防災は何から始める?最初にやること8ステップ|ハザードマップから持ち出し袋まで、順番どおりに進める入門ガイド

防災は何から始める?最初にやること8ステップ|ハザードマップから持ち出し袋まで、順番どおりに進める入門ガイド

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【この記事の要約】
防災を始めようとして、多くの方がリュックの中身から入ります。そこが、つまずく原因です。浸水想定が3メートルの土地と、崖の下と、内陸の平地では、やるべきことが根本から違います。だから順番は、一に自分の土地の危険を知る、二に逃げ方を決める、三に家の中で死なないようにする。持ち出し袋は、七番目で構いません。この記事は、何から手をつければよいか分からない方のための出発点です。八つの段階に分けて、それぞれ何をすればよいかと、詳しく知りたいときにどの記事へ進めばよいかを示します。全部やる必要はありません。上から順に、できるところまでで結構です。

防災の記事を書いていると、いちばん多く聞かれるのがこの質問です。

「何から始めればいいですか」

この問いに、リュックの中身のリストで答えるのは簡単です。でも、それでは足りないと私は思っています。

このサイトには400本を超える記事がありますが、どれも「何を知りたいかが決まっている人」のための記事です。その手前にいる方のための一本が、これまでありませんでした。

この記事が、その一本です。

目次

結論|道具より先に、土地と行動です

先に、順番だけ書きます。

順 やること 目安
1 自分の土地に、どんな危険があるかを知る 30分・無料
2 どこへ逃げるか、どう連絡するかを決める 家族で30分
3 家の中で死なないようにする 半日・数千円から
4 水と食べものを3日分 買い物1回
5 トイレを用意する 数千円
6 明かりと、情報の手段を持つ 数千円
7 持ち出し袋にまとめる 1時間
8 季節に応じて足す 年2回の見直し

多くの防災の記事は、7番から始まります。リュックに何を入れるか、という話です。

それを否定はしません。ただ、順番としては最後でいいと考えています。

理由は単純です。自分の家が何メートル浸かる土地なのかを知らないまま道具を選んでも、選びようがないからです。浸水3メートルの土地なら、2階に上がるという対策そのものが成り立ちません。崖の下なら、上の階へ逃げても土砂は横から来ます。

だから、土地を知ることが1番になります。そして、これは無料で、今日30分でできます。

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1|自分の土地に、どんな危険があるかを知る

すべての出発点です。ここを飛ばすと、あとの努力が的外れになります。

やること

ハザードマップで、自宅の住所を調べてください。市町村が配っている紙のものでも、インターネットで見られるものでも構いません。

見るのは、この四つです。

一、洪水の浸水想定。何メートル浸かる想定になっているか。ここが最重要です。

二、土砂災害の警戒区域。黄色か、赤か、それとも区域外か。

三、津波の浸水想定。沿岸部にお住まいの場合です。

四、揺れやすさ。同じ地震でも、地盤によって揺れの強さは変わります。

調べ方はハザードマップの見方にまとめました。使い方を間違えやすい点も書いています。

深さで、やるべきことが変わります

浸水想定を見たら、次のように読んでください。

想定される深さ 意味すること
区域外 洪水より、地震と土砂災害に重点を置く
0.5メートル未満 止水板などで防げる可能性がある
0.5〜3メートル 1階が使えなくなる。2階への垂直避難が成り立つ
3メートル以上 2階も浸かる。その場にとどまる選択肢がない

3メートルを超えるなら、早い段階で家を出るしかありません。これが分かっているかどうかで、当日の判断が変わります。

あわせて見ておきたいもの

土砂災害の区域に入っているかどうかは土砂災害警戒区域とは?イエローゾーンとレッドゾーンの違いで確認できます。赤い区域では、建物ごと押し流される可能性があります。

近くに活断層があるかどうかは自宅の近くに活断層はある?無料で調べる方法で調べられます。全国のSランク一覧は活断層Sランク一覧にまとめました。

お住まいの都道府県で警戒すべき災害の全体像は47都道府県別の災害リスク一覧にあります。

南海トラフの想定区域にお住まいなら、南海トラフ地震の備えで何をすべきかもご覧ください。

2|どこへ逃げるか、どう連絡するかを決める

2番目も、お金がかかりません。そして、いちばん効きます。

逃げる先を決めておく

災害が起きてから考えると、必ず遅れます。「もう少し様子を見よう」になるからです。

決めておくのは三つです。

一、どこへ行くか。避難所とはかぎりません。安全な親戚の家でも、頑丈な建物の上階でも構いません。条件が合えば、自宅にとどまるのも正解です。判断の基準は避難所へ行くべきか自宅に残るべきかにまとめました。

二、どの道を通るか。最短の道が、安全とはかぎりません。川沿いやアンダーパスを避ける道を、地図で確認しておいてください。

三、いつ動くか。これがいちばん大事です。

動く合図を、数字で決めておく

避難情報には5段階の警戒レベルがあります。

レベル どうするか
3 高齢の方、小さなお子さん、体の不自由な方は、ここで出発
4 全員避難。これが最後の機会
5 すでに災害が発生している。命を守る最善の行動を

レベル5は、避難を促す情報ではありません。すでに起きているという報告です。この段階で外に出るのは、かえって危険になります。

詳しくは警戒レベルとは?1から5の意味と取るべき行動にまとめました。

そして、もうひとつ。暗くなる前に動いてください。夜の避難は、それ自体が危険です。

連絡の方法を決めておく

災害時は電話がつながりません。回線が混み合うためです。

だから、あらかじめ決めておきます。「連絡が取れなければ、この場所に集まる」という取り決めが、いちばん確実です。

あわせて、災害用伝言ダイヤルの使い方を家族で共有してください。171の使い方にまとめました。毎月1日と15日に体験利用ができます。一度使っておくと、本番で迷いません。

3|家の中で死なないようにする

ここが、生死をいちばん分ける段階です。

家具を固定する

地震で亡くなる直接の原因は、建物の倒壊と家具の転倒です。逃げる前に、部屋の中で挟まれてしまえば、その後の備えは意味を持ちません。

優先順位はこうです。

一、寝室から。寝ているあいだは、身を守る動作ができません。倒れてくるものが枕元にないか、今日のうちに確かめてください。

二、背の高い家具から。本棚、食器棚、タンス。

三、出入口をふさぐ位置にあるものから。倒れて扉をふさぐと、部屋から出られなくなります。

固定の方法は突っ張り棒で地震対策|家具転倒防止の選び方・取り付け方にまとめました。数千円で、いちばん効果の大きい対策です。

枕元に、靴とライトを置く

これは今日できます。お金もほとんどかかりません。

停電した部屋には、割れたガラスが散っているかもしれません。足を切れば、避難そのものができなくなります。

枕元に置くのは四つです。底の厚い靴、ライト、羽織るもの、そして眼鏡を使う方は眼鏡。手を伸ばせば届く場所に置いてください。

建物そのものを確かめる

時間はかかりますが、効果は最大です。

1981年6月に耐震基準が大きく変わり、2000年にも木造住宅の基準が改められました。それ以前に建てられた家にお住まいなら、耐震診断を検討する価値があります。自治体の補助制度があることが多いので、まず窓口に聞いてみてください。

4|水と食べものを、3日分

ここから、ようやく買い物の話になります。

水は1人1日3リットル

目安は1人1日3リットル。飲むほか、調理にも使う量です。

3日分なら、1人あたり9リットル。4人家族なら36リットルです。2リットルのペットボトルで18本。思ったより多いと感じられるはずです。

置き場所に困る場合は、各部屋に分散させてください。一箇所にまとめると、そこが使えなくなったときに全部失います。

食べものは、いつも食べているものを多めに

非常食を特別に買い込む必要はありません。普段食べているものを少し多めに買い、古いものから使って、使った分を買い足す。これをローリングストックと呼びます。

この方法なら、期限切れが起きにくく、災害時にも食べ慣れたものを口にできます。被災中に、食べ慣れないものを受けつけなくなる方は少なくありません。

やり方はローリングストックとはにまとめました。非常食そのものの選び方は非常食おすすめ一覧、種類ごとの比較は非常食の比較データにあります。

カセットコンロを一台

電気とガスが止まっても、お湯が沸かせます。温かいものが食べられるかどうかは、体だけでなく気持ちにも効きます。

ボンベは多めに。ただし屋内で暖房として長時間使わないでください。一酸化炭素中毒の危険があります。理由は災害時の一酸化炭素中毒にまとめました。

5|トイレを用意する

見落とされやすく、そしていちばん早く困るのがここです。

なぜ先に必要になるのか

水は、飲まなくても数時間は耐えられます。トイレは、そうはいきません。

断水すれば流せません。そして下水道が被災していれば、水があっても流してはいけません。行き場を失った汚水が、低い階の排水口から逆流します。

我慢が、命に関わります

ここが重要です。

トイレが使えない、汚い、遠い。そうなると人は、水分を控えます。意識してではなく、なんとなく飲まなくなります。

そこから脱水、血栓、エコノミークラス症候群という連鎖が起きます。実際に、これで亡くなる方がいます。

携帯トイレを備えることは、この連鎖の最初の一歩を止める行動です。数千円で、そこまで届きます。

選び方と必要な数は防災用携帯トイレの選び方にまとめました。1人1日5回として、3日分で15回。家族の人数を掛けてください。

断水そのものへの対処は断水したらどうする?、給水所の使い方は給水車・給水所の使い方、集合住宅の事情はマンションの断水は停電で起きるにあります。

6|明かりと、情報の手段を持つ

停電すると、この二つを同時に失います。

明かりは、人数分

ひとつでは足りません。トイレに行く人と、部屋に残る人が同時に必要とするからです。

据え置きのランタンがひとつ、そして両手が空くヘッドライトが人数分あると、生活の質がまるで違います。ろうそくは、地震のあとには使わないでください。火災の原因になります。

情報は、電池で動くものを

スマートフォンは、充電できなくなれば止まります。基地局が被災すれば、圏外にもなります。

だから、電池で動くラジオを一台。これが最後の情報源になります。車をお持ちなら、車のラジオも使えます。使い方と注意点は停電時に車のラジオは使える?にまとめました。

スマートフォンでの情報の取り方は災害時のスマートフォンとラジオにあります。

電源をどう確保するか

まずはモバイルバッテリーから。選び方は防災用モバイルバッテリーの選び方にまとめました。

停電が長引く想定なら、ポータブル電源という選択肢もあります。ポータブル電源の選び方と停電長期化への備えをご覧ください。

そして、絶対にやってはいけないことがひとつ。発電機を屋内で使わないでください。窓を開けても足りません。2026年8月の千葉県の豪雨では、停電した室内で発電機を使った方が一酸化炭素中毒で亡くなっています。

7|持ち出し袋にまとめる

ここまで来て、ようやくリュックの話です。

二つに分けて考えます

一次持ち出し袋は、逃げるときに背負うもの。軽さが最優先です。持って走れなければ意味がありません。

二次持ち出し袋は、落ち着いてから取りに戻るもの。あるいは在宅避難で使うものです。こちらは重くても構いません。

この違いと中身のリストは一次持ち出し袋と二次持ち出し袋の違いと中身リストにまとめました。

買いすぎないでください

防災を始めた方が陥りやすいのが、買いすぎです。

使わないまま期限が切れ、次の更新でやる気を失う。これが、いちばんもったいない失敗です。

実際に被災した方が「いらなかった」と感じたものは防災グッズでいらなかったもの12選にまとめました。買う前に読むと、無駄が減ります。

どこで買うか、いくらかかるかは防災グッズはどこで買う?と防災グッズの費用はいくら?を参考にしてください。

外出時に持ち歩く最低限の備えは0次防災とは?にまとめています。

8|季節に応じて足す

防災用品には、通年で使えるものと、季節で入れ替えるものがあります。

夏

夏の停電は、着込むことでは解決しません。ここが冬と決定的に違います。

必要なのは、日射をさえぎるもの、風をつくるもの、そして体を冷やすもの。熱中症で搬送された方の38.1%は、屋外ではなく住居で発症しています。

詳しくは熱中症の完全ガイドと停電対策【夏編】をご覧ください。

秋

台風の季節です。台風がいちばん多く発生するのは8月ですが、いちばん多く上陸するのは9月です。

備え方は台風の完全ガイドに、川の情報の見方は川の防災ガイドにまとめました。

冬

冬の停電は、低体温症との戦いになります。服が、そのまま暖房器具になります。

着るものの選び方は災害時の服の備え、寝るものは防災用寝袋の選び方、全体は停電対策【冬編】にあります。

年に2回、見直してください

備えは、置いておくだけでは劣化します。

食品の期限、電池の残量、お子さんの服のサイズ。この三つは、放っておくと必ずずれます。

見直す日を決めてしまうのがいちばんです。9月1日の防災の日と、3月11日。この2回を点検日にする方が多いようです。

点検の手順は防災の日にやる防災グッズ点検にまとめました。期限切れが起きやすい6品目を挙げています。

家族がいる方へ|訓練は5分でできます

知識は、共有されていなければ働きません。

大がかりな訓練は要りません。5分でできることから始めてください。

一、家の中で安全な場所を、全員で確認する。倒れてくるものがない場所はどこか。

二、非常持ち出し袋の置き場所を、全員が知っている状態にする。暗くても取れる場所へ。

三、171を一度、家族で体験しておく。毎月1日と15日に体験利用ができます。

四、避難先までの道を、実際に歩いてみる。地図で見るのと、歩くのとでは違います。

進め方は防災訓練の種類とやり方にまとめました。キャンプを訓練として使う方法はファミリーキャンプは最高の防災訓練にあります。

始める前に、外しておきたい勘違い

防災がうまく進まない方には、共通する思い込みがあります。四つ挙げます。

「うちは大丈夫」

いちばん多い、そしていちばん危険な思い込みです。

人間には、自分にとって都合の悪い情報を「たいしたことはない」と受け取る性質があります。これは性格の問題ではなく、誰にでも備わっている働きです。

だからこそ、感覚ではなく数字で確かめる必要があります。ハザードマップを開けば、自分の土地が何メートル浸かる想定なのかが出ます。思い込みを外す方法は、調べることしかありません。

「防災セットを買えば安心」

出発点としては悪くありません。ただし、それで終わりにしないでください。

市販のセットには、あなたに固有のものが入っていません。常用している薬。眼鏡やコンタクト。補聴器の電池。お子さんの粉ミルクやおむつ。ペットのフード。

これらは、誰にも代わりに用意してもらえません。セットを買ったら、一度すべて出して、足りないものを書き出してください。

「避難所へ行けば何とかなる」

避難所は、生き延びるための場所であって、快適に過ごすための場所ではありません。

物資はすぐには届きません。そして衣類を備蓄できていない自治体が8割以上あります。トイレの数も、当初は避難者およそ50人あたり1基が目安とされる水準です。

自分の分は自分で持っていく。この前提で考えておくと、実際に行ったときに困りません。

「1週間分そろえないと意味がない」

これも、始められない原因になります。

たしかに大規模な災害では1週間分が望ましいとされています。しかし、最初から完璧を目指すと、たいてい途中で止まります。

3日分あれば、何もない状態とは決定的に違います。まず3日。余裕ができたら足す。この順で構いません。

段階別|そろえるものと、選ぶ基準

ここまでの8段階を、道具の側から並べ直します。

数値の基準を先に書きました。商品名で選ぶより、基準で選ぶほうが失敗しません。値段や在庫は変わりますが、基準は変わらないからです。

3|家の中で死なないための道具

もの 選ぶ基準 詳しく
家具の固定金具 L字金具が最も強い。賃貸なら突っ張り棒と粘着マットを上下で併用する。突っ張り棒だけでは効果が落ちる 突っ張り棒で地震対策
ヘルメット 飛来・落下物用の国家検定合格品を選ぶ。折りたたみ式は収納しやすいが、被るまでの手数が増える 防災ヘルメットおすすめ10選
防災ずきん ヘルメットより保護力は劣る。子ども用や、収納場所が取れない場合の次善策として 防災ずきんの選び方
靴(枕元用) 底が厚く、紐で締められるもの。踏み抜き防止インソールを入れるとさらに安全。サンダルは不可 防災用折り畳みシューズ
手袋 軍手では不十分。ガラスや金属を扱うなら革手袋か、耐切創の表示があるもの 防災用手袋の選び方
止水板・水のう 浸水想定が0.5メートル未満なら有効。それ以上は防ぎきれない。自治体の補助が出る場合がある 止水板とは?

4|水と食べもの

もの 選ぶ基準 詳しく
飲料水 1人1日3リットル。3日分なら1人9リットル、4人家族で36リットル。長期保存水は5年から7年もつ 防災用飲料水の選び方とおすすめ10選
主食 アルファ米は水でも戻せるものを。お湯がない場面を想定する 非常食の選び方とおすすめ10選
おかず 缶詰とレトルトを組み合わせる。そのまま食べられるものを必ず含める 非常食のおかず厳選12品/レトルトおすすめ15選
汁物 フリーズドライは軽く、かさばらない。塩分補給としても効く フリーズドライおすすめ15選
パン 缶詰パンは調理不要。火も水も使わずに食べられる枠を確保する 非常食パンおすすめ11選
菓子・甘いもの 糖分と、気持ちの回復に効く。飴は塩分補給にもなる 防災備蓄に飴が有効な理由/溶けない備蓄チョコ
カセットコンロ 本体1台と、ボンベは多めに。1本あたりの燃焼時間から必要数を逆算する カセットコンロの選び方
携帯浄水器 川や井戸の水を使う想定なら。ろ過できるものと、できないものを理解して使う 携帯浄水器は防災に使える?
給水タンク 大きいほどよいとはかぎりません。水は1リットル1キロ。運べる重さから逆算する 断水対策おすすめ完全ガイド

何をどう組み合わせるかは非常食のおすすめ組み合わせ完全ガイドに、カロリーと保存年数の比較は非常食13商品の比較表にまとめました。

5|トイレ

もの 選ぶ基準 詳しく
携帯トイレ 1人1日5回が目安。3日分なら1人15回、4人家族で60回分。足りなくなるのが最も多い失敗です 防災用携帯トイレの選び方とおすすめ10選
凝固剤 固まるまでの速さと、消臭性能で選ぶ。吸収できる量を超えると漏れます 同上
防臭袋 処理までの数日、家に置くことになる。消臭性能は生活の質に直結します 同上
目隠し用の何か ポンチョ、簡易テント、丈の長い羽織りもの。とくに女性とお子さんに必要 災害時の服の備え

6|明かりと情報と電源

もの 選ぶ基準 詳しく
ヘッドライト 人数分。両手が空くことが最大の利点。手元の作業なら100ルーメン前後でも足りる 防災用ヘッドライトおすすめ10選
ランタン・懐中電灯 据え置き用に1つ。部屋全体を照らすなら拡散するタイプを選ぶ 防災用懐中電灯おすすめ10選
電池 機器の電池の種類をそろえる。単三に統一すると備蓄が楽になる 忘れがちな防災グッズ30選
モバイルバッテリー スマートフォンを4回ほど充電するなら20,000mAh級。半年に一度は充電しておく モバイルバッテリーの選び方
ポータブル電源 停電が数日に及ぶ想定なら。容量より先に、何を動かしたいかを決める ポータブル電源の選び方/停電長期化への備え
ラジオ 電池で動くこと。手回しは補助と考える。ワイドFM対応だと聴ける局が増える 災害時のスマートフォンとラジオ

7|持ち出し袋にまとめる

もの 選ぶ基準 詳しく
リュック 背負って走れる重さに収まる容量。大きい袋を買うと、つい詰めすぎます 防災リュックの選び方とおすすめ10選
防災セット 出発点としては有効。ただし中身を全部出して、足りないものを書き出すこと 防災セットおすすめ15選
救急セット・常備薬 市販のセットには、あなたの薬は入っていません。お薬手帳の写しも一緒に 救急セット・常備薬おすすめ10選
エマージェンシーシート 軽く、小さい。濡れた体に直接巻いても効果は限られる点に注意 エマージェンシーシートの使い方
手ぬぐい タオルより乾きが速く、用途が広い 防災に手ぬぐいが役立つ理由
着替え 下着と靴下を3日分。綿は避け、化学繊維かウールを 防災リュックの着替え/災害時の服の備え

買う前に防災グッズでいらなかったもの12選を読んでおくと、無駄が減ります。100円ショップで足りるものと、足りないものの線引きは100均の防災グッズ完全ガイドにまとめました。

全体から絞り込みたい方は最強の防災グッズ25選をご覧ください。

8|季節に応じて足すもの

季節 もの 詳しく
夏 ハンディファン、日傘、冷却グッズ、経口補水液 熱中症対策グッズ完全ガイド/ハンディファンおすすめ15選/折りたたみ日傘おすすめ15選
冬 寝袋、ダウン、厚手の靴下、カイロ 防災用寝袋の選び方/防災にダウンジャケットが最強な理由
通年 テント(在宅避難や敷地内避難用) 防災用テントの選び方

家族構成と、置き場所で足すもの

基本の一式に、それぞれの事情を上乗せします。

対象 上乗せするもの 詳しく
乳幼児 ミルク、離乳食、おむつ、おしりふき。月齢で必要なものが変わります 乳幼児向け年齢別完全ガイド
お子さん 年齢に合った靴と服、おもちゃや絵本を1つ 子供用防災グッズ完全ガイド
高齢のご家族 薬とお薬手帳の写し、食べやすい非常食、着脱しやすい服 高齢者向けおすすめ商品12選
女性 生理用品、防犯ブザー、目隠しになる羽織りもの 女性のための防災グッズ完全リスト
車をお持ちの方 脱出ハンマー、車載用の非常食、寝具 車に積む防災グッズ完全ガイド/車載用非常食の選び方
外出が多い方 携帯できる最低限の一式を、かばんに常時 0次防災とは?
水辺に行く方 ライフジャケット。桜マークと股ベルトを必ず確認 ライフジャケットの選び方

予算と、買う順番

いちどにそろえる必要はありません。むしろ、分けて買うほうが続きます。

まず数千円で買うなら。携帯トイレ、ヘッドライト、家具の固定金具。この三つが、費用に対する効果でいちばん大きいと私は考えています。

次に一万円台なら。飲料水と非常食の3日分、モバイルバッテリー、救急セット。

そのあと余裕ができたら。リュック一式、ポータブル電源、季節のもの。

費用の相場は防災グッズの費用はいくら?に、どこで買うかは防災グッズはどこで買う?にまとめました。セール時期を狙う方法もあります。

贈りものとして選ぶ場合は防災グッズをプレゼントに贈ろう、ふるさと納税を使う方法は防災×ふるさと納税完全ガイドをご覧ください。

最後に、ひとつだけ。買ったら、必ず一度開けてください。使い方を知らない道具は、持っていないのと同じです。

火事についても、忘れないでください

ここまで地震と水害を中心に書いてきましたが、もっとも身近な災害は火事です。

やることは三つ。住宅用火災警報器の作動を確かめること(本体の交換目安はおおむね10年)。冷蔵庫や洗濯機の裏のほこりを取ること。そして寝るときに暖房を消すこと。

逃げ方は火事から身を守る方法、電気が原因の火災は電気火災とは?、停電復旧時の通電火災は停電復旧後にやることにまとめました。

家族構成で、変わるところ

基本の8段階は誰にも共通しますが、上乗せする部分は人によって違います。

小さなお子さんがいる場合

いちばん大事なのは、成長するということです。

去年入れた服は、今年は着られません。おむつのサイズも、ミルクの要不要も変わります。年に一度は必ず中身を入れ替えてください。

そして、おもちゃや絵本をひとつ入れておくことをおすすめします。避難所で子どもが落ち着けるかどうかは、家族全体の消耗に直結します。

高齢のご家族がいる場合

薬が最優先です。お薬手帳の写しか、写真を撮ったものをリュックに入れてください。薬の名前が分かるだけで、避難先での対応が変わります。

着るものは、着脱のしやすさで選んでください。かぶるより前開き、細かいボタンより大きめの留め具。

そして、離れて暮らしている場合は室温を数字で確認できるようにしてください。温度計を見える場所に置き、電話では「暑くない?」ではなく「部屋は何度?」と聞く。暑さや寒さの感覚は、年齢とともに鈍くなります。

ペットがいる場合

フードと水は、人間とは別に用意してください。支援物資に含まれるとはかぎりません。

そして、キャリーに慣れさせておくことが実は最重要です。普段入ったことのないキャリーには、緊急時ほど入りません。

持病がある場合

薬の予備を、常に少し多めに持っておいてください。災害時は処方を受けるまでに時間がかかります。

透析や在宅酸素など、医療機器が必要な方は、停電時の対応をかかりつけの医療機関に確認しておいてください。これは平常時にしかできない準備です。

続けるための、たったひとつのこつ

防災でいちばん難しいのは、始めることではありません。続けることです。

買いそろえた達成感で満足し、そのまま何年も放置する。期限が切れる。次の更新でやる気を失う。この道をたどる方が、とても多いのです。

防ぐ方法は、ひとつだけです。

日付を決めてしまうことです。

9月1日の防災の日。3月11日。あるいは家族の誕生日でも構いません。「その日になったら見る」と決めてしまえば、意志の力が要らなくなります。

見るのは三つだけで十分です。食品と水の期限。電池の残量。そして服のサイズ。この三つが、放っておくと必ずずれます。

手順は防災の日にやる防災グッズ点検にまとめました。期限切れが起きやすい6品目を挙げています。

そして、点検のついでに家族で5分だけ話してください。どこへ逃げるか。連絡がつかなければどうするか。この5分が、備蓄の何倍も効きます。

住まいの形で、優先順位が変わります

同じ8段階でも、どこに住んでいるかで力を入れる場所が違います。

戸建てにお住まいの場合

建物そのものの耐震性が、最大の論点になります。1981年6月より前に建てられた家なら、耐震診断を検討してください。自治体の補助が使えることが多くあります。

あわせて、屋外にも目を向けてください。ブロック塀、カーポート、物置、アンテナ。倒れたり飛んだりするものが、敷地内にあります。

浸水想定のある土地なら、止水板や土のうで玄関や車庫の入口をふさぐ手も使えます。

集合住宅にお住まいの場合

浸水には強い一方で、停電が生活を止めます。

エレベーターが止まり、給水ポンプも止まる。上の階ほど、水の確保と移動が重くなります。階段で水を運ぶことを想像してみてください。

そして受変電設備や給水ポンプは、地下や1階に置かれていることが多いという事実があります。低い場所が浸水すると、建物全体の電気と水が止まります。

詳しくはマンションの断水は停電で起きるをご覧ください。

賃貸にお住まいの場合

「借りている家だから、耐震のことは何もできない」と考えている方がいます。できることは、あります。

家具の固定は、借主でもできます。壁に穴を開けない突っ張り棒や、粘着マットを使う方法があります。

そして火災保険の家財補償を確認してください。建物は大家さんの保険ですが、家財は入居者自身が備えるものです。水災補償がついているかどうかも、あわせて見ておいてください。

一人暮らしの場合

量は少なくて済みます。負担が軽いぶん、始めやすい立場です。

ただし、助けを求める相手がその場にいません。だからこそ、連絡手段と、離れて暮らす家族との取り決めが重要になります。

そして、閉じ込められる可能性を考えてください。倒れた家具が扉をふさげば、一人では動かせません。寝室と出入口のあいだに背の高い家具を置かない。これだけで違います。

今日、5分でできること

長い記事になりました。最後に、いま読み終えた直後にできることを三つだけ挙げます。

一、ハザードマップで自宅を調べる。スマートフォンでもできます。見方はこちら。

二、寝室を見回して、倒れてくるものを確認する。今夜、頭の上に何がありますか。

三、枕元に、靴とライトを置く。いま家にあるもので構いません。

この三つは、お金も準備も要りません。そして、やった人とやっていない人では、結果が変わります。

続きは、また今度で構いません。今日はここまでで十分です。

もし、いま被災しているなら

この記事は備えの話ですが、すでに被害に遭われた方が読んでいるかもしれません。

その場合は、片づける前に写真を撮ってください。壁に残った水の跡が分かるように。掃除を始めてしまうと、被害を証明する材料が消えます。

そのあとの手続きの順番は被災した後にやること全ガイドに、罹災証明書の申請は罹災証明書の申請方法に、保険の請求は洪水の被害は保険で補償される?にまとめています。

今日すべてを終える必要はありません。写真だけ撮っておけば、あとは順番に進められます。

災害別に読む|自分に必要なところから

ここまでは、備えを進める順番の話でした。ここからは、災害の種類ごとの索引です。ハザードマップで自分の土地の危険が分かったら、該当するものだけ読んでください。すべてに目を通す必要はありません。

地震

どこに住んでいても関係します。まずは家具の固定から。

津波

覚えるのは30センチです。この深さで人は流されます。

台風

発生が最も多いのは8月、上陸が最も多いのは9月です。

大雨・洪水

川から離れていても浸水します。排水が追いつかなければ、どこでも起こります。

土砂災害

雨がやんでから崩れることがあります。

火災

もっとも身近な災害です。そして電気火災は、注意では防げません。

熱中症

搬送された方の38.1%は、屋外ではなく住居で発症しています。

雪と寒さ

冬の停電は、低体温症との戦いになります。

噴火

火山の近くだけの話ではありません。火山灰は遠くまで届きます。

目的別に読む

災害の種類ではなく、やりたいことから探す索引です。

情報の読み方を知りたい

避難の判断は、情報を読めるかどうかで決まります。

備蓄をそろえたい

まず3日分から。完璧を目指すと続きません。

被災したあとの手続きを知りたい

片づける前に、写真を撮ってください。

避難生活に備えたい

避難所は、生き延びるための場所です。快適に過ごす場所ではありません。

点検と訓練の日を決めたい

備えは、日付を決めないと続きません。

よくある質問

結局、何から始めればよいですか

ハザードマップで自宅を調べることです。無料で、30分でできます。何に備えるかが決まらなければ、道具は選びようがありません。

お金がありません。何もできませんか

できます。1番から3番までは、ほとんどお金がかかりません。土地を調べる、逃げ方を決める、枕元に靴を置く。この三つだけでも、生き残る確率は上がります。

防災グッズのセットを買えば済みますか

出発点としては悪くありません。ただし、中身を一度すべて出して確かめてください。自分に不要なものと、足りないものが必ずあります。とくに薬、眼鏡、お子さんやペットに必要なものは、セットには入っていません。

何日分を備えればよいですか

まず3日分から。支援が届き始めるまでの期間として考えられています。大規模な災害では1週間分が望ましいとされていますが、最初から完璧を目指すと続きません。

マンションに住んでいます。何が違いますか

浸水には強い一方、停電するとエレベーターと給水ポンプが止まります。上の階ほど、水と移動が大変になります。マンションの断水は停電で起きるをご覧ください。

一人暮らしでも必要ですか

必要です。むしろ、助けを求める相手がその場にいないぶん、自分で備える意味が大きくなります。量は少なくて済みますので、負担はそれほどではありません。

避難所へ行けば、何とかなりませんか

そうとはかぎりません。避難所の物資は、すぐには十分に届きません。そして衣類を備蓄できていない自治体が8割以上あります。自分の分は、自分で持っていく前提で考えてください。

全部やる時間がありません

全部やらなくて大丈夫です。上から順に、できるところまでで結構です。1番だけでも、やっていない状態とは大きく違います。

備えたものを、どこに置けばよいですか

分散させてください。一箇所にまとめると、そこが使えなくなったときに全部失います。持ち出し袋は玄関の近く、備蓄は各部屋に分けるのが基本です。

いつ見直せばよいですか

年に2回。9月1日の防災の日と、3月11日を点検日にする方が多いようです。食品の期限、電池、そしてお子さんの服のサイズを確かめてください。

まとめ

最後に、要点を並べます。

順番は、土地、行動、家の中、水と食料、トイレ、明かりと情報、持ち出し袋、季節の上乗せ。この順です。

1番は無料で、今日30分でできます。ハザードマップで自宅を調べること。ここを飛ばすと、あとの努力が的外れになります。

2番と3番も、ほとんどお金がかかりません。逃げ方を決めること、家具を固定すること、枕元に靴を置くこと。費用対効果でいえば、ここが最大です。

持ち出し袋は、最後で構いません。多くの方がここから始めて、そして途中で疲れてしまいます。

そして、いちばんお伝えしたいことを書きます。

完璧を目指さないでください。

防災の記事を読んでいると、足りないものばかりが目につきます。全部そろえようとすると、お金も時間も足りず、そのうち考えるのをやめてしまいます。

それが、いちばん危ない状態です。

1番だけやった人と、何もしていない人とでは、結果が違います。3番までやった人は、かなりの確率で生き延びます。

今日、ハザードマップを開いてください。それだけで、今日の分は十分です。

続きは、また今度で構いません。

建物そのものの備えは、できていますか

地震で亡くなる原因の8割近くは、建物と家具の下敷きです。阪神・淡路大震災では、窒息・圧死が77.0%を占めました。

自宅が危ないかどうかは、建築年でおおよそ判断できます。境目は昭和56年6月1日と平成12年6月1日の二つ。耐震診断には多くの自治体が補助を出しており、自己負担は数万円に収まることが多くあります。詳しくは耐震診断とは?費用の目安と補助金の実額にまとめました。

そもそも災害にどういう種類があるかは、災害の種類とは?で整理しています。

保険は、見直せていますか

火災保険は2022年10月から最長5年に短縮され、更新の時期を迎える人が増えています。2024年10月には参考純率が全国平均で過去最大の13%引き上げとなり、水災料率は1等地から5等地の5区分に細分化されました。

確認すべきは三つ。水災補償を外していないか、家財の契約があるか、免責金額はいくらか。「保険に入っていたのに出なかった」の多くは、このどれかが原因です。手順は火災保険の見直し方にまとめました。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

防災ベーシック編集部です。公的機関の情報をもとに、防災・備蓄・災害対策の基本をわかりやすくお伝えします。

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