台風で危険なのは風より大雨・高潮|吸い上げ効果と吹き寄せ効果の仕組みと浸水対策

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【この記事の要約】
台風による被害の多くは、強風そのものよりも大雨・洪水・高潮によって発生します。台風は大量の水蒸気を含んでおり、1つの台風で日雨量が300mmを超えることも珍しくありません。また台風は海面の気圧を下げて海水を吸い上げる「吸い上げ効果」と、強風が海水を沿岸に吹き寄せる「吹き寄せ効果」によって高潮を引き起こします。この記事では、台風がもたらす水害のメカニズムと、風対策だけでは足りない浸水・高潮への備えを解説します。

こんにちは。防災ベーシックのたにです。

台風対策というと、窓ガラスの飛散防止や瓦の補強など「風への備え」が真っ先に思い浮かびます。しかし実際に台風で命を落とす方の多くは、強風そのものではなく、大雨による洪水・浸水・土砂災害、そして高潮が原因です。

この記事では、台風がなぜ大雨や高潮を引き起こすのか、その仕組みと、風対策だけでは足りない水害への備えを解説します。

目次

台風はなぜ大雨をもたらすのか

台風は熱帯の海上で発達した低気圧で、大量の水蒸気を含んでいます。台風が接近すると、この水蒸気が上昇気流によって次々と雲になり、強い雨を降らせます。台風本体の雨だけでなく、台風に向かって湿った空気が流れ込むことで、台風が上陸するかなり前から周辺地域に大雨をもたらすこともあります。

1つの台風がもたらす総雨量は、地域や台風の速度によって大きく異なりますが、日雨量が300mmを超える記録的な大雨になることも珍しくありません。台風の進行速度が遅い場合、同じ地域に長時間にわたって雨雲がかかり続けるため、雨量がさらに増える傾向があります。

台風本体の雨と前線を刺激する雨

台風による大雨には、大きく2つのパターンがあります。1つは台風本体の雨雲による雨、もう1つは台風が離れた場所にある梅雨前線・秋雨前線を刺激することで発生する雨です。台風が九州の南にあるだけでも、遠く離れた地域で記録的な大雨になることがあるのは、この前線の刺激によるものです。台風が「まだ遠いから大丈夫」とは限らない理由がここにあります。

台風が高潮を引き起こす2つの仕組み

高潮とは、台風や発達した低気圧の影響で、海面の水位が異常に高くなる現象です。台風による高潮は、主に2つの仕組みで発生します。

吸い上げ効果:気圧が下がると海面が上がる

台風の中心付近は気圧が非常に低くなっています。気圧が1hPa下がるごとに、海面はおよそ1cm上昇するとされています。猛烈な台風の中心気圧は900hPa台になることもあり、平常時の気圧(1013hPa前後)と比べて100hPa以上低くなる場合、単純計算で1m前後、海面が吸い上げられることになります。

吹き寄せ効果:強風が海水を沿岸に押し寄せる

台風の強風が海から陸に向かって吹き続けると、海水が沿岸に吹き寄せられて水位が上昇します。この効果は、遠浅の海岸・湾の奥など、地形によって増幅されることがあります。過去の高潮被害の多くは、この吹き寄せ効果が大きな要因となっています。

吸い上げ効果と吹き寄せ効果が重なり、さらに満潮の時間帯と台風接近が重なると、高潮の被害はより大きくなります。台風情報を確認する際は、自分の地域の満潮時刻もあわせて確認することをおすすめします。

台風による水害・高潮への備え

風対策だけでなく、以下の水害・高潮対策もあわせて確認してください。

ハザードマップで浸水想定区域を確認する

自宅が洪水浸水想定区域・高潮浸水想定区域に入っているかどうかを、国土交通省のハザードマップポータルサイトで確認してください。台風の進路予想が出た段階で確認しておくと、避難の判断がしやすくなります。

止水板・土嚢で浸水経路をふさぐ

玄関・ガレージなど浸水しやすい開口部には、止水板や土嚢を設置しておくことで、被害を軽減できる場合があります。土嚢の作り方・積み方や、止水板の選び方は別記事で詳しく解説しています。

警戒レベルに応じて早めに避難する

大雨・洪水の避難情報は警戒レベル1〜5で発表されます。高齢者・障害のある方・乳幼児連れはレベル3、それ以外の対象地域住民もレベル4までに避難を完了させることが原則です。台風は地震と違い、接近するタイミングがある程度予測できる災害です。「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、明るいうちの早めの避難を心がけてください。

車での移動は浸水が始まる前に

浸水した道路では、水深30cm程度から車の走行に支障が出始め、50cmを超えると多くの車が動けなくなります。台風接近時に車で移動する場合は、浸水が始まる前の早い段階で行動してください。

過去の高潮被害から学ぶ

高潮の恐ろしさは、過去の被害事例からも読み取れます。1959年の伊勢湾台風では、名古屋港で当時の記録を更新する高潮が発生し、堤防の決壊により広範囲が浸水、5,000人を超える犠牲者を出しました。この災害を教訓に、その後の高潮対策・堤防整備が大きく進みましたが、想定を超える台風が来れば同様のリスクが再び生じる可能性はゼロではありません。

高潮のもう一つの特徴は、台風が上陸・通過した後も水位が高い状態がしばらく続くことがある点です。「台風が過ぎたから安全」と判断して沿岸部に近づくと、思わぬ高波・高潮に巻き込まれる危険があります。台風通過後も、しばらくは海岸・河口付近への接近を避けてください。

台風シーズン前に確認しておきたいこと

高潮・浸水対策は、台風が接近してからでは間に合わないことが多くあります。台風シーズンが本格化する前に、以下を確認しておくことをおすすめします。

  • 自宅が高潮浸水想定区域・洪水浸水想定区域に含まれているか(ハザードマップポータルサイトで確認)
  • 近隣の避難場所・避難経路(浸水想定区域を通らないルートかどうか)
  • 止水板・土嚢など、浸水経路をふさぐ備えの有無
  • 満潮時刻の調べ方(気象庁・海上保安庁の潮汐情報で確認可能)

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よくある質問

Q. 台風がまだ遠くにあるのに、大雨になることはありますか?

A. あります。台風が梅雨前線・秋雨前線を刺激することで、台風本体が離れた場所にあっても、周辺地域で記録的な大雨になることがあります。台風が接近する前から、気象情報をこまめに確認してください。

Q. 高潮と津波は同じものですか?

A. いいえ、発生原因が異なります。高潮は台風・低気圧による気圧低下(吸い上げ効果)と強風(吹き寄せ効果)で海面が上昇する現象です。津波は地震・海底地滑りなどによって海水全体が押し上げられる現象で、伝わる速度・規模も異なります。

Q. 満潮の時間帯に台風が来ると、なぜ危険なのですか?

A. 満潮時はもともと海面が高い状態です。そこに台風による吸い上げ効果・吹き寄せ効果が重なると、水位がさらに上昇し、堤防を越える危険性が高まります。台風接近時は満潮時刻もあわせて確認することをおすすめします。

Q. 高潮警報と津波警報は同じ避難行動でいいですか?

A. どちらも沿岸部からの避難が基本ですが、高潮は台風接近に伴い数時間かけてゆっくり水位が上がることが多いのに対し、津波は地震発生から短時間で到達することがあります。高潮は台風情報とあわせて事前の避難判断がしやすい一方、油断すると満潮と重なり急激に水位が上がることもあるため注意が必要です。

まとめ

台風による被害は、強風そのものよりも大雨・洪水・高潮によって引き起こされることが多くあります。気圧の低下による「吸い上げ効果」と強風による「吹き寄せ効果」が重なることで、高潮の水位はさらに上昇します。

窓ガラスの飛散防止といった風対策だけでなく、ハザードマップの確認・止水対策・早めの避難判断まで含めて備えることが、台風による被害を減らす確実な方法です。

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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