台風26号スリゲの進路|沖縄・先島諸島はいつから暴風域に入るか

台風26号スリゲの進路

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【9月25日 更新】台風26号は、予想より強く発達する見込みになりました。25日9時の気象庁の予想では、28日9時に沖縄の南で中心気圧960ヘクトパスカル、最大風速40メートル、最大瞬間60メートルです。前回(24日)の予想(970ヘクトパスカル、最大風速35メートル)より強くなっています。
進路も変わりました。26日に強い勢力で沖縄の南に達したあと、北寄りから東寄りに向きを変え、沖縄本島にかなり近づく可能性があります。そして来週(30日ごろ)は、日本の南へ進む見込みです。
日本の南に進んだ場合は、停滞する秋雨前線の活動が活発になり、本州の広い範囲に大雨の影響が出るおそれがあります。沖縄の方は今週末のうちに、本州の方は来週はじめまでに、備えを確かめてください。

【この記事の要約】
9月23日21時、フィリピンの東で台風26号「スリゲ」が発生しました。北西へ毎時20キロで進んでいます。気象庁の予想では、26日に強い勢力で沖縄の南へ達し、28日には中心気圧960ヘクトパスカル、最大風速40メートルまで発達する見込みです。その後、沖縄本島にかなり近づく可能性があり、来週は日本の南へ進む見込みです。沖縄の南でゆっくり北上する予想のため、風と雨が長く続くおそれがあります。速く通り過ぎる台風より、この「遅い台風」のほうが危険です。船と飛行機は、台風が来る前に止まります。離島では、それが物資の遅れに直結します。いま買い物を済ませ、水をためる準備をしてください。名前の「スリゲ」は北朝鮮が提案したもので、鷲(わし)の名前に由来します。この記事は、状況が変わるたびに更新します。

台風26号が発生しました。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。先週の台風25号では、関東と伊豆諸島で7人が亡くなりました。続けて次の台風の記事を書くことになりました。

今回は、25号とは性格が違います。向かう先が沖縄で、そして動きが遅いという点です。

目次

結論|沖縄では「長く続く台風」に備えてください

先に、いちばん大事なことを書きます。

台風26号は、沖縄の南でゆっくり北上しながら、強い勢力まで発達する見込みです。
28日にかけて沖縄の南で発達し、その後、沖縄本島にかなり近づく可能性があります。
ですから準備の期限は、26日(土)までです。風が強まってからでは、買い物も、屋外の片づけもできません。

動きが遅い台風は、同じ場所に長く風と雨を降らせます。

短時間で通り過ぎる台風なら、家にこもって数時間しのげば終わります。ですが、居座る台風では、停電も断水も、その間ずっと続きます。

いま、どこにあるのか

いまの実況(9月25日9時)

項目 内容
名前 台風26号(スリゲ)
発生 9月23日21時、フィリピンの東
位置 フィリピンの東(北緯19度55分、東経130度20分)
中心気圧 1000ヘクトパスカル
最大風速 20メートル(最大瞬間30メートル)
動き 西北西へ毎時20キロ
今後 26日に強い勢力で沖縄の南へ。その後、北寄りから東寄りに向きを変え、30日ごろ日本の南へ

今後の進路と勢力の見込み

時期 見込み
25日21時 沖縄の南。996ヘクトパスカル、最大風速25メートル(最大瞬間35メートル)
26日(土)9時 沖縄の南。990ヘクトパスカル、最大風速30メートル(最大瞬間40メートル)
27日(日)9時 沖縄の南で「強い」勢力に。975ヘクトパスカル、最大風速35メートル(最大瞬間50メートル)
28日(月)9時 沖縄の南。960ヘクトパスカル、最大風速40メートル(最大瞬間60メートル)
その後 北寄りから東寄りに向きを変え、沖縄本島にかなり近づく可能性。30日ごろ日本の南へ
来週 日本の南に進めば、秋雨前線の活動が活発になり、本州の広い範囲で大雨のおそれ。進路はまだ幅があります

いちばん下の行を、強調しておきます。

沖縄の南に達するところまでは、各社の予想がおおむねそろっています。その先が、まだ決まっていません。

米軍の合同台風警報センター(JTWC)も、28日の時点で最大風速54ノット(およそ28メートル)と、発達を見込んでいます。勢力の見方は一致していますが、進路は今後の高気圧の形しだいです。

台風のたまごの段階から進路を見る方法は「台風のたまご」とは?熱帯低気圧が台風になる条件と、米軍・ヨーロッパの進路予想の見方に詳しく書きました。

「遅い台風」が、なぜ危ないのか

今回いちばんお伝えしたいのが、この点です。

台風の危険は、風の強さだけで決まりません。「どれだけ長く居座るか」で被害が変わります。

速い台風 遅い台風
風が続く時間 数時間 半日から数日
雨の総量 比較的少ない 同じ場所に降り続け、総雨量が増える
停電の復旧 通過後すぐに作業へ 風が収まるまで作業に入れず、長引く
船・飛行機 1日程度の欠航 数日にわたる欠航
建物への力 一度の強い力 弱い部分が、時間をかけて壊される

強風は、家を一撃で壊すわけではありません。

雨戸のわずかな隙間、緩んだトタン、留め方の甘い物干し。そこに何時間も力がかかり続けて、やがて外れます。だから「遅い台風」では、ふだん大丈夫なものが壊れます。

停電と断水は、セットで起きます

沖縄では、高い建物の多くが水を屋上のタンクに汲み上げて使っています。

停電すると、ポンプが止まります。断水していなくても、蛇口から水が出なくなります。

風が強まる前に、浴槽に水をためてください。飲み水ではなく、トイレを流すための水です。
飲み水は、1人1日3リットルを目安に、別に用意します。

26日までにやること

準備は、順番が大切です。風が吹き始めてからできることは、ほとんどありません。

いつ やること
いま(24日〜25日) 買い物を済ませる。水・食料・電池・常備薬。混む前に
25日 ベランダと庭を空にする。鉢・物干し竿・自転車・ゴミ箱を屋内へ
26日 浴槽に水をためる。スマートフォンと電池を満充電に
26日 船と飛行機の欠航を確認する。旅行中の方は、帰りの便を前倒しできるか相談を
27日以降 外に出ない。窓から離れて過ごす

買うものより、順番が大事です

台風の前は、スーパーから物が消えます。その争いに加わらないために、いま動いてください。

優先 もの 理由
1 水(1人1日3リットル×3日分) 断水と、ポンプ停止に備えます
2 火を使わずに食べられるもの 停電中は、電気の調理器具が使えません
3 モバイルバッテリー、乾電池 停電が長引くと、情報が取れなくなります
4 常備薬、処方薬 薬局が閉まり、船も止まります
5 カセットコンロとボンベ 温かいものが食べられると、体力が保てます

持ち出す物の考え方は洪水避難の持ち物リスト完全版|非常持ち出し袋の中身・優先順位にまとめています。

窓の対策は、テープではありません

窓ガラスに養生テープを貼っても、ガラスは割れます。

テープは、割れたときに破片が大きく飛び散るのを少し抑えるだけです。飛んできた物がぶつかれば、テープの有無に関係なく割れます。

いちばん確実なのは雨戸やシャッターを閉めることです。ない場合は、窓から離れた部屋で過ごすのが現実的な守り方になります。

詳しくは台風の窓ガラス対策|養生テープでは割れません。飛散防止フィルムの選び方に書きました。

離島で、とくに気をつけること

先島諸島や、沖縄本島から離れた島では、事情が変わります。

ちがい 意味すること
船が止まる 食料と燃料が届かなくなります。再開は、海が落ち着いてからです
飛行機も止まる 旅行者は島から出られなくなります。宿の延長を早めに相談してください
復旧に人手が要る 電力会社の応援も、船や飛行機が動くまで来られません
店の在庫が薄い 売り切れると、次の入荷は数日後になります

「台風が過ぎれば元どおり」とはなりません。

船が動き、荷物が届き、店に並ぶまでに数日かかります。備えは「台風の最中」ではなく、「台風のあと数日」を想定してください。

旅行中の方へ

連休の直後で、沖縄に滞在している方もいると思います。

判断は「行けるか」ではなく「帰れるか」で考えてください。
欠航が決まってから動くと、同じことを考える人で、便も宿もすぐに埋まります。

航空会社は、台風が近づくと手数料なしで予約を変更できる措置を出すことがあります。発表を待たずに、まず自分の便の状況を確認してください。

台風の強さと、予報円の読み方

「強い台風」とは、どのくらいか

強さの表現 最大風速 目安
(表現なし) 33メートル未満 それでも十分に危険な風です
強い 33メートル以上44メートル未満 走行中のトラックが横転するような風
非常に強い 44メートル以上54メートル未満 電柱や街灯が倒れることがあります
猛烈な 54メートル以上 住家が倒壊することがあります

台風26号は、最大風速40メートルまで発達する見込みです。気象庁の区分では「強い」の上のほうにあたります。最大風速40メートルは、時速に直すとおよそ144キロです。

高速道路を走る車から手を出したときより強い風が、何時間も吹き続けると考えてください。

予報円は、台風の大きさではありません

予報円は「その時刻に台風の中心が入る確率が約70%の範囲」です。
円が大きいのは、予想に自信がないことを表します。台風が大きくなるわけではありません。

ですから円の端に自分の住む場所がかかっているなら、「来るかもしれない場所」に入っていると考えてください。

読み方の詳細は台風の強さ・大きさの違いと進路予想図の読み方にまとめています。

暴風域と強風域のちがい

区分 風の強さ そこで起きること
暴風域 平均風速25メートル以上 立っていられません。屋外は危険です
強風域 平均風速15メートル以上 傘がさせません。高所での作業はできません

準備を終える期限は、暴風域ではなく強風域に入る前です。風速15メートルを超えると、屋根やベランダでの作業は危険になります。

台風で本当に危ないのは、風より水です

台風というと風を思い浮かべますが、過去の災害で多くの命を奪ってきたのは水です。

高潮、川の増水、土砂災害。伊勢湾台風では5098人が亡くなり、その多くは高潮によるものでした。

沖縄では、台風の接近時に潮位が上がります。満潮と重なると、海沿いの低い土地では浸水が起きます。

詳しくは台風で危険なのは風より水|伊勢湾台風の死者5098人と高潮3.55mに書きました。

暴風域に入る前後を、時間で区切って考える

台風の備えは、量より順番と時刻です。やることを時間で区切ると、抜けがなくなります。

段階 目安 やること
接近の2〜3日前 いま 買い物と、処方薬の確認。現金も少し手元に
1日前 26日ごろ ベランダを空にし、浴槽に水をためる。充電をすべて満タンに
強風域に入る 風速15メートル 屋外作業をやめる。雨戸を閉める。ここが準備の締め切りです
暴風域に入る 風速25メートル 外に出ない。窓から離れた部屋で過ごす
台風の目に入る 急に静かになる 出歩かない。数十分後に、反対向きの暴風が吹きます
通過後 風が弱まる 明るい時間に、写真を撮ってから片づける

いちばん事故が多いのは、「台風の目」のときです。

風がぴたりとやみ、空が明るくなることがあります。終わったと思って外へ出た人が、数十分後の暴風に巻き込まれます。静かになっても、屋内にとどまってください。

現金を少し持っておく理由

停電すると、レジもキャッシュレス決済も止まります。ATMも動きません。

営業している店があっても、現金しか使えない状態になります。千円札と小銭を、少し手元に置いておくと困りません。

停電が続いたときの過ごし方

今回の台風では、停電が長引くおそれがあります。風が強い間は、電力会社も復旧作業に入れないためです。

困ること 対処
暑さ エアコンが止まります。沖縄の9月はまだ暑く、熱中症の危険があります
水が出ない 高い建物ではポンプが止まります。浴槽の水で、トイレを流します
情報が取れない スマートフォンの電池を節約。画面を暗くし、不要な通信を切ります
冷蔵庫 開けない。開けなければ、しばらく冷たさが保てます
明かり ろうそくは使わない。倒れると火災になります。電池式のライトを使ってください

とくに注意してほしいのが、暑さです。

台風が過ぎたあとは、風が止まって気温が上がります。停電でエアコンが使えない状態で、高齢の方が室内で熱中症になる例があります。

水分をこまめにとり、体を冷やす方法を用意してください。濡らしたタオル、保冷剤、うちわ。電気に頼らない手段が役に立ちます。

スマートフォンの電池を長持ちさせる

やること 効果
画面を暗くする 電池の消費がいちばん大きいのは画面です
省電力モードにする 背景の通信と更新が止まります
動画を見ない 通信と画面で、電池が一気に減ります
電波が弱い場所では機内モード 電波を探し続けると、電池を大きく消耗します

車をどうするか

沖縄では、車が生活の足です。台風の前に、車をどこに置くかを決めておいてください。

置き場所 考え方
立体駐車場・屋内 いちばん安全です。飛来物と冠水を避けられます
建物の風下側 屋外しかない場合は、風を直接受けない側へ
避けるべき場所 川や海の近く、低い土地、大きな木やトタンのそば
給油 満タンにしておく。停電するとガソリンスタンドも止まります

台風の最中に車を動かさないでください。

横風でハンドルを取られ、飛来物でガラスが割れます。冠水した道路では、水深30センチでエンジンが止まり、ドアは水圧で開かなくなります。

車が水に浸かったときの脱出は車が冠水したらどうする?水深30センチで止まり、ドアは水圧で開かない|脱出の手順に書きました。

どこで情報を確認するか

台風の情報はあふれますが、判断に使うものは決めておいたほうがよいです。

目的 見るもの
進路と勢力 気象庁の台風情報。3時間ごとに更新されます
避難の判断 お住まいの市町村が出す避難情報。これが最終的な判断の基準です
危険度の確認 気象庁のキキクル(危険度分布)。色で危険度が分かります
停電の状況 電力会社の停電情報のページ
交通 航空会社・船会社の運航情報

個人の予想や、外国のモデルの画像だけで判断しないでください。

数日先まで細かい進路を示す図は、見ていて分かった気になります。ですが、それは無数にある計算結果の1つです。避難や予定の判断は、気象庁と市町村の発表で行ってください。

ハザードマップを、いま見ておく

自分の家が、浸水する場所なのか、土砂災害の警戒区域なのか。これは台風が来てからでは調べられません。

市町村のウェブサイトか、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で確認できます。5分で済みます。

本州に影響するかどうかは、何で決まるのか

沖縄の南に達したあと、台風26号がどこへ向かうか。これを決めるのは、台風自身ではありません。

要素 台風への影響
太平洋高気圧 台風は高気圧の縁を回ります。張り出しが強いと西寄り、弱いと北寄りへ進みます
偏西風 北上して偏西風に乗ると、東へ向きを変え、速度が上がります
上空の気圧の谷 台風を引き込み、北への動きを強めることがあります

今回、台風の動きが遅いと予想されているのは、流してくれる風が弱いためです。

秋になると太平洋高気圧が退き、その縁に沿って台風が日本へ北上しやすくなります。9月に本州への上陸が多いのは、この流れのためです。

台風の基本は台風の完全ガイド|上陸が最も多いのは9月にまとめています。

在宅で過ごすときの考え方

沖縄では、台風のときに避難所へ行くより、家にとどまる選択をする方が多いと思います。

それ自体は間違いではありません。ただし、条件があります。

家にとどまってよいのは、その家が安全な場所にある場合だけです。
浸水する土地、がけのそば、古い木造の建物。これに当てはまるなら、風が強まる前に移動してください。

移動は、明るいうちに、風が弱いうちに。暗くなってからの移動は、それ自体が危険です。

ペットがいる家庭

避難所によっては、ペットを連れて入れる場所が限られます。どの避難所が受け入れるのかを、いま確認してください。

台風の音に驚いて逃げ出すこともあります。屋内の、窓から離れた場所に居場所を作ってあげてください。

会社や学校をどうするか

沖縄では、暴風警報が出ると休校や休業の基準が決まっている職場・学校が多くあります。

その基準を、家族で確認しておいてください。「警報が出たら休み」なのか、「解除から2時間後に始業」なのか。これを知らないと、当日に慌てます。

そして、無理に出勤しないでください。暴風域の中の移動は、命に関わります。会社にとっても、従業員が事故に遭うほうが損失です。

台風が過ぎたあとに気をつけること

いつ 気をつけること
直後 切れた電線に近づかない。感電します。電力会社へ連絡を
直後 屋根に登らない。台風後の事故で多いのが転落です
片づけ前 被害の写真を撮る。罹災証明と保険の手続きに要ります
数日 飛散したガラスやトタンでけがをしないよう、手袋と厚い靴底を
数週間 地盤が緩みます。次の雨で、ふだんより少ない雨量でも土砂災害が起きます

修理業者とのトラブルにも注意してください。

被害が出た地域には、その日のうちに業者が回ってきます。「今すぐ契約すれば保険で全額出ます」という説明には、必ず裏付けを取ってください。契約を急がせる相手ほど、慎重に見る必要があります。

家の弱点を、いま見ておく

台風で壊れる場所は、毎回だいたい決まっています。強い風は、弱いところだけを見つけて壊します。

場所 見ること
雨どい・排水口 落ち葉やゴミで詰まっていないか。詰まると雨水があふれ、浸水につながります
ベランダの排水 ここが詰まると、ベランダに水がたまり、室内へ流れ込みます
アンテナ・物干し ぐらつきがないか。倒れると、屋根や窓を壊します
トタン・波板 浮いている場所はないか。1枚はがれると、そこから連鎖します
雨戸・網戸 レールから外れかけていないか。網戸は外して屋内へ
カーポート 波板は飛びます。外せる構造なら、外しておくと被害が減ります

排水口の掃除は、いちばん費用対効果が高い備えです。

お金がかからず、10分で終わります。それで浸水を防げることがあります。

高潮は、満潮と重なると危険が増します

台風が近づくと、海面が上がります。理由は2つです。

仕組み 起きること
吸い上げ効果 気圧が低いと、海面が吸い上げられます。1ヘクトパスカル下がると約1センチ上がります
吹き寄せ効果 強い風が海水を岸へ吹き寄せ、さらに海面が上がります

中心気圧970ヘクトパスカルの台風では、吸い上げだけで40センチほど海面が上がる計算になります。そこに吹き寄せと高波が加わります。

接近の時刻が満潮と重なるかどうかを、確認してください。
重なると、ふだんは浸からない場所まで水が来ます。海沿いの低い土地にお住まいなら、早めに移動する判断が要ります。

高波を見に行かないでください。毎年、海や川の様子を見に行った方が亡くなっています。

子ども、高齢者、在宅療養の方がいる家庭

備えの量と、動き出す時刻が変わります。

対象 早めにやること
乳幼児 ミルク・おむつ・清拭用の水を多めに。買いだめは今日のうちに
高齢の方 移動に時間がかかります。避難するなら、風が弱いうちに
電気を使う医療機器 停電時の対応を、かかりつけ医と確認してください。予備電源の有無が命に関わります
持病のある方 薬を切らさないよう、残りを確認して受診を前倒しに

在宅で酸素濃縮器や吸引器を使っている方は、停電が直接、命の問題になります。

台風が近づく前に、予備のバッテリーがどれだけ持つのか、停電時にどこへ連絡するのかを確かめてください。これは医療機関との相談事項です。

よくある誤解

「風速35メートルなら、なんとか立っていられる」

立てません。風速25メートルで、すでに立っていることが難しくなります。

35メートルでは、走行中のトラックが横転する力です。人が耐えられる範囲ではありません。

「窓を少し開けて、気圧差を逃がすとよい」

逆効果です。開けた窓から風が入り、室内の気圧が上がって、屋根や他の窓を内側から押し上げます。

窓と雨戸は、すべて閉めてください。

「台風が来る前は、風呂の水を抜いたほうがきれい」

ためてください。停電でポンプが止まると、水洗トイレが流せなくなります。

小さなお子さんがいる家庭では転落の危険があるので、浴室の扉を閉め、鍵をかけておいてください。

備えを、今回で終わらせない

台風のたびに買い足していると、家の中に同じものが増えていきます。

お勧めしたいのは、ふだん食べるものを少し多めに買い、古いものから使う方法です。ローリングストックと呼ばれます。

やり方 利点
ふだんの食品を多めに買う 特別な非常食を買わずに済みます
古いものから使う 賞味期限切れが出ません
使った分を買い足す 常に数日分が家にある状態になります

台風が多い地域ほど、この方法が向いています。年に何度も備える必要がなくなるためです。

台風のときに、ニュースより先に見るもの

台風が近づくと、テレビもインターネットも台風の話題で埋まります。ですが、自分の行動を決める情報は、そのうちのごく一部です。

知りたいこと 見る場所 いつ見るか
自分の地域がいつ荒れるか 気象庁の台風情報と、地元の気象台の発表 1日2回で十分です
避難するかどうか 市町村の避難情報 出たらすぐ
いま危ないか キキクル(危険度分布) 雨が強まったとき
帰れるか 航空・船舶の運航情報 前日と当日の朝

情報を見続けていると、かえって疲れます。

台風は数日かけて近づきます。その間ずっと画面を見ていると、肝心のときに判断する体力が残りません。見る時刻を決めて、あとは準備に時間を使ってください。

危険度の色の見方はキキクルとは?気象庁の危険度分布の見方|紫と黒の違いと、避難を始める色に書きました。

停電すると、情報の入り口が減ります

テレビが消え、Wi-Fiも止まります。残るのはスマートフォンの回線と、電池式のラジオです。

基地局にも非常用電源がありますが、停電が長引けば携帯電話がつながりにくくなることもあります。だから電池式のラジオが、いまも備えとして意味を持ちます。

沖縄以外の地域の方へ

今回の台風26号は、まず沖縄に影響する見込みです。そして来週は日本の南へ進み、秋雨前線の活動を活発にして、本州の広い範囲に大雨をもたらすおそれがあります。進路にはまだ幅があります。

本州にお住まいの方も、いまのうちに備蓄を確認しておいてください。先週の台風25号で使った分を、そのままにしていませんか。

台風が来てから補充するのでは、間に合いません。使ったら買い足す。これを繰り返すだけで、次の台風のときに慌てずに済みます。

よくある質問

Q. 台風の名前「スリゲ」は、どういう意味ですか?

北朝鮮が提案した名前で、鷲(わし)に由来します。

台風の名前は、日本を含む14の国と地域が加盟する台風委員会が、あらかじめ140個を用意しています。発生した順に、この140個が繰り返し使われます。

名前の決まり方は台風の名前は誰が決めるのか|14の国と地域が140個を持ち回りに書きました。

Q. 沖縄の家は台風に強いと聞きますが、備えは要りますか?

要ります。鉄筋コンクリートの建物が多く、建物自体は本州より強いのは確かです。

ですが、壊れるかどうかと、暮らせるかどうかは別の話です。停電すれば水も出ず、エアコンも止まります。建物が無事でも、数日間の生活は苦しくなります。

備えるのは「建物を守るため」ではなく、「止まった状態で数日暮らすため」です。

Q. 進路がまだ決まっていないなら、準備は待ってもいいですか?

待たないでください。

準備のほとんどは、台風が来なくても無駄になりません。水も食料も電池も、後で使えます。

一方で、進路が決まってから準備を始めると、間に合いません。店の品は減り、風は強まっています。

Q. 停電したとき、何から確認すればいいですか?

まずブレーカーを見てください。自宅だけなのか、地域全体なのかで対応が変わります。

地域の停電なら、冷蔵庫を開けないのが基本です。開けなければ、中の温度はしばらく保てます。

復旧したときに火災が起きないよう、使っていた電気ストーブやアイロンのスイッチは切っておいてください。

Q. 台風が過ぎたら、すぐ片づけてよいですか?

屋根には登らないでください。台風のあとの事故は、屋根からの転落が目立ちます。

片づけの前に、被害の写真を撮ってください。罹災証明や保険の手続きに必要になります。

詳しくは台風で被災した後にやること|屋根に登らない理由と修理業者トラブルの防ぎ方にまとめています。

台風25号との違い

先週の台風25号と、今回の26号では、危険の種類が変わります。

台風25号(ドゥージェン) 台風26号(スリゲ)
影響した地域 関東南部・伊豆諸島 まず沖縄。来週は秋雨前線を通じて本州にも影響のおそれ
動き 速く北上し、通過 沖縄の南でゆっくり北上
主な危険 短時間の記録的な大雨と土砂災害 長く続く暴風と、停電・断水・物流の停止
備えの要点 早めの避難 数日間しのぐための備蓄

台風25号の記録は台風25号ドゥージェンの進路|シルバーウィークの5連休に影響するかにまとめています。

まとめ

要点 内容
発生 9月23日21時、フィリピンの東。名前はスリゲ(北朝鮮提案、鷲の意味)
進路 26日に強い勢力で沖縄の南へ。その後、沖縄本島にかなり近づく可能性。30日ごろ日本の南へ
勢力 28日に960ヘクトパスカル、最大風速40メートル(最大瞬間60メートル)まで発達する見込み
特徴 動きが遅く、風と雨が長引くおそれ
準備の期限 26日(土)まで。買い物、屋外の片づけ、浴槽の水
備蓄の量 台風の最中ではなく、あと数日を見込んで
その先の進路 まだ決まっていません。本州への影響は不明です

台風は毎年来ます。それでも被害が出るのは、「今回は大丈夫だろう」と考える時間があるからです。

やることを決めて、期限を決める。それだけで、慌てずに済みます。今回の期限は26日です。

【出典】
気象庁 台風情報(発生、位置、予想進路、勢力の見込み)/気象庁 台風の強さと大きさの階級/台風のアジア名
米軍合同台風警報センター(JTWC)の予想/報道各社による進路の報道
この記事は2026年9月25日9時時点の情報です。台風の進路は変わります。必ず気象庁およびお住まいの市区町村の最新の発表をご確認ください。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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