受診を

要点 内容
正式名 季節性感情障害
時期 秋から冬に始まり、春に回復。毎年くり返します
特徴 眠りすぎる、食べすぎる、体重が増える
欲しくなるもの 炭水化物、甘いもの
原因 日照時間の減少による体内時計の乱れが関係すると考えられています
治療 高照度光療法が第一選択に挙げられます(2,500〜10,000ルクス・1〜2時間)
最初の一手 起きたらカーテンを開ける。朝、外に出る
災害時 停電・避難生活・雪の閉じこもりで条件がそろいます
周りの人 「怠けている」と言わない
受診 生活に支障が出ているなら相談してください

雪や寒さの備えは、道具でなんとかなります。

ですが、この話は道具では解決しません。

それでも、朝カーテンを開けることは、今日からできます。

冬の朝は暗く、布団から出たくないものです。それでも、開けてみてください。

【出典】
医療機関・公的団体の公開情報(季節性感情障害の症状、非定型うつの特徴、日照時間との関連、高照度光療法の照度・時間・効果)
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。診断や治療の判断は行えません。気分の落ち込みが続く場合、生活に支障が出ている場合は、医療機関や自治体の相談窓口にご相談ください。死にたい気持ちがある場合は、すぐに相談してください。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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