【この記事の要約】
水道管が凍って水が出なくなったとき、最もやってはいけないのが熱湯をかけることです。管が急激に膨張し、破裂につながります。正しい対処は、タオルを巻いた上からぬるま湯をゆっくりかけること。あるいは自然に溶けるのを待つことです。凍結は氷点下4度を下回ると起きやすくなり、氷点下4度以下が続くと屋外の露出管から順に凍ります。この記事では、凍結したときの解凍手順、破裂したときの止水方法、そして凍らせないための予防策を、水抜き栓のある地域とない地域に分けて解説します。修理費用の目安や、火災保険で補償されるかどうかも整理しました。
結論:熱湯は絶対にかけない。ぬるま湯をタオル越しにゆっくりが正解
まず結論からお伝えします。水道管が凍結したときの正しい対処は、次の三つです。
一つ目は、自然に溶けるのを待つこと。気温が上がれば、多くの場合は自然に復旧します。急がないなら、これが最も安全です。
二つ目は、凍結部分にタオルや布を巻き、その上から40度前後のぬるま湯をゆっくりかけること。布を挟むことで温度変化が緩やかになり、管への負担が減ります。
三つ目は、ドライヤーの温風を離れた位置から当てること。一点に集中させず、動かしながら温めます。
そして、絶対にやってはいけないのが熱湯をかけることです。金属も樹脂も、急激な温度変化に弱い性質があります。凍って内部が膨らんでいる管に熱湯をかければ、破裂する可能性が高まります。
破裂すれば、水が噴き出します。修理費用は数万円から、状況によっては十数万円に及びます。床下や室内が水浸しになれば、被害はさらに広がります。
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水道管はなぜ凍るのか
仕組みを知っておくと、どこが危ないかが分かります。
水は0度で凍ります。ただし、水道管の中の水は流れていたり、管に囲まれていたりするため、気温が0度になった瞬間に凍るわけではありません。
実務上の目安として、外気温が氷点下4度を下回ると凍結の危険が高まるとされています。これは水道事業者が広く注意喚起している水準です。
そして、水が凍ると体積が約1割増えます。この膨張が管を内側から押し広げます。管が耐えられなければ、破裂します。
厄介なのは、凍っている間は水が漏れないという点です。氷が栓の役割をしているためです。破裂に気づくのは、氷が溶けたときです。溶けた瞬間、割れ目から水が噴き出します。
凍りやすい場所には共通点がある
すべての水道管が同じように凍るわけではありません。凍りやすい場所には特徴があります。
| 凍りやすい場所 | 理由 |
|---|---|
| 屋外に露出した管 | 外気に直接さらされている |
| 北側の壁に沿った管 | 日が当たらず、気温が上がりにくい |
| 風当たりの強い場所の管 | 風で熱が奪われ続ける |
| 屋外の給湯器まわりの配管 | 細く、露出していることが多い |
| 屋外の水栓・散水栓 | 断熱がほぼない |
| 使っていない部屋の水回り | 室温が上がらない |
| 床下の配管 | 暖房の熱が届かない |
特に注意したいのが、給湯器につながる配管です。細い管が屋外に露出していることが多く、凍結の相談が集中する箇所です。
また、長期間家を空ける場合も危険が高まります。人がいなければ暖房も入らず、水も動きません。凍結の条件が揃います。
凍って水が出ないときの手順
朝、蛇口をひねっても水が出ない。この状況になったとき、何から手をつけるか。順を追って整理します。
手順1:どこが凍っているかを見極める
まず、家中の蛇口を確認してください。すべての蛇口で水が出ないのか、一部だけなのかで、原因の場所が変わります。
すべて出ないなら、家に引き込む部分か、メーター周辺が凍っている可能性があります。一部だけなら、その水栓につながる配管が凍っています。
お湯だけ出ない場合は、給湯器まわりの配管が凍っていると考えられます。
手順2:漏水がないかを確かめる
解凍を始める前に、必ず確認してほしいことがあります。すでに管が割れていないか、という点です。
床下や壁際、屋外の配管まわりを目視してください。水たまりや濡れた跡があれば、破裂している可能性があります。
その状態で解凍すると、氷が溶けた瞬間に大量の水が噴き出します。破損が疑われるなら、先に止水栓を閉めてください。
手順3:蛇口を少し開けておく
解凍作業の前に、凍っている系統の蛇口を少しだけ開けておきます。
理由は二つあります。溶けた水の逃げ道を作ること。そして、水が出始めたときにすぐ分かることです。
ただし、開けすぎないでください。復旧に気づかず放置すると、水が出続けます。
手順4:タオルを巻いてぬるま湯をかける
凍結が疑われる部分にタオルや厚手の布を巻きます。その上から、40度前後のぬるま湯をゆっくりとかけてください。
ポイントは「ゆっくり」です。一気にかけるのではなく、時間をかけて温度を伝えます。
お湯の温度は、風呂の湯くらいが目安です。手で触れて熱いと感じる温度は避けてください。
凍結範囲が広い場合は、蛇口に近い側から順に温めていくと効果的です。
手順5:ドライヤーやカイロを使う
ぬるま湯が使えない場所では、ドライヤーの温風が有効です。20センチほど離し、動かしながら当ててください。
使い捨てカイロを配管に貼り、その上からタオルで包む方法もあります。時間はかかりますが、管への負担は小さく、目を離せる利点があります。
手順6:復旧後に漏れがないか確認する
水が出るようになったら、それで終わりではありません。もう一度、配管まわりを確認してください。
凍結によって、目に見えない小さな亀裂が入っていることがあります。数日後に漏水が発覚する例もあります。
水道メーターを見るのが確実です。家中の蛇口を閉めた状態でメーターのパイロット部分が回っていれば、どこかで漏れています。
破裂してしまったときの対処
凍結が進み、管が割れてしまった場合の手順です。慌てず、順番に進めてください。
まず止水栓を閉める
最優先は水を止めることです。家全体の止水栓は、水道メーターボックスの中にあることが一般的です。
戸建てなら敷地内、集合住宅なら玄関脇のパイプスペースに設置されていることが多いでしょう。
ここで大切なのは、平常時に場所を確認しておくことです。水が噴き出している最中に探し始めると、被害が広がります。今日この記事を読んだら、一度見に行ってみてください。
破損部分を応急処置する
止水したら、破損箇所にタオルを巻き、その上からビニールテープや自己融着テープをきつく巻きます。あくまで一時的な処置です。
これで完全に止まるわけではありませんが、修理業者が来るまでの被害を抑えられます。
指定給水装置工事事業者に連絡する
水道管の修理は、自治体が指定した事業者が行います。「指定給水装置工事事業者」と呼ばれます。
各自治体の水道局のウェブサイトに一覧が掲載されています。冬になる前に、近隣の事業者を控えておくと安心です。
寒波の直後は依頼が殺到し、数日待たされることもあります。同じ地域で一斉に凍結が起きるためです。連絡がつかない場合でも、止水さえできていれば被害の拡大は止まります。まず水を止め、それから順番を待つという考え方でいてください。
不当な高額請求に注意する
水回りのトラブルでは、緊急性につけ込んだ高額請求の相談が後を絶ちません。
広告で「基本料金○○円から」とうたっていても、作業後に高額な請求をされる事例があります。
作業前に必ず見積もりを取り、書面で受け取ってください。金額に納得できないときは、その場で契約せず、水道局や消費生活センターに相談してください。
凍らせないための予防策
対処法より大切なのが予防です。凍らせなければ、そもそも困りません。
水抜き栓がある地域の場合
北海道や東北など、寒冷地の住宅には「水抜き栓」が備わっていることが一般的です。配管の中の水を抜いてしまう仕組みです。
水がなければ凍りません。最も確実な対策です。
操作の基本は次のとおりです。
- 水抜き栓のハンドルを回して閉める、またはレバーを操作する
- 家中の蛇口をすべて開ける
- 配管内の水が抜けきるまで待つ
- 水が出なくなったら蛇口を閉める
洗濯機や食洗機の給水ホース、トイレのタンクにも水が残ります。取扱説明書に従って処理してください。
使うときは逆の手順です。蛇口を閉めてから水抜き栓を開け、少しずつ通水します。
旅行や帰省で家を空けるときは、必ず水抜きをしてください。留守中の破裂は、発見が遅れるぶん被害が大きくなります。
水抜き栓がない地域の場合
関東以西では、水抜き栓のない住宅が大半です。この場合の対策を挙げます。
| 対策 | やり方 |
|---|---|
| 少量の水を流し続ける | 鉛筆の芯ほどの細さで、一晩流しておく |
| 配管に保温材を巻く | ホームセンターの保温チューブを露出部分に |
| 屋外水栓を布で覆う | タオルを巻き、ビニールで防水する |
| 給湯器の凍結防止機能を使う | 電源プラグを抜かない |
| 浴槽に水を張っておく | 追い焚き配管の凍結防止になる機種がある |
水を流し続ける方法は、水道代がかかります。ただし、破裂したときの修理費に比べれば、はるかに安く済みます。
ためた水は、バケツに受けて洗濯や掃除に使えば無駄になりません。
給湯器の電源は抜かない
これは見落とされがちな点です。多くの給湯器には凍結防止のヒーターが内蔵されています。
この機能は、電源が入っていて初めて働きます。節電のつもりでプラグを抜くと、凍結防止機能も止まります。
冬季は、給湯器の電源を抜かないでください。リモコンの運転を切っても、本体の電源は入れたままにしておきます。
断水したときの生活をどう回すか
凍結や破裂で水が使えなくなると、生活のあらゆる場面が止まります。ここは防災の備蓄と直結する部分です。
人が生きるために必要な飲料水は、1人1日3リットルが目安とされています。3日分なら、4人家族で36リットルです。2リットルのペットボトルで18本になります。
ただし、凍結による断水で本当に困るのは飲み水よりも生活用水です。トイレを流す、手を洗う、食事を作る際に使う。こうした用途のほうが量を必要とします。
| 用途 | おおよその必要量 |
|---|---|
| 飲用・調理 | 1人1日3リットル |
| トイレ1回 | 5リットル前後 |
| 手洗い・洗面 | 1回1リットル前後 |
| 食器洗い | 1回数リットル |
これを見ると、トイレの負担が大きいことが分かります。だからこそ、携帯トイレを備えておく価値があります。水を使わずに済ませられれば、貯めた水を飲用と調理に回せます。
寒波が予報された夜は、浴槽に水を張っておくのも有効です。生活用水として使えますし、住宅によっては追い焚き配管の凍結防止にもなります。
給水車が来るとは限らない
大規模な断水であれば、自治体が給水車を出します。しかし、自宅の配管が凍っただけの場合、それは個別のトラブルです。給水支援の対象にはなりません。
つまり、自力で乗り切る必要があります。この点が、地震による断水との大きな違いです。備蓄の意味が一段と重くなります。
集合住宅で気をつけたいこと
マンションやアパートの場合、戸建てとは異なる注意点があります。
まず、階下への被害です。配管が破裂して漏水すると、下の階へ水が回ります。自室の被害より、階下への賠償のほうが大きくなることがあります。
次に、責任の所在です。共用部分の配管なら管理組合や貸主、専有部分なら居住者が対応するのが一般的です。ただし規約によって異なります。
賃貸の場合は、まず管理会社に連絡してください。自己判断で業者を呼ぶと、費用負担でもめることがあります。
また、長期間留守にするときは、水道の元栓を閉めておくと安全です。管理規約で届出が必要な場合もありますので、確認してください。
配管の材質によって凍結の弱点が違う
住宅の給水管には、いくつかの材質が使われています。それぞれ性質が異なります。
| 材質 | 特徴 | 凍結時の弱点 |
|---|---|---|
| 塩化ビニル管 | 安価で広く使われる | 低温でもろくなり割れやすい |
| ポリエチレン管 | 柔軟性がある | 比較的強いが継手部分が弱い |
| 架橋ポリエチレン管 | 近年の住宅で主流 | ある程度膨らむが限界はある |
| 銅管 | 給湯配管に多い | 膨張に耐えられず裂けやすい |
| 鋼管 | 古い住宅に多い | 錆で内径が狭く、凍りやすい |
特に古い住宅の鋼管は注意が必要です。内側に錆がたまり、水の通り道が狭くなっています。狭いほど凍りやすく、また詰まりやすくなります。
自宅の配管がどの材質かは、建築時の図面や施工業者に確認すれば分かります。分からない場合でも、築年数がひとつの手がかりになります。
継手部分がいちばん割れやすい
破裂が起きるのは、まっすぐな管の途中よりも、継手と呼ばれる接続部分が多いとされています。形状が変化する箇所に力が集中するためです。
保温材を巻くときは、この継手部分を省略しないでください。巻きにくい形状ですが、そこが最も守るべき場所です。
保温材の選び方と巻き方
予防策として最も費用対効果が高いのが、保温材です。ホームセンターで数百円から手に入ります。
一般的なのは、筒状に成型された発泡ポリエチレンの保温チューブです。あらかじめ切れ目が入っており、配管にかぶせるだけで装着できます。
選ぶときは、配管の外径に合ったサイズを選んでください。緩すぎると隙間から冷気が入り、きつすぎると装着できません。
巻き方の要点は次のとおりです。
- 切れ目が下向き、あるいは横向きになるように装着する
- 継ぎ目はビニールテープでしっかり留める
- 屋外に使う場合は、上から防水テープを巻く
- 継手や曲がり部分も隙間なく覆う
- 紫外線で劣化するため、数年ごとに点検する
屋外で保温材をむき出しのままにすると、雨や雪を吸って逆効果になることがあります。濡れた保温材は熱を伝えやすくなるためです。必ず防水処理をしてください。
電気の凍結防止帯という選択肢
より確実な方法として、電気で温める凍結防止帯があります。ヒーター線を配管に沿わせ、その上から保温材を巻く仕組みです。
サーモスタットが内蔵されており、一定の気温を下回ると自動で通電します。常時電気を使うわけではありません。
費用は本体が数千円、電気代は冬季で月に数百円から千円程度が目安です。凍結を繰り返す箇所には、導入する価値があります。
ただし、施工は電源の確保が必要です。屋外コンセントがない場合は、電気工事が伴います。
費用と保険の話
実際にどれくらいの費用がかかるのか、そして保険で補償されるのかを整理します。
修理費用の目安
| 作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 凍結解氷の作業依頼 | 1万円前後から |
| 露出配管の部分交換 | 2万円から5万円程度 |
| 壁内・床下配管の修理 | 5万円から15万円程度 |
| 給湯器の凍結による破損 | 本体交換で15万円以上のことも |
金額は地域や状況で変わります。あくまで目安として捉えてください。壁を壊す必要がある場合は、内装の復旧費用も加わります。
火災保険で補償される場合がある
火災保険には「水濡れ」を対象とする補償が付いていることがあります。配管の破裂で家財や内装が濡れた場合、これが使えることがあります。
また「破損・汚損」の特約が付いていれば、配管そのものの修理が対象になる場合もあります。
ただし、契約内容によって大きく異なります。凍結による損害を免責としている契約もあります。
被害が出たら、まず写真を撮ってください。修理前の状態を記録しておくことが、請求時に重要になります。そのうえで保険会社に連絡し、対象になるかを確認してください。
凍結と混同しやすい別の原因
水が出ないからといって、必ずしも凍結とは限りません。判断を誤ると、対処も的外れになります。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 家中すべての蛇口で出ない | 凍結、断水、元栓が閉まっている |
| 一部の蛇口だけ出ない | その系統の凍結、フィルターの詰まり |
| お湯だけ出ない | 給湯配管の凍結、給湯器の故障 |
| 水の勢いが弱い | 部分的な凍結、配管内の錆 |
| 濁った水が出る | 工事や断水復旧後の錆の流入 |
まず確認したいのが、地域全体の断水情報です。自治体の水道局がウェブサイトや広報で発表しています。近所の家でも水が出ないなら、自宅の凍結ではありません。
また、寒い朝に水が出ないと反射的に凍結を疑いますが、元栓が何らかの理由で閉まっていることもあります。まず確認してみてください。
凍結の程度を見分ける
蛇口をひねって、まったく出ない場合と、少しだけ出る場合では状況が異なります。
少しでも出るなら、部分的な凍結です。この段階で水を流し続ければ、自然に解消することがあります。完全に固まる前の対処が有効です。
まったく出ないなら、その系統は完全に閉塞しています。解凍作業が必要です。
この違いに早く気づくためにも、寒い朝はいつもより早めに蛇口を開けてみることをおすすめします。
寒波が来る前にやっておくこと
天気予報で強い寒波が予告されたら、その日のうちに準備してください。実際に凍ってからでは遅いのです。
- 水抜き栓の場所と操作方法を確認する
- 止水栓(元栓)の場所を確認する
- 屋外の露出配管に保温材やタオルを巻く
- 給湯器の電源が入っていることを確認する
- 屋外水栓のホースを外し、中の水を抜く
- 使っていない部屋の水回りも点検する
- 指定給水装置工事事業者の連絡先を控える
- 飲料水を数日分確保しておく
最後の項目は見落とされがちです。凍結して水が使えない期間、生活用水が必要になります。ポリタンクに水をためておくだけでも違います。
高齢者や離れて暮らす家族の家をどう守るか
凍結対策で見落とされやすいのが、離れて暮らす家族の住まいです。
高齢の親が一人で暮らしている場合、水抜き作業そのものが負担になることがあります。ハンドルが固くて回らない、屋外の作業が難しい、といった事情です。
また、入院や施設入所で家が長期間空くこともあります。この状態で寒波が来ると、誰も気づかないまま破裂し、水が出続けることになります。
対策としては、次のような方法が考えられます。
- 寒波の予報が出たら、電話で水抜きの声かけをする
- 操作が難しいなら、電動式の水抜き栓への交換を検討する
- 長期不在時は、元栓を閉めて水を抜いておく
- 近隣の方に、時々様子を見てもらえるよう頼んでおく
- 凍結防止帯を設置し、電源を入れたままにしておく
電動式の水抜き栓は、室内のスイッチひとつで操作できます。屋外に出る必要がなく、高齢の方でも扱いやすい仕組みです。
空き家の場合は、そもそも水を止めておくのが確実です。使う予定がないのに通水しておく理由はありません。
被害の発見が遅れると損害が膨らむ
人が住んでいる家なら、破裂してもすぐ気づきます。しかし空き家では、数日、あるいは数週間気づかないことがあります。
その間、水は出続けます。水道料金も加算され続けます。床や壁は水を吸い、建物そのものが傷みます。
このため、長期不在の家では「凍らせない」より「そもそも水を入れておかない」という発想が重要になります。
私が北海道で感じていること
私は札幌に住んでいます。冬は氷点下が当たり前の土地です。
寒冷地では、水抜きは生活習慣として根づいています。長く家を空けるときは水を抜く。これが当然のこととして共有されています。
一方で、被害が大きくなりやすいのは、普段あまり凍らない地域だと感じています。数年に一度の強い寒波が来たとき、備えがないまま一斉に凍結する。そういう構図です。
実際、記録的な寒波のたびに、西日本や関東で断水や漏水が広範囲に発生しています。設備が寒さを前提に作られていないためです。
だからこそ、「うちは雪国じゃないから関係ない」と考えないでいただきたいと思います。氷点下4度という気温は、本州の平野部でも冬に何度か訪れる、決して特別ではない水準です。
知識は一度で身につく
凍結対策は、複雑な作業ではありません。止水栓の場所を知り、保温材を巻き、寒波の夜に水を細く流す。それだけです。
一度覚えれば、毎年そのまま使える知識です。かける手間に対して得られる安心は、かなり大きいと私は考えています。
凍る気温の目安は、マイナス4度です
「何度になったら気をつければいいのか」。ここに数字があると、判断が楽になります。
東京都水道局が示している基準
気温が-4℃以下になると凍結しやすいと言われていますが、風が当たりやすいところや日の当たりにくいところでは、-4℃にならなくても凍結する恐れがあります。(東京都水道局)
マイナス4度。これが目安です。
ただし後半のただし書きが重要です。風の当たる場所、日の当たらない場所では、マイナス4度に届かなくても凍ります。
私の感覚では、予報でマイナス2〜3度でも、風の強い夜は対策したほうが安全です。北向きの外壁沿いや、屋外の散水栓はとくにそうです。
時期は12月から2月に集中します
札幌市水道局は、12月から2月にかけて水道の凍結事故が多発すると案内しています。
ただし雪の少ない地域では、事情が少し違います。「今季最強の寒波」と呼ばれる、年に数日の冷え込みに集中して起きます。
毎日備えるのではなく、その数日を外さないという考え方で十分です。
水抜きの具体的な手順
水抜き栓がある地域の方へ、操作の順番を書きます。ここを間違えると、水が残ります。
まず、水抜き栓の型を確認してください
| 型 | 操作 |
|---|---|
| ハンドル式・レバー式 | 手で回す、または倒す |
| 電動式 | 操作ボタンで水抜きを行う |
お住まいがどちらか、寒くなる前に確認しておいてください。探すところから始めると、寒い日に慌てます。
水を抜くとき
札幌市水道局が案内している流れです。
一、蛇口を閉める。
二、ハンドルを右に、止まるまで回す。これで水抜き栓が閉じ、管の水が抜ける経路が開きます。
三、蛇口をいっぱいに開ける。
四、空気入れ蛇口があれば、いっぱいに開ける。
三番目を忘れる方が多い、と私は感じています。ハンドルを回しただけで終わらせると、管に水が残ります。空気が入らないと、水は落ちていきません。
水を出すとき
戻すときは、逆の順です。
一、蛇口と空気入れ蛇口、水抜き用蛇口が閉まっていることを確かめる。
二、ハンドルを左に、止まるまで回す。
三、蛇口をゆっくりと開ける。
「ゆっくり」がポイントです。一気に開けると、勢いよく水と空気が噴き出します。
寒波の予報が出たら、いつ動くか
凍結対策は、当日ではなく予報が出た時点から始まります。
数日前|買い物と点検
保温材が必要なら、この時点で買ってください。寒波の直前はホームセンターで品切れになります。
そして去年巻いた保温材が、濡れていたり外れていたりしないか確認します。濡れた保温材は凍って、逆に冷やします。
前日の夜まで|屋外の準備
屋外の蛇口にホースをつないだままなら、外してください。ホースの中の水が凍って、蛇口ごと壊れることがあります。
そしてメーターボックスの上を空けておく。雪や物を置いたままだと、いざというとき掘り出すところから始まります。
就寝前|対策の実行
水抜き栓があれば水抜き。なければ、細く水を流し続けます。
浴室と洗面所の扉を開けておくと、家の暖かい空気が回ります。これは費用がかからない方法です。
翌朝|確認と、出かける前の判断
まず、水が出るか確かめてください。
出ないなら凍っています。ここで出かける予定があるなら、元栓を閉めてから出てください。
日中に気温が上がって解けたとき、割れていれば無人の家で水が出続けます。解かさずに出るほうが、被害は小さくて済みます。
そして水が出た場合も、管の継ぎ目や蛇口の根元が濡れていないかを見てください。夜のうちに割れている可能性があります。
よくある質問
Q. 気温が何度になったら凍結を心配すべきですか
A. 外気温が氷点下4度を下回ると、凍結の危険が高まるとされています。ただし、風が強い日や、日の当たらない場所の配管は、これより高い気温でも凍ることがあります。天気予報の最低気温が0度前後になったら、備えを始めてください。
Q. 熱湯をかけると、なぜいけないのですか
A. 急激な温度変化によって管が膨張し、破裂するおそれがあるためです。特に樹脂製の管や、経年で劣化した金属管は割れやすくなっています。40度前後のぬるま湯を、タオル越しにゆっくりかけてください。
Q. 自然に溶けるまで、どれくらいかかりますか
A. 気温と凍結の程度によります。日中に気温が上がれば数時間で復旧することもありますが、真冬日が続く地域では丸一日以上かかることもあります。急がないのであれば、待つのが最も安全な方法です。
Q. 水を流し続ける方法は、どのくらいの量が必要ですか
A. 鉛筆の芯ほどの細さが目安とよく言われます。一晩流しても、水道代は数十円から百円程度です。バケツで受けておけば、翌日の生活用水として使えます。
Q. トイレの水も凍りますか
A. 凍ることがあります。タンク内の水や、便器へつながる配管が凍結すると使えなくなります。寒冷地仕様でない住宅では特に注意が必要です。凍結が心配な夜は、タンクのふたを開けて室温を伝えるという方法もあります。
Q. 給湯器が凍ったらどうすればよいですか
A. 本体そのものではなく、つながる配管が凍っているケースが多いです。配管にタオルを巻いてぬるま湯をかけてください。本体を直接温めるのは避けます。復旧しない場合は、メーカーや施工業者に連絡してください。
Q. 賃貸住宅で凍結した場合、費用は誰が払いますか
A. 契約内容によります。設備の経年劣化が原因なら貸主、居住者の不注意が原因なら借主とされることが多いです。ただし判断が難しいため、まず管理会社に連絡してください。自己判断で業者を手配すると、費用負担でもめる原因になります。
Q. 長期間家を空けるときは、どうすればよいですか
A. 水抜き栓がある住宅なら、必ず水抜きをしてください。ない場合は、元栓を閉めたうえで蛇口を開け、配管内の水をできるだけ抜いておきます。加えて、可能なら知人に様子を見てもらえると安心です。
Q. 水道メーターが凍ることはありますか
A. あります。メーターボックス内が冷え込むと、内部で凍結し破損することがあります。ボックスの中に、ビニール袋に入れた発泡スチロールや布を詰めておくと保温になります。ただし、検針の妨げにならないようにしてください。メーターの修理は水道局の管轄になることが多いので、破損したら水道局へ連絡してください。
Q. 凍結防止のために暖房をつけっぱなしにするのは有効ですか
A. 室内配管には有効です。ただし、屋外の露出配管や床下の配管には効果が届きません。暖房に頼りきらず、保温材や水抜きと組み合わせてください。また、暖房費と水道代を比べると、細く水を流すほうが安く済むこともあります。
Q. 一度凍った配管は、その後も凍りやすくなりますか
A. 配管そのものの性質が変わるわけではありません。ただし、凍った場所は「もともと凍りやすい条件が揃っている場所」です。同じ条件が続けば、また凍ります。保温材を巻くなどの対策を、その箇所に施してください。
Q. 集合住宅で階下へ漏水させてしまったら、どうなりますか
A. 状況によっては損害賠償の責任が生じます。個人賠償責任保険に加入していれば、対象になる場合があります。火災保険や自動車保険の特約として付帯していることも多いので、契約を確認してみてください。
まとめ
水道管の凍結は、正しい知識があれば大半が防げます。要点を整理します。
- 凍結したら、熱湯は絶対にかけない
- タオルを巻いた上から40度前後のぬるま湯をゆっくりかける
- 急がないなら自然解凍が最も安全
- 解凍前に、すでに破裂していないか確認する
- 破裂したら、まず止水栓を閉める
- 止水栓の場所は、平常時に確認しておく
- 寒冷地は水抜きが最も確実な予防策
- 水抜き栓がない地域は、細く水を流す・保温材を巻く
- 給湯器の電源プラグは冬季も抜かない
- 火災保険で補償される場合があるため、修理前に写真を撮る
氷点下4度という数字を、ぜひ覚えておいてください。この気温が翌日の予報に出たら、その日の夜が対策のタイミングだと考えてください。
そして、対策の多くは数百円から数千円で始められます。保温材を巻く、水を細く流す、電源を抜かない。どれも特別な技術は要りません。それでいて、失敗したときの損害は数万円から十数万円に及びます。この差を考えれば、やらない理由は見つからないはずです。
水は、失って初めてその大切さが分かります。トイレも、料理も、手洗いも、すべて水が前提です。凍らせないための一手間が、日常を守ってくれます。
そろえるもの|凍結と断水に備える
凍結対策は、冬が来る前にしかできないものと、起きてから使うものに分かれます。
| もの | 選ぶ基準 | 詳しく |
|---|---|---|
| 保温材・凍結防止帯 | むき出しの配管に巻きます。屋外の水栓、給湯器まわりが要注意。冬が来る前に済ませる作業です | — |
| 飲料水の備蓄 | 破裂すれば断水します。1人1日3リットル、3日分 | 飲料水の選び方とおすすめ10選 |
| 給水タンク | 水は1リットル1キロ。運べる重さから逆算する。雪道では、なおさら大きすぎるものは扱えません | 断水対策おすすめ完全ガイド |
| 携帯トイレ | 断水すれば流せません。1人1日5回が目安 | 携帯トイレの選び方 |
| 止水栓の位置の確認 | 道具ではありませんが最重要です。破裂したとき、どこを閉めるか。今日のうちに家族全員で確認を | — |
備え全体の順番は防災は何から始める?にまとめました。
冬の備えは、ひとつずつが独立していません。暖房が止まれば水道が凍り、雪が積もれば買い物に行けなくなります。あわせて雪下ろし事故の原因と対策、屋根の雪下ろしと落雪事故の対策、雪で車が埋まると一酸化炭素中毒に、吹雪でホワイトアウト、立ち往生したら、カセットボンベが寒いと使えない理由、ポータブル電源は寒いと性能が下がる?、防災用寝袋の選び方、防災にダウンジャケットが最強な理由、エマージェンシーシートおすすめ10選もご覧ください。
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凍結による破裂は、そのまま断水につながります。発生直後からの動き方は断水したらどうする?、集合住宅で起きることはマンションの断水は停電で起きるにまとめました。水の受け取り方は給水車・給水所の使い方、冬の停電への備えは停電対策【冬編】にあります。




