【この記事の要約】
雪害は「せつがい」と読みます。雪によって起きる災害の総称です。そして、いちばん多い死因は雪崩でも家屋の倒壊でもありません。除雪作業中の事故です。ある年の集計では74人が亡くなり、その9割超が65歳以上でした。内訳は屋根からの転落が40.5%、屋根からの落雪が16.8%。半分以上が屋根に関わる事故です。次に多いのが車の立ち往生で、2021年1月には北陸自動車道などで1,000台を超える車が動けなくなりました。雪害の対策は、雪を防ぐことではありません。屋根に登る回数を減らすこと、そして動けなくなる前に動かないと決めることです。この記事では、雪害の種類ごとに、何が起きて、どう防ぐかを整理しました。
除雪機の事故は除雪機の詰まりは棒で取る|手を入れる事故はこう起きるにまとめました。
結論|雪害で死ぬのは、雪に埋まるからではありません
先に、この記事でいちばん大事なことを書きます。
死因の中心は、除雪作業中の事故です
雪害と聞いて思い浮かべるのは、雪崩や家屋の倒壊だと思います。けれど、実際に人が亡くなっているのは、そこではありません。
ある年の集計では、除雪作業中の事故で74人が亡くなりました。そして、その9割を超える方が65歳以上でした。
内訳は、屋根からの転落が40.5%、屋根からの落雪が16.8%。合わせて半分以上が、屋根に関わる事故です。
だから、対策は「屋根に登る回数を減らすこと」です
これが結論です。
雪を降らせないことはできません。けれど、屋根に登る回数は減らせます。
業者に頼む。自治体の支援を使う。落雪しやすい屋根に替える。どれも、命に直結する判断です。
二番目に多いのが、車の立ち往生です
2021年1月、北陸自動車道と国道8号で1,000台を超える立ち往生が起きました。解消に3日近くかかった区間があります。
そして、立ち往生で亡くなる原因の多くは一酸化炭素中毒です。マフラーが雪に埋まり、排気ガスが車内に入ります。
雪害とは何か
まず、言葉の意味から整理します。
読み方は「せつがい」です
雪害と書いて、せつがいと読みます。「ゆきがい」ではありません。
気象庁や自治体の資料で使われる言葉で、雪によって生じる災害の総称です。
風水害・土砂災害と並ぶ、災害の分類です
災害は、原因によって分類されます。地震災害、風水害、土砂災害、火山災害。その一つが雪害です。
そして、雪害はゆっくり進む災害という特徴があります。地震のように一瞬で起きるのではなく、降り続く雪が少しずつ状況を悪化させます。
だから、備える時間があります。ここが、他の災害と大きく違う点です。
雪が降らない地域でも起きます
誤解されやすい点です。
雪害は、雪国だけの災害ではありません。むしろ、めったに降らない地域のほうが混乱します。
除雪の体制がなく、夏タイヤの車が走り、坂道で止まる。数センチの雪で、都市の交通が完全に止まります。
日本の雪害は、世界的に見ても特殊です
背景を知っておくと、備えの意味が分かってきます。
これだけ雪が降る国に、これだけの人が住んでいます
日本の国土のうち、豪雪地帯に指定されている範囲はおよそ半分にあたります。そして、そこに1,500万人以上が暮らしています。
世界的に見て、これほどの積雪がある地域にこれだけの人口が集中している国は、ほとんどありません。
理由は、日本海側の地形にあります。大陸からの冷たい季節風が、暖かい日本海の上で大量の水蒸気を含み、山にぶつかって雪を降らせます。
だから、対策が生活に組み込まれています
消雪パイプ、雁木、雪囲い、融雪槽。雪国には、雪を前提にした仕組みが積み重なっています。
けれど、その仕組みを支えているのは人手です。そして、その人手が高齢化しています。
高齢化が、雪害を深刻にしています
ここが、いまの雪害の本質だと私は考えています。
除雪中の死者の9割超が65歳以上という数字は、単なる事故統計ではありません。雪下ろしをする人が、高齢者しか残っていないという状況を表しています。
子どもが都市に出て、親だけが雪国に残る。そして、その親が屋根に登ります。
だから、離れて暮らす家族にできることがあります。業者の手配、自治体の支援制度の確認、費用の負担。
過去の大雪災害から分かること
過去の事例には、繰り返されている型があります。
2021年1月の立ち往生
北陸自動車道と国道8号で、1,000台を超える車が動けなくなりました。解消に3日近くかかった区間があります。
このとき問題になったのが、短時間に集中して降ったことです。除雪が追いつく前に、雪が積もりました。
そして、一度詰まると、除雪車自体が現場に入れません。これが長期化の原因です。
繰り返される三つの型
過去の大雪災害を並べると、同じことが起きています。
一、短時間の集中降雪。1日で1メートル近く降ると、どんな体制でも追いつきません。
二、普段降らない地域での降雪。装備も体制もない場所に降ると、少量でも麻痺します。
三、雪のあとの寒波。溶けずに残り、凍結して長引きます。
「顕著な大雪に関する気象情報」を知っておいてください
短時間に大量の雪が降り、すでに立ち往生などの重大な事態が起きつつあるときに発表される情報です。
これが出たら、車での外出はやめてください。すでに走っているなら、安全な場所で止まる判断も要ります。
大雪の情報全般は大雪で危ないのは「動けなくなること」にまとめました。
雪害の種類|六つに分けて整理します
何が起きるのかを、災害の型ごとに見ていきます。
| 種類 | 何が起きるか | 危険度 |
|---|---|---|
| 除雪中の事故 | 屋根からの転落、落雪、除雪機に巻き込まれる | 最多の死因 |
| 車の立ち往生 | 一酸化炭素中毒、低体温症 | 大規模化しやすい |
| 家屋の倒壊 | 雪の重みで屋根や建物が潰れる | 老朽住宅・空き家で多い |
| 雪崩 | 登山者・スキー客・集落を巻き込む | 致命的だが件数は少ない |
| 停電 | 着雪や倒木で電線が切れる。暖房が止まる | 冬は命に関わります |
| 転倒 | 凍結路で滑って骨折 | 高齢者に多い |
一、除雪中の事故
雪害で最も多い死因なので、ここは厚く書きます。
なぜ屋根に登るのか
屋根の雪を放置すると、重みで建物が傷みます。そして、最悪の場合は倒壊します。
積もった雪は、想像より重い。湿った雪なら、1立方メートルで数百キロになります。屋根全体では、何トンにもなります。
だから、雪下ろしは必要な作業です。問題は、その方法です。
守るべき四つ
一、一人でやらない。下に見張りを置くだけで、結果が変わります。倒れたときに気づいてもらえます。
二、命綱とヘルメットを使う。転落が死因の4割です。
三、はしごを固定する。転落の多くが、はしごの上り下りで起きています。
四、屋根から落ちた雪の下に入らない。落雪だけで16.8%です。屋根の下は、常に危険な場所です。
除雪機の事故にも注意してください
見落とされやすい型です。
詰まった雪を取り除こうとして、回転部分に手を入れる。これで指を失う事故が起きています。
必ず、エンジンを止めてから作業してください。そして、雪かき棒を使って手を入れないでください。
自治体の支援を使ってください
雪の多い市町村には、高齢者世帯への除雪支援があることが多い。費用の補助か、人手の派遣です。
申請に期限がある制度もあります。雪が降ってから調べるのでは間に合わないことがあります。
「市町村名 除雪 支援 高齢者」で調べられます。秋のうちに確認してください。
作業そのものの安全は雪下ろしで死なないための7つの鉄則に、建物側の対策は屋根の雪対策は3方式から選ぶにまとめました。
二、車の立ち往生
これは、被害が大規模になりやすい型です。
一台のスタックが、数百台を止めます
立ち往生の引き金は、坂を上れなくなった一台であることが多い。
後続が詰まり、脇道に逃げた車がさらに詰まらせる。この連鎖で、数時間から数十時間の立ち往生になります。
だから、冬タイヤは自分のためだけの装備ではありません。夏タイヤで雪道に出ることは、周囲を巻き込みます。
最大の危険は、一酸化炭素中毒です
ここが命に直結します。
マフラーが雪で埋まると、排気ガスが車内に入ります。一酸化炭素は無色無臭で、気づきません。
暖を取るためにエンジンをかけたまま眠り、そのまま亡くなる事故が毎年起きています。
止まったら、まずマフラーの周りを除雪してください。そして、雪が降り続くなら定期的に確認してください。
詳しくは雪で車が埋まると一酸化炭素中毒ににまとめました。
積んでおくもの
スコップ、毛布か寝袋、飲み水、携帯トイレ。この四つは、立ち往生を生き延びるための装備です。
そして、燃料は半分を切ったら入れる。燃料がそのまま暖房になります。
タイヤの選び方はスタッドレスタイヤの交換時期に、大雪全般は大雪で危ないのは「動けなくなること」にまとめました。
三、家屋の倒壊
件数は多くありませんが、起きたときの被害が大きい。
危ないのは、古い家と空き家です
雪の重みに耐えられるかは、建物の構造と築年数で決まります。
とくに危険なのが、誰も住んでいない空き家です。雪下ろしをする人がいないため、雪が積もり続けます。
そして、倒れると隣家を巻き込みます。実家が空き家になっている方は、冬の管理を考えておいてください。
雪の重さを知っておいてください
新雪と、湿った雪では重さがまったく違います。
降ったばかりの雪は軽い。けれど、時間が経って締まった雪や、雨を含んだ雪は数倍重くなります。
だから、雨が降った直後の屋根は危険です。雪が水を吸って、一気に重くなります。
四、雪崩
件数は少ないものの、遭えば致命的です。
二つの型があります
| 表層雪崩 | 全層雪崩 | |
|---|---|---|
| 起きる時期 | 厳冬期(1〜2月) | 春先(3〜4月) |
| 条件 | 古い雪の上に新雪が積もったとき | 気温が上がり、雪が緩んだとき |
| 速さ | 時速100〜200キロ | 時速40〜80キロ |
| 前ぶれ | 少ない。突然起きます | 雪しわ、雪の割れ目が出ることがあります |
危ない場所と条件
傾斜が30度から45度の斜面が最も起きやすいとされています。スキー場の中級コース程度の傾斜です。
そして、木がまばらな斜面。木が少ないほど、雪を止めるものがありません。
条件としては、短時間に大量の雪が降ったあと、そして気温が急に上がったときです。
五、停電
冬の停電は、夏の停電とは危険度がまったく違います。
電線に雪が付いて、切れます
着雪や、雪の重みで倒れた木が電線を切ります。そして、除雪が進まないため復旧に時間がかかります。
暖房が止まることが、いちばんの問題です
エアコンも石油ファンヒーターも、電気がなければ動きません。石油ファンヒーターは送風に電気を使うためです。
だから、電気を使わない暖房を一つ持っておいてください。反射式の石油ストーブ、カセットガスストーブ、あるいは寝袋。
詳しくは停電しても使える暖房はどれかと停電対策【冬編】にまとめました。
六、転倒
軽く見られがちですが、高齢の方にとっては重大です。
骨折から、寝たきりにつながることがあります
雪道での転倒は、手首、股関節、頭部を傷めることが多い。
歩行中の転倒は雪道で滑るのは新雪ではなく磨かれた氷にまとめました。
とくに高齢の方の股関節骨折は、そのまま歩けなくなるきっかけになることがあります。
いちばん滑るのは、磨かれた氷の面です
雪そのものより危険なのが、踏み固められて磨かれた場所です。
横断歩道の白線の上、建物の出入り口、地下鉄の階段の上。ここが最も滑ります。
そして、ポケットに手を入れて歩かないでください。転んだときに受け身が取れず、頭を打ちます。
雪下ろしを、安全にやる手順
最も死者が多い作業なので、順を追って書いていきます。
やる前に決めること
一、天気を見る。降っている最中や、風の強い日は避けてください。
二、時間帯を選ぶ。気温が上がる昼過ぎは、雪が緩んで滑りやすくなります。
三、誰かに伝える。これから屋根に登ることを、必ず誰かに言ってください。
四、体調を確認する。寝不足、飲酒後、体調不良のときはやめてください。
装備
| もの | なぜ要るか |
|---|---|
| ヘルメット | 転落時と落雪時の頭部保護 |
| 命綱とハーネス | 転落が死因の4割。これが最も効きます |
| 滑りにくい長靴 | 屋根の上で滑らないため |
| 携帯電話 | ポケットに。倒れたときに連絡できます |
| 手袋 | けがの防止と保温 |
命綱は、固定先が重要です
命綱を持っていても、付ける先がなければ意味がありません。
屋根にアンカーを設置しておくと、毎年安全に使えます。設置していない家では、丈夫な構造物に固定します。
そして、ロープの長さを調節してください。長すぎると、落ちてから止まるまでに地面に達します。
やってはいけないこと
一、はしごを固定せずに登る。転落の多くがここで起きています。
二、屋根の端に立つ。雪庇が張り出していると、その下は空洞です。
三、下ろした雪の上に飛び降りる。柔らかく見えても、下に硬い塊があります。
四、電線の近くで作業する。雪を落とすと断線することがあります。
そもそも、登らずに済ませる方法
ここがいちばん大事です。
一、業者に依頼する。費用はかかりますが、命には代えられません。
二、自治体の支援を使う。高齢者世帯向けの補助や派遣があります。
三、雪下ろし不要の屋根に替える。落雪式や融雪式の屋根があります。工事費はかかりますが、毎年の作業がなくなります。
四、命綱アンカーを設置しておく。自治体によっては、設置費用の補助があります。
雪害と、住まいの関係
住んでいる建物の条件で、リスクは変わります。
屋根の形で、雪の落ち方が違います
| 屋根の型 | 特徴 | 注意 |
|---|---|---|
| 落雪式 | 雪が自然に滑り落ちます | 落ちた先に人や物を置かない |
| 融雪式 | 熱で溶かします | 電気やお湯の費用がかかります |
| 耐雪式 | 積もったまま耐えます | 限度を超えたら下ろす必要があります |
| 一般的な勾配屋根 | 状況次第 | 雪下ろしが前提になります |
落雪式は、落ちる場所が問題になります
雪下ろしをしなくて済む反面、落ちた雪が隣家や道路に出ると、トラブルになります。
そして、人が下敷きになる事故が起きています。屋根の下は通らないでください。
雪囲いと、窓の保護
積もった雪の圧力で、窓や壁が押されて壊れることがあります。
雪国では、雪囲いを設置する家があります。11月のうちに立て、春に外します。
そして、換気口や給湯器の排気口が雪で塞がれないようにしてください。塞がると、不完全燃焼を起こします。
給湯器まわりは給湯器が止まる冬にまとめました。
雪害対策|時期ごとにやること
雪害対策は、備える時間が残されている点が特徴です。地震のように突然ではありません。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10月 | 暖房の点検。灯油の確保。除雪道具をそろえる |
| 10月下旬 | タイヤ交換の予約。自治体の除雪支援を確認 |
| 11月 | 水道管の保温。車載品の積み込み。備蓄の補充 |
| 12〜2月 | 屋根に登るときは一人でやらない。備蓄を切らさない |
| 3〜4月 | 全層雪崩に注意。屋根からの落雪にも注意 |
具体的な手順は冬支度チェックリストにまとめました。
雪に埋まった人を見つけたら
雪崩や落雪に遭った人がいた場合の話です。
まず119番、そして掘る人を集める
一人で掘り出すのは、ほぼ不可能です。雪は重く、量が多い。
だから、通報と同時に、周囲に助けを呼んでください。人数がそのまま時間になります。
時間が最大の敵です
雪に埋まった場合、最初の15分から30分が生存率の分かれ目とされています。
窒息と、低体温が同時に進みます。だから、救助隊を待つより、その場にいる人が掘るほうが助かります。
掘るときの注意
顔と胸を最優先で出してください。呼吸ができれば、時間が稼げます。
そして、スコップの刃を強く振り下ろさないでください。埋まっている人を傷つけます。
掘り出したあとは、濡れた衣類を替えて保温してください。体温が急激に下がります。
屋根からの落雪でも、同じことが起きます
雪崩だけの話ではありません。
屋根から落ちた雪の下敷きになる事故が、毎年起きています。落雪だけで死者の16.8%です。
とくに危険なのが、気温が上がった日です。屋根の雪が滑りやすくなります。
雪の日に、外へ出るかどうか
ここは、出かけるかどうかの判断の話です。
前の晩に決めてください
雪の朝は、電車が止まり、道路が詰まり、判断する余裕がありません。
だから、大雪の予報が出ている日は、前の晩に「明日どうするか」を決めておいてください。
出ないという判断が、道路を守ります
ここは、意外と理解されていません。
走る車が減れば、除雪が進みます。そして、立ち往生の連鎖が起きにくくなります。
つまり、一人ひとりの「出ない判断」が、地域全体の交通を機能させています。
歩くなら、足元と手元です
靴の裏を見てください。すり減った靴は、圧雪の上で滑ります。
そして、手袋をしてください。ポケットに手を入れて歩くと、転んだときに受け身が取れません。
歩幅を小さく、足の裏全体で着地する。これだけで、転倒はかなり減ります。
雪害は、どこに相談すればよいか
困ったときの相談窓口を整理しておきます。
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 雪下ろしができない | 市町村の福祉担当・社会福祉協議会 |
| 除雪されていない道路 | 道路管理者(市町村・国道事務所) |
| 停電が続いている | 電力会社。復旧見通しも聞けます |
| 断水・水道管の破裂 | 市町村の水道担当・指定工事店 |
| 建物が壊れた | 加入している保険会社。写真を先に撮る |
| 隣家からの落雪トラブル | まず当事者間。難しければ市町村の相談窓口 |
被害が出たら、写真を先に撮ってください
片づける前です。
保険の請求と、罹災証明の申請に必要になります。片づけたあとでは証明できません。
撮るのは、建物の外観を四方から、被害箇所を近くから。日付が分かる形で残してください。
よくある質問
Q. 雪害は何月がいちばん危険ですか
1月から2月が中心です。積雪が最も多くなる時期です。
ただし、危険の種類によって時期が違います。表層雪崩は厳冬期、全層雪崩と落雪は春先です。
そして、シーズン最初の大雪も危険です。準備が整っていない状態で降るためです。
Q. 雪害の被害に、保険は使えますか
火災保険の雪災の補償で対象になることがあります。屋根の破損や、雪の重みによる建物の損害です。
ただし、契約内容によります。そして、経年劣化は対象外です。
被害が出たら、片づける前に写真を撮ってください。詳しくは火災保険の見直し方にまとめました。
Q. 雪の少ない地域では何を備えればよいですか
三つです。一、停電しても暖を取れる手段。二、水道管の凍結対策。三、雪の日は出かけない判断。
雪かき道具やスタッドレスを完全にそろえる必要はありません。大事なのは、動かないと決められることです。
Q. 雪害と雪災は、どう違いますか
ほぼ同じものを指しますが、使われる場面が違います。
雪害は、防災や行政の分野で使われる一般的な言葉です。雪による災害の総称です。
雪災は、保険の分野で使われる用語です。火災保険の補償項目として「風災・雹災・雪災」という形で並びます。
だから、保険の書類を見るときは「雪災」を探してください。「雪害」では載っていないことがあります。
Q. 豪雪地帯とは何ですか
法律にもとづいて指定される地域です。積雪の量と、それによる生活への支障の度合いで決まります。
指定されると、除雪や道路整備などで国の支援が受けられます。さらに条件が厳しい地域は「特別豪雪地帯」に指定されます。
自分の住む地域が該当するかは、市町村の窓口か国土交通省の資料で確認できます。
Q. 雪下ろしを業者に頼むと、いくらくらいかかりますか
屋根の面積、積雪量、地域、緊急度で大きく変わります。ここで金額の目安を書くのは、かえって誤解を生むと考えています。
大事なのは、秋のうちに複数の業者へ問い合わせておくことです。
雪が降ってから頼むと、順番待ちになり、費用も上がります。そして、その待っている間に自分で登ってしまう。これが事故につながります。
自治体の補助が使えることもあるので、あわせて確認してください。
Q. 空き家になった実家の雪が心配です
放置すると、倒壊して隣家を巻き込む恐れがあります。そして、その責任は所有者にあります。
対応としては三つです。一、管理を業者に委託する。二、地域の方に定期的に見てもらう。三、建物の処分を検討する。
自治体によっては、空き家の管理や解体に補助制度があります。冬が来る前に相談してください。
Q. 屋根の雪は、どのくらい積もったら下ろしますか
建物の構造によって耐えられる量が違うので、一律の目安を示すことはできません。
雪国の住宅は、その地域の積雪を想定して設計されています。設計上の想定を、建てた工務店やハウスメーカーに確認してください。
そして、判断材料になるのは積雪の深さより重さです。同じ1メートルでも、新雪と、雨を吸った雪ではまったく違います。
雨のあと、気温が上がったあとは要注意です。
Q. 雪害の情報は、どこで見ればよいですか
目的によって、見る場所が変わります。
これから降る量を知りたいときは、気象庁の降雪短時間予報です。6時間先までの予想が出ます。
いま危ないかを知りたいときは、大雪警報と「顕著な大雪に関する気象情報」です。後者が出たら、車で出ないでください。
道路が通れるかを知りたいときは、道路管理者や高速道路会社の情報です。通行止めと、チェーン規制の区間が分かります。
そして、雪崩の危険が高まったときには、都道府県と気象台から雪崩注意報が出ます。
Q. 雪の重さは、どのくらいですか
雪の状態によって、大きく変わります。
降ったばかりの新雪は軽く、時間が経って締まった雪、そして雨や融雪水を含んだ雪は、はるかに重くなります。同じ深さでも、数倍の差が出ます。
だから、「何センチ積もったか」だけでは危険度は判断できません。
実務的な目安は、雨が降った直後、そして気温が上がった直後は重くなっていると考えることです。この状態の屋根に登るのは、とくに危険です。
Q. 一人暮らしで雪国に住んでいます。気をつけることは
いちばんの問題は、倒れたときに気づかれないことです。
だから、雪下ろしは絶対に一人でやらないでください。業者か、近所の方と一緒に。
そして、離れた家族と、定期的に連絡を取る形を作っておいてください。大雪の日に連絡が途絶えたら気づいてもらえる、という状態です。
備えの全体は一人暮らしの防災にまとめました。
Q. 除雪車が家の前に雪を置いていきます
雪国では、毎年これで困る方がいます。
除雪車は道路の雪を路肩へ寄せていくため、結果として各戸の出入り口が雪の壁で塞がれます。意地悪ではなく、構造上そうなります。
対処としては三つです。一、除雪車が通る時間帯を把握しておく。市町村に聞けば、おおよそのルートと時間が分かります。
二、通ったあとに片づける。先に片づけても、また置かれます。
三、高齢の世帯には、近所で声をかけ合う。一人では動かせない量になることがあります。
どうしても対応できない場合は、市町村の福祉担当に相談してください。支援の対象になることがあります。
Q. 雪かきで体を痛めないコツはありますか
雪かきは、思っている以上に負荷の高い作業です。
気をつけたいのは三つです。一、腰ではなく膝を使う。前かがみで持ち上げると、腰を痛めます。
二、一度に多く持たない。回数を増やすほうが安全です。
三、こまめに休む。寒い中での作業は、自覚のないまま体に負担がかかります。
そして、朝いちばんの作業はとくに注意してください。寒さと急な運動が重なります。持病のある方は、無理をせず人に頼んでください。
雪害に関する記事の、読む順番
このサイトでは、雪害を型ごとに分けて解説しています。
まず読んでほしいもの
冬の備え全体は冬支度チェックリスト|10月末までにやる8つの備えです。10月にやることを順番に並べています。
大雪そのものは大雪で危ないのは「動けなくなること」にまとめました。
屋根と雪下ろし
作業する人の安全は雪下ろしで死なないための7つの鉄則、屋根や建物の対策は屋根の雪対策は3方式から選ぶです。役割が違うので、両方読む価値があります。
この記事で最も強く伝えたい部分なので、雪国にお住まいの方は目を通してください。
車まわり
タイヤはスタッドレスタイヤの交換時期は気温7度、立ち往生時の危険は雪で車が埋まると一酸化炭素中毒ににまとめました。
停電と暖房
停電しても使える暖房はどれか、停電対策【冬編】、そして燃料は去年の灯油は使わないでくださいです。
水まわりと火災
凍結は水道管が凍結したときの対処法、冬の火災は冬に火災が増える本当の理由にあります。
避難することになったら
冬の避難所で怖いのは寒さと感染症にまとめました。床に敷くものが最優先です。
斜面の雪が一気に崩れる雪崩については、雪崩は時速200キロで逃げ切れないにまとめました。埋まった人を助けられる時間には限りがあります。
まとめ|屋根に登る回数を、減らしてください
最後に、あらためて整理します。
この記事の要点
一、雪害は「せつがい」と読みます。雪による災害の総称です。
二、最も多い死因は、除雪作業中の事故です。9割超が65歳以上。半分以上が屋根に関わります。
三、次に多いのが車の立ち往生。死因は一酸化炭素中毒です。
四、雪害は備える時間がある災害です。10月から動けば間に合います。
五、雪の降らない地域でも起きます。むしろ混乱は大きい。
今日できること
実家が雪国にあるなら、電話を一本かけてください。
聞くのは三つです。暖房は動くか。灯油はあるか。雪下ろしを一人でやっていないか。
三つめが、いちばん大事です。



